ケント(Kent)
ケント
ケントは、インドや東アフリカで栽培され、いくつもの品種の親として記録に残るアラビカの品種です。World Coffee Research(WCR)の品種カタログによると、インドの代表的な品種S795は、S288とケントの交配に由来し、さび病への耐性を目的に選抜された品種で、1940年代にインドで公開されました(WCRは育成者として中央コーヒー研究所〈CCRI〉を挙げています)。タンザニアでは、1920年代にリャムング(Lyamungu)の研究所でケントが導入・研究され、そこから選抜されたKP423が1940年代に公開されています(WCR)。一方、ケント自体がいつ、どこで、誰によって選抜されたのかは、一次資料で確認できていません。
ケントの子にあたるS795のさび病への耐性は、地域や病原菌のレースによって評価が分かれるとされます(WCR)。ケント自体のさび病への耐性の程度、各国へ広まった時期、現在の産地での栽培状況も確認できていません。豆を選ぶときは、品種欄にケントや、その子にあたるS795・KP423と書かれたロットを探すと、この系統の広がりをたどることができます。
訂正(2026-10-14): 「1930年代にインド・ウガンダ・ケニア・タンザニアへ広まり」と記載していましたが、World Coffee Researchによると、タンザニアのリャムングの研究所では1920年代にすでにケントが導入・研究されていたため改めました。あわせて、一次資料で確認できない「1920年代、インド・マイソール地方のドッデングッダ農園で英国人プランターL・P・ケントが選抜」「さび病耐性を目的に選抜された世界初のアラビカ品種」「現在流通する強毒株には耐性を失っており」と、出典のない風味の記述を外しました(タンザニア ムベヤの記事の訂正に合わせた)。
タンザニア ムベヤ
南部高地で育つ、赤い果実とシトラスのクリーンカップ
タンザニア南部高地の主要なアラビカ産地、ムベヤ〜ムボジ地区。小農がブルボン種やケント由来系統をウォッシュド精製し、ストロベリー・ラズベリーの果実味とマイルドな酸のクリーンカップを生みます
インド アラクバレー
東ガーツ山脈の丘陵で部族農家が育てる、GI登録のアラビカ
アンドラ・プラデシュ州アラク渓谷のアラビカは、2019年に地理的表示(GI)「アラクバレー・アラビカ」として登録された NGOナーンディ財団の支援を起点に部族農家の協同組合が生産を担い、ブランド「アラクコーヒー」として輸出されている
インド クールグ
ロブスタ7割超、香辛料と共栽培し、インドの生産の35%を担う産地
カルナータカ州クールグ(コダグ)県は、県の資料で年間生産量がインド全体の35%にあたるコーヒー産地で、栽培面積の7割超をロブスタが占める 2019年にGI認証を受けた「クールグ・アラビカ」はS.795などの伝統品種が対象で、カルダモンや胡椒と同じ樹冠の下で栽培される
タンザニア キリマンジャロ|キリマンジャロ山麓の産地・味の特徴・品種・おすすめの淹れ方
アフリカ最高峰の麓の協同組合の一杯
タンザニア キリマンジャロはどんな味か。アフリカ最高峰の麓で育つコーヒーについて、協同組合連合KNCUの資料にある品種(ブルボン・ケント)、焙煎度と淹れ方の目安まで整理します