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フローレス バジャワ

火山の山麓とウェットハル精製のフローレス島の高地コーヒー

インドネシア・フローレス島バジャワ高地は標高1,000mを超える火山の山麓に広がる新興スペシャルティ産地。ギリン・バサ(ウェットハル)精製で仕上げられ、りんごのような酸・ブラウンシュガー・シナモンの風味で紹介される


産地情報

産地インドネシア・フローレス島 バジャワ(Bajawa / Ngada District)
品種S-795 / ティピカ(Typica)/ カティモール(Catimor)/ ティモール・ハイブリッド
標高1,000m超(EU GI仕様)、ガダ県の主要産地帯は主に1,000〜1,400m(ACIAR)
味わい青りんご・ブラウンシュガー・シナモン・チョコレート・ほのかなナッツ感・クリーンな余韻当サイトの味わいの目安です。公開ロット情報と地域の一般的傾向に基づき、特定ロットの評価や試飲記録ではありません(編集方針)。

品種情報

アラビカ種Coffea arabica最高品質

品種:S-795

インドのコーヒーボード(Coffee Board of India)によれば1940年代にリリースされたアラビカ改良種。葉さびへの耐性を持ち、インドから東南アジア各地に普及した。フローレス・バジャワの地理的表示(GI)仕様には、S795のほかアラブスタ・ティムティム(Arabusta Timtim)やティピカなどが栽培品種として掲載されている。適切な標高で栽培するとブラウンシュガーのような甘みと明瞭な酸が特徴的に発現する

  • インドで1940年代にリリース(Coffee Board of India)
  • 葉さびへの耐性
  • Flores Bajawa GI仕様の掲載品種
  • ブラウンシュガーの甘みと明瞭な酸が発現

フローレス バジャワとは

フローレス島(ポルトガル語で「花の島」の意)は、インドネシア東ヌサ・トゥンガラ州の島だ。オーストラリア国際農業研究センター(ACIAR)の報告書によれば、ガダ県(Ngada District)には標高約2,200mのイネリエ火山がそびえ、その山麓に主要産地バジャワのコーヒー園が広がる。

EU官報に掲載されたFlores Bajawaの地理的表示(GI)仕様は産地を標高1,000m超とし、ACIARの報告書はガダ県の主要なコーヒー地帯を主に標高1,000〜1,400mとしている。

スペシャルティとしての台頭

フローレスコーヒーが国際スペシャルティ市場で脚光を浴びるようになったのは2000年代後半から2010年代にかけてのことだ。島の西部、ルテン周辺のマンガライ(Manggarai)地域では、当地の地理的表示保護団体MPIG KAFMの紹介ページによると、フローレス・マンガライ・アラビカが2015年のインドネシア・アラビカ・スペシャルティコーヒーコンテストで優勝し、2018年にはAVPAの品評会でブロンズを受賞している。これはバジャワではなくマンガライの実績である。

小農家と村単位の生産体制

バジャワの生産はNgadaレゲンシー内の小農家グループが中心で、2017年の学術論文は2011年時点で25グループ・約600世帯が参加していたと報告している。Flores BajawaのGI仕様が定める指定地域は5,651ha。農家一戸あたりの栽培面積は小さく、収穫から精製まで村単位で行われるため産地のトレーサビリティが高い。収穫期は5月〜9月が主で、伝統的なギリン・バサ(ウェットハル)精製が用いられる(精製方法ごとの比率は一次資料で未確認)。近年はウォッシュドや蜜製法(ハニー)ロットも生産され、スペシャルティバイヤーの注目を集めている。


代表的な生産者・農園

代表的な農園

  • マンガライ・アラビカコーヒー地理的表示保護団体(MPIG KAFM)MPIG KAFM — Manggarai Arabica Coffee Producer Group
    🏆 2015年 インドネシア・アラビカ・スペシャルティコーヒーコンテスト優勝(MPIG KAFM掲載)
    📍 インドネシア・フローレス島 ルテン(Ruteng / Manggarai District)

    フローレス・マンガライ・アラビカの地理的表示(GI)を保護する団体。団体の紹介ページによると、同産地のコーヒーは2015年のインドネシア・アラビカ・スペシャルティコーヒーコンテストで優勝し、2018年にはAVPAの品評会でブロンズを受賞した。バジャワとは別の、島西部マンガライ地域の産地


