Gentemstick Mantaray

2003年生まれ、20年以上形を変えないハーフムーンテールのスノーサーフ

GentemstickスノーサーフMantarayハーフムーンテールNisekoパウダーボード

Gentemstick「Mantaray」の解説――2003年の発売以来アウトラインを変えず、ビッグスクエアノーズ+ハーフムーンテール、サイドカット半径7.15m、1mmのショートキャンバーで樹林帯の小回りとパウダーの浮力を両立してきた Independent シリーズの看板モデル


「Mantaray」は、北海道・ニセコ発のスノーサーフブランド Gentemstick が Independent シリーズに置く看板モデル。大きく角ばったノーズと、浅い弧を描くハーフムーンテール。Gentemstick 公式は、2003年の誕生から一度も変更なく発売し続けてきたと説明しています。スワローテールの系譜のなかでの位置づけは スワローテールの系譜 で整理しているので、本記事は Mantaray 単体の仕様と乗り味に絞ります。

初登場:2003年、そして「2000年」との切り分け

項目 内容
開発元 Gentemstick(1998年、北海道ニセコで Taro Tamai が創業)
初登場 2003年(Gentemstick 公式の製品説明)
形状の変遷 公式は「2003年の生まれから一度も変更なく発売」と記載
同時期の構想 同じ2003年に「Big Mountain Mantaray」の構想が存在し、5年の開発を経て Stingray になった
創業期の原器 TT(1998年10月発足時の1モデル)

発売年は一次資料で確定できます。Gentemstick 公式の製品ページは、日本語版(2021-22年式)・英語版(23-24年式)とも「2003年の生まれから」(英語版は「since it was born in 2003」)と明記しており、両者の記述は一致します(出典: Gentemstick 公式製品ページ)。

一方で、Mantaray を「2000年」とする記述も見かけます(本サイトの TT 記事も2026年10月の訂正までそう記載していました)。考えられる出どころは、Taro Tamai 本人が Splitboard Magazine のインタビューで語った「最初のスワローテールは2000年に出た」という発言です。ただし同インタビューにモデル名は出てこず、Mantaray を指すと読める根拠はありません。しかも同じインタビュー内には、創業を「1988年」と述べた箇所(他資料の1998年と合わない)もあります。本記事では次のように整理しています。

  • Mantaray の発売年は2003年(公式)
  • 2000年は「Gentemstick 最初のスワローテール」の時期の自己申告で、モデル名は未確認
  • 本サイトの Gentemstick TT の年表も、この確認結果に合わせて2003年へ訂正済み

シェイプ

Gentemstick Mantaray 154 スノーボード(2023-24年モデル)トップシート:深緑のトップデッキに大きなスクエアノーズとハーフムーンテール

画像:Gentemstick Mantaray 154(2023-24シーズンモデル、トップシート)
出典:Gentemstick 公式(gentemstick.com)

輪郭は、最大幅312mmのビッグスクエアノーズ、ウエスト258mm、テール幅290mm、全長1540mm。ノーズからウエストまで54mmの差があり、ウエストからテールまでは32mm。前が広く後ろが細い、テーパード・ディレクショナルです。テールは三日月状の浅い切れ込みで、深く割るスワローとは設計が違います。

公式の説明は、乗り味を2つの比喩で伝えています。スケーターなら「ハーフムーンテールがリップでよじれる時、インディトラックの軋みが聞こえる」、サーファーなら「ツインかクアッドフィンのようなルースなスライド感覚」。さらに「絶対スピードより体感スピードにチューニングされている」とも書き、タイトな樹林帯からゲレンデ脇の小さなバンクまでを守備範囲に挙げています。

プロファイルは公式が「Short Camber」と呼ぶ設計です。キャンバーのピークは有効エッジの中心付近に置き、両端は最大幅の手前でチップロッカーにつなぎます。キャンバー高は1mmと浅く、エッジの余計な引っ掛かりを抑えながらキャンバーのバネを残す狙いです。The Good Ride はこの1mmについて「アンダーフットのキャンバーがたった1mmで、これほど強くカービングできて楽しいとは思えない」と述べています。

