SL28
SL28
SL28は、ケニアのスコット農業研究所(Scott Agricultural Laboratories)が1935年に選抜したアラビカの品種です。World Coffee Research(WCR)によると、もとになったのは1931年にタンガニーカ(現在のタンザニア)で見いだされた干ばつに強い木で、SL28も干ばつに強いとされています。一方、WCRの相対評価では収量の潜在力は「Low」で、さび病とコーヒーベリー病(CBD)には弱いとされています。ケニア農業食品庁(AFA)の資料によると、ケニアのコーヒー栽培地は標高1,400〜2,400mの火山性土壌で、主な産地は中央ケニアです。
SL28は、ケニアで公開されたルイル11の父系の複合交配にも含まれています(WCR)。キリニャガ県の農家調査では、調査した農家の範囲で、栽培品種としてSL28が最も多く挙がりました(Kenya Coffee Platformの報告書)。カシス(黒スグリ)を思わせる酸味で語られることが多い品種ですが、WCRの品種資料に風味の記載はなく、この風味がSL28に固有のものかどうかは確認できていません。なお、「ケニアAA」のAAは豆の大きさによる等級で、品種名ではありません(AFA)。豆を選ぶときは、等級とは別に「SL28」と品種が明記されたロットを選ぶと、品種を確かめて選べます。
訂正(2026-10-14): SL28が「ブラックカラントを思わせる濃厚な果実味と骨格のある明るい酸味を生み出し」と記載していましたが、World Coffee Research(WCR)の品種資料に風味の記載がなかったため、「語られることが多い」風味で、品種に固有かは確認できていない、に改めました(ケニア AA SL28の記事の2026-10-11の訂正に合わせました)。「タンザニア原産の耐乾性系統」は、WCRどおり1931年にタンガニーカで見いだされた干ばつに強い木に改めました。あわせて、一次資料で確認できない「「28」は選抜番号」「ケニアの高地火山性土壌との相性が良く」「ケニアコーヒーの評価を支えてきました」、標高1700m以上という目安の記述を外しました。
南アフリカ クワズール・ナタール
標高100m台の海沿いの農園を含む小さな産地
南アフリカのコーヒーは国土全体で約200ha・年120トン規模、国際コーヒー機関(ICO)にも加盟していない小さな産地です。南ア農業省の資料による栽培の歴史、標高100m台で栽培するポート・エドワードの農園Beaver Creek、SL28・カトゥアイ・カティモールF6を紹介します
エクアドル サモラ・チンチペ
アンデスとアマゾンが接する南の辺境、Chitoコミュニティが磨く清澄なウォッシュド
エクアドル最南東部サモラ・チンチペ県は、アンデス高地とアマゾン熱帯雨林が接する標高900〜1,900mの辺境産地です Royal Coffeeが扱うChitoコミュニティのロットは48時間の水中発酵によるウォッシュドで、ライム・キャラメル・チョコレートの明るいカップです
ケニア ニエリのコーヒー|ケニア山麓の産地とSL28・SL34、カシスのような酸
ケニア山北麓が磨くカシスの酸とワインのような質感
ケニア山北西麓のニエリ県はSL28・SL34を主体とする代表産地です。二段階発酵のダブルウォッシュトで精製された豆はカシスのような凝縮した酸とワインを思わせる質感で語られ、病害耐性品種バティアンも導入されています
ウガンダ ルウェンゾリ
「月の山」に女性たちが築いたウガンダ初の地理的表示コーヒー
ウガンダ西部・ルウェンゾリ山地(月の山)標高1,200〜2,200mで栽培されるアラビカ。1999年に女性主体で発足したブコンゾ・ジョイント協同組合が牽引し、2023年にはウガンダ初の地理的表示「ルウェンゾリ マウンテンズ・オブ・ザ・ムーン」に登録された産地です
ジンバブエ 東部高地
土地改革で生産が崩れた東部高地、チピンゲとホンデバレーで進むアラビカの復興
1990年前後には年1.4万トン規模の生産があったジンバブエのコーヒーは、2000年からの土地改革で生産が崩れ、東部高地チピンゲ〜ホンデバレーで復興が進む。CatimorとSL系を主体とするウォッシュドで、Nespressoなどの製品紹介ではベリー様の明るい酸味とワイン・チョコのノートが重なると紹介されています
ザンビアのコーヒー|ノーザン州・ムチンガ州の産地・品種と味の特徴
ムチンガ山脈の台地が育む——SL28とカティモールが交差する、チョコ&シトラスのクリーンカップ
ザンビアのコーヒーは、北部のノーザン州と2011年に新設されたムチンガ州にかけての高原が中心の産地。世界銀行の資料による栽培史、SL28・カティモール129の品種、ウォッシュドのレモンとダークチョコのような味(販売店の紹介)を、確認できた範囲で解説
マラウイ ムズズ
ミスク山の高地で栽培される、繊細なシトラスと花香のアラビカ
北部ミスク丘陵・ヴィフィヤ丘陵の標高1,000〜2,000mで栽培されるマラウイのスペシャルティアラビカ。ゲイシャ・ニャイカ(Catimor 129)・SL28が混在し、ウォッシュド精製が主流。味わいの目安(本ブログの整理):シトラス・カラメル・フローラル
ウガンダ ブギスのコーヒー|エルゴン山のアラビカの産地・品種と味
ロブスタの国の東端、エルゴン山の斜面で育つアラビカ
ウガンダ東部、エルゴン山の斜面に広がるブギス地区のアラビカ。ウガンダ政府系の資料ではアラビカの多くがエルゴン山で栽培され、UCDAの年報には、エルゴン山斜面の試料に柑橘・キャラメル・チョコレートの風味の記録がある(単年の試料)。SL14などの品種、ウォッシュド精製、ロブスタ主体の国での位置づけを解説
ケニア AA SL28|ケニアの等級「AA」と品種SL28の味の特徴
黒スグリを思わせる鮮烈な酸味で語られる、大粒の等級AAとSL28
ケニアの等級「AA」(スクリーン18以上・約7.2mmの大粒の豆)と品種「SL28」の組み合わせ。黒スグリ(カシス)・トマト・柑橘を思わせる鮮烈な酸味で語られることが多い。等級の意味、SL28、発酵後に水に浸けて洗うケニアの精製、味の特徴をまとめる
参考文献・情報ソース