精製方法

精製方法

🌿

ウェットハル

Wet-Hulled / Giling Basah

1
収穫→
2
果肉除去→
3
短時間乾燥→
4
湿ったまま脱穀→
5
再乾燥
ボディ
5/5
クリアさ
1/5
発酵感
3/5

インドネシア特有の製法。アーシーでトロリとしたボディ。土・木のニュアンス

フローレスで用いられるギリン・バサ(Giling Basah / ウェットハル)は、FAO/CFC/ICOの報告で北スマトラのマンデリンと結び付けて説明されている方法だ。収穫したチェリーを果肉除去し、Flores BajawaのGI仕様では12〜18時間の発酵と水洗いを経たのち、パーチメントの水分が約30%の段階で脱穀機に投入する。湿ったままパーチメントを剥ぐこの工程が生豆の色や風味にどう結び付くかを示す一次資料は確認できていない。

バジャワについては、適度な標高と昼夜の温度差がこの工程の乾燥を安定させ、スラウェシやスマトラに比べてクリーンで明るい酸が残りやすいと説明されることがあるが、一次資料では確認できていない。近年はウォッシュドや蜜精製も試験導入され、産地の風味バリエーションが広がっている。


フレーバーチャート

フレーバーチャート

酸味苦味甘みコク香り
酸味
苦味
甘み
コク
香り

公開ロット情報と地域の一般的傾向に基づく編集上の目安です。特定ロットの評価や試飲記録ではありません(編集方針)。


おすすめの焙煎度

おすすめの焙煎度

ライト焙煎深煎り

ミディアム ロースト


ポジショニングマップ

ポジショニングマップ

苦味酸味コク軽いフローレス バジャワスラウェシ トラジャスマトラ マンデリンG1パプアニューギニアエチオピア イルガチェフェコロンビア スプレモ

淹れ方のポイント

  • お湯の温度:91〜94℃
  • 挽き目:中挽き(ボディを活かすなら中細挽きも可)
  • 抽出方法:ペーパードリップ/フレンチプレス(クリーンさを重視するならペーパードリップ、ボディを引き出すならフレンチプレス)
  • 豆の量:12〜14g / 200ml(12g → りんごの酸とシナモンが際立つ、14g → チョコレートとブラウンシュガーが前に出る)

📏 基準のエビデンス

  • 豆の量:SCA(スペシャルティコーヒー協会)家庭用ブリューワー規格(SCA Standard 310)の目安 55g/kg(約1:18、200mlで11g)/日本式 1:14〜1:16(200mlで12〜14g)。本ブログは焙煎度別に世界寄りの中間値を採用
  • お湯の温度:SCA基準 90〜96℃(93℃±3)/日本式は焙煎度に応じて低めを好む。本ブログは焙煎度別に世界+日本式の折衷を採用
  • 出典:SCA Coffee Standards / Specialty Coffee Association