スペック

公式の製品ページ(2021-22年式と2023-24年式、154cmの数値は同一)と、2023-24年式から国内発売になった149cmを並べています。

項目 Mantaray 154 Mantaray 149
全長 1540mm 1492mm
実質長(Running Length) 950mm 930mm
有効エッジ 1180mm 1144mm
ノーズ幅 312mm 302.2mm
ウエスト幅 258mm 250mm
テール幅 290mm 281mm
サイドカット半径 7150mm(7.15m) 6950mm(6.95m)
サイドカット深さ 27mm 26.1mm
テーパー 11mm 10.6mm
キャンバー高 1mm 1.5mm
セットバック −35mm −34mm
スタンス幅 480〜560mm 463〜543mm
推奨スタンス 520mm 503mm
国内価格(税込・23-24年式) 148,500円 130,900円

データソース:Gentemstick 公式製品ページ。コア素材・ベース素材・重量は公式ページに記載がなく、確認できた範囲では数値を載せていません。公式ページのフレックスバー表示(1〜20の目盛り)では、154が16、149が11の位置を指しています(目盛りの読み取りで、数値の定義は公式に明記なし)。154の価格は2021-22年式の126,500円(税込)から23-24年式の148,500円(税込)に上がっています。

149は海外市場向けに作られたモデルを、23-24年式から国内で発売したものです。公式は「Baby Mantaray 148とは異なる素材・製法でプレスされ、オリジナルよりしなやか」と説明し、グルーミングでのカービングを楽しみたいライダー向けとしています。

サイズ展開

The Good Ride によれば、Mantaray は154のほかに156、159の Giant Mantaray(足が大きいライダー向け)があり、小さいサイズ側には Baby Mantaray(142・145・148・148ハードフレックス)と149が並びます。公式の仕様を確認できたのは154と149で、156・159・Baby 各サイズの数値は本記事では扱っていません。

評価

  • The Good Ride(2016〜2024年の154レビュー):テレイン評価はパウダー・ベースグライド・カービング・不整地がいずれも「Great/Excellent」で、スピードとジャンプが「Good」。ライディングレベルは Advanced〜Expert、ブーツは US8〜10の範囲。「Stingray で得た楽しさに、さらにテーパーとセットバックを加え、ターンのきっかけが速い」と評しています
  • The Good Ride(156、2019〜2024年):ABS サイドウォールへの変更(2020年頃、それまでは竹)で乗り味が少し減衰して柔らかくなったと記載。パウダー・ベースグライド・カービングを高く評価し、ターン導入は「Fast」、ジブは「nope」、スイッチは「やれるが理想からは遠い」。さらに「現在見られるオルタナティブ・フリーライドのシェイプの多くは Mantaray に影響を受けた」と述べています
  • 公式ページのユーザーレビュー(2021-22年式、日本語):ニセコのライダーは「レングスから想像できない浮力と取り回しの良さ」を挙げる一方、「テーパーが強いぶん、エッジのチューニングを怠るとグルーミングや荒れた面でまったく別物になる。テールが短いのでエッジホールドにはコツがいる」と注意点も書いています
  • 同じレビュー欄の別の投稿は、新潟の豪雪でタイトな地形に合う、と書いています。販売元のサイトに載るレビューのため、評価の偏りは割り引いて読む必要があります

Stingray との違い

同じ Independent シリーズの Stingray は、サイドカット半径が8.6mと大きく、セットバックも浅い設計。Mantaray は7.15mで、ノーズが大きく、板を後ろ足寄りに載せる設計です。The Good Ride は、Stingray を「Mantaray にセットバックを控えて、ダブルエンダー寄りの感覚を足したモデル」と位置づけています。公式ページのユーザーレビューにも、Stingray から乗り換えた人が「Stingray と同じ扱い方をすると怖い思いをする」と書いた例があります。踏む位置は、中央より少し前から探るのがよいという趣旨です。

スノーサーフとしての存在感

Gentemstick は、サーフボードの輪郭と体の使い方を雪面に持ち込むブランドです。TT が原器、Mantaray が日本の樹林帯と小さな地形に向けて解いた答えにあたります。The Good Ride は、Mantaray を Gentemstick の純粋なスノーサーフ系(もっと極端なセットバックの板)よりは控えめと位置づけていますが、「タイトな樹林帯」「ゲレンデ脇のバンク」「パウダー」を一枚でつなぐ守備範囲は、公式の説明そのままです。

スノーサーフ(rideType)に分類した根拠は3点あります。公式の製品説明がサーフ用語(ツイン/クアッドフィン、体感スピード)で書かれていること。Gentemstick の設計思想の系譜(TT → Mantaray → Stingray)に位置すること。The Good Ride のパウダー評価は「Great」で、深雪専用機ほど振り切った設計ではなく、広い条件で使うシェイプであること。

参考文献

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