ニャサランド(Nyasaland)
ニャサランド
ニャサランドは、ティピカ系統のアラビカ種の品種です。World Coffee Research(WCR)の品種カタログによると、1878年にジャマイカからニヤサランド(現マラウイ)へ導入されました。なお、マラウイの記事で紹介しているエジンバラ王立植物園(RBGE)の史料には、1879年にバルフォア教授が南部のブランタイヤ・ミッションへコーヒーの苗3本を送り、そのうち1本が生き残ったという記録があります。この2つの記録の関係は、このサイトでは確認できていません。WCRは、マラウイで栽培が振るわなかった背景として、通常より暑く乾燥した気候やホワイトステムボーラー(害虫)などを挙げています。品種の特性としては主要な病害にかかりやすいとし、カップの評価を「Good cup quality」としています。
Slow Foodの記録によると、ニャサランドは20世紀初頭に英国の植民者によってウガンダへ持ち込まれ、イディ・アミン政権下(1971〜1979年)に多くの株が失われました。Slow Foodは2018年2月、エルゴン山でこの品種を育てる小農家40名の協同組合を対象にプレシディウム(産地保護の取り組み)を始めました。生産者の畑は標高1,260〜1,550mにあり、1940年代からの老木も残っているとしています。ウガンダ・コーヒー開発庁(UCDA)のUganda Country Coffee Profileは、西部ルウェンゾリ山地の産品としてもニャサランドを記載しています。ウガンダへ入った正確な年は確認できていません。豆を選ぶときは、Slow Foodのプレシディウムの生産者のロットなど、産地と品種名が明記されたものを選ぶと、この品種をたどりやすくなります。
訂正(2026-10-05): 「1910年にウガンダへ渡り」と記載していましたが、1910年を示す一次資料は確認できず、Slow Foodの記録では20世紀初頭に英国の植民者がウガンダへ持ち込んだとされているため、「20世紀初頭」に改めました。ウガンダへ入った正確な年は確認できていません。
訂正(2026-10-06): 「マラウイの気候や病害への弱さから栽培は衰退しました」「アーモンドを思わせる繊細な花の香りが特徴です」と記載していましたが、World Coffee Researchの品種カタログで確認できたのは、マラウイで通常より暑く乾燥した気候やホワイトステムボーラーなどが挙げられていること、主要な病害にかかりやすいとされていること、カップの評価が「Good cup quality」であることまでで、気候と病害だけが衰退の原因とする記述と、アーモンドや花を思わせる香りの記述は確認できなかったため、確認できた範囲の書き方に改めました。マラウイでの衰退の原因の全体と、アーモンド・花の香りは確認できていません。
訂正(2026-10-14): 「アフリカ最古のアラビカ品種のひとつ」「1878年にジャマイカから当時の英国保護領ニヤサランド(現マラウイ)へ持ち込まれた」と記載していましたが、World Coffee Researchの品種カタログで確認できるのは1878年にジャマイカからニヤサランド(現マラウイ)へ導入されたティピカ系統であることまでで、「最古」と「当時の英国保護領」は一次資料で確認できなかったため改めました。あわせて、姉妹記事「マラウイ ムズズ」で紹介しているエジンバラ王立植物園の1879年の記録を併記し、一次資料で確認できない「丸みのある小粒豆」「交配が進んでいない希少な系統」の記述を外しました。ウガンダでの保全は、Slow Foodの記録とウガンダ・コーヒー開発庁(UCDA)の資料で確認できる範囲に改めました。
ウガンダ ルウェンゾリ
「月の山」に女性たちが築いたウガンダ初の地理的表示コーヒー
ウガンダ西部・ルウェンゾリ山地(月の山)標高1,200〜2,200mで栽培されるアラビカ。1999年に女性主体で発足したブコンゾ・ジョイント協同組合が牽引し、2023年にはウガンダ初の地理的表示「ルウェンゾリ マウンテンズ・オブ・ザ・ムーン」に登録された産地です
ウガンダ ブギスのコーヒー|エルゴン山のアラビカの産地・品種と味
ロブスタの国の東端、エルゴン山の斜面で育つアラビカ
ウガンダ東部、エルゴン山の斜面に広がるブギス地区のアラビカ。ウガンダ政府系の資料ではアラビカの多くがエルゴン山で栽培され、UCDAの年報には、エルゴン山斜面の試料に柑橘・キャラメル・チョコレートの風味の記録がある(単年の試料)。SL14などの品種、ウォッシュド精製、ロブスタ主体の国での位置づけを解説
参考文献・情報ソース