訂正(2026-09-29): 副題で「インドネシア最後の秘境コーヒー」としていましたが、何が「最後」なのかを含めて根拠を確認できなかったため削除しました。産地の標高を「1,200〜1,800m(一部は2,000m超)」と記載していましたが、EU官報に掲載されたFlores Bajawaの地理的表示(GI)仕様では標高1,000m超、オーストラリア国際農業研究センター(ACIAR)の報告書ではガダ県の主要なコーヒー地帯は主に1,000〜1,400mでした。これらの値に改めました。イネリエ火山の標高を「2,245m」と記載していましたが、ACIARの報告書では約2,200mでしたので改めました。エブロボ火山の標高(2,124m)、年間降水量(1,500〜2,000mm)、「バリ島から東へ約500km」は一次資料で確認できなかったため削除しました。また、コーヒー園を「茶園」と誤記していたため改めました。マンガライ産の実績を「2015年インドネシア・アラビカ・スペシャルティコーヒーコンテストで初代チャンピオン」「2018年SIALパリのAVPA Gourmet Product Awardでブロンズ」と記載し、バジャワの品質の裏付けのように書いていましたが、MPIG KAFMの紹介ページで確認できたのは2015年の同コンテストでの優勝と2018年のAVPAでのブロンズで、いずれもマンガライの実績でした。「初代」とSIALパリでの受賞という点は確認できなかったため削除し、バジャワとは別の産地の実績であることを明記しました。MPIG KAFMを「農業法人」としていましたが、同団体は地理的表示の保護団体でしたので改めました。S-795を「1940〜50年代にインドのCCRIでケントとS.288を掛け合わせて育成」「フローレスには1970〜80年代の政府奨励事業で導入」と記載していましたが、インドのコーヒーボードの資料で確認できたのは1940年代のリリースでした。リリース年代をこの資料に改め、交配親と育成機関、フローレスへの導入時期と事業は一次資料で確認できなかったため削除しました。あわせて主力品種の記述を、GI仕様に掲載された栽培品種(S795、アラブスタ・ティムティム、ティピカなど)に改めました。「14の農家グループ、各50〜100世帯」「14グループ700世帯超」は一次資料で確認できなかったため削除し、2017年の学術論文にある2011年時点の25グループ・約600世帯という報告と、GI仕様の指定地域5,651haに改めました。「カフゴ・マサ協同組合」を「バジャワ最大規模」「国際カッピングで85〜86ポイント」と紹介していましたが、組合名の表記・規模・得点は一次資料で確認できなかったため、生産者欄から削除しました。「イネリエ山麓 農家グループ連合」の紹介も、700世帯超などの内容を一次資料で確認できなかったため削除しました。ウェットハルの工程を「約12時間の発酵」「水分含有量30〜35%で脱穀」と記載していましたが、GI仕様では発酵12〜18時間、脱殻時の水分約30%でしたので改めました。

訂正(2026-09-30): 抽出の目安で「SCA(米スペシャルティコーヒー協会)Golden Cup基準」と記載していましたが、SCA(スペシャルティコーヒー協会)は米国のSCAAと欧州のSCAEが2017年に統合した団体で、「Golden Cup」は旧SCAAの名称のため、「SCA(スペシャルティコーヒー協会)家庭用ブリューワー認証の基準」に改めました。比率(55g/L、約1:18、200mlで11g)は変更していません。同日、この基準を示していた2017年の認証要件の文書がSCAのサイトで公開されなくなっていたため、現行の家庭用ブリューワー規格(SCA Standard 310-2021、水1kgに豆55g)の表記にそろえました。

訂正(2026-10-05): 精製方法の節で、ギリン・バサを「インドネシア固有の精製法」とし、湿ったままパーチメントを剥ぐことで「特有の青みがかった豆色と、スモーキーでアーシーな風味の素地が形成される」と記載していましたが、姉妹記事スマトラ マンデリン・ガヨで同日に一次資料を見直したところ、FAO/CFC/ICOの報告で確認できたのは、この方法を北スマトラのマンデリンと結び付けた説明までで、ほかの国にないことや、工程と生豆の色・風味との因果は確認できませんでした。「固有」を外して同報告の説明に改め、豆の色と風味の因果の記述は削除しました。GI仕様の発酵時間と脱穀時の水分は変更していません。同じ理由で、副題の「独自ウェットハル」、説明文の「ギリン・バサ(ウェットハル)精製が生むりんごのような酸・ブラウンシュガー・シナモンの風味が国際バイヤーを惹きつける」、本文の「適度な標高と昼夜の温度差がこの工程の乾燥を安定させ…よりクリーンでブライトな酸が残りやすい傾向がある」、淹れ方の「ウェットハル由来のボディ」も、工程と風味の因果や評価を示す一次資料を確認できなかったため、因果と評価を外すか、説明されることがある内容として示す形に改めました。あわせて、ギリン・バサを「大半を占める」「フローレスで主流となる」、ウォッシュドやハニーのロットを「少量生産」としていましたが、フローレスでの精製方法ごとの比率を示す一次資料は確認できなかったため、ギリン・バサは「用いられる」に改め、ウォッシュドやハニーのロットの「少量」は外しました。「涼しい気候と昼夜の温度差がコーヒーチェリーの熟成をゆっくり進める」は、気候と成熟速度を結ぶ観測や試験を確認できなかったため削除しました。ギリン・バサがほかの国で行われていないか、工程と生豆の色・風味の因果、精製方法ごとの比率、気候と成熟速度の関係は確認できていません。


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