ブラジル スル・ジ・ミナス

国内生産の3割を担う小農家の集積地が生むフルボディの甘み

ミナスジェライス州南部146市にまたがるブラジル最大の生産地。カトゥアイ・ムンド・ノーヴォ・イカツ・オバタをナチュラル精製で仕上げ、フルボディと果実香に柑橘系の爽やかさを重ねる一杯に仕立てる


産地情報

産地ブラジル・スル・ジ・ミナス(ミナスジェライス州南部 146市)
品種カトゥアイ(Catuaí)、ムンド・ノーヴォ(Mundo Novo)、イカツ(Icatu)、オバタ(Obatã)
標高800〜1,300m(平均約950m)
味わいフルボディ・フルーティーな香り・穏やかな柑橘系の酸・キャラメルの甘み

品種情報

アラビカ種Coffea arabica最高品質

品種:オバタ(Obatã IAC 1669-20)

ヴィラ・サルチとチモール・ハイブリッドの交配系統(H 361/4)を親に、ブラジル・カンピナス農業研究所(IAC)が育成し2000年に登録した品種。低樹高で密植に向き、サビ病(コーヒーさび病)への耐性を備える。スル・ジ・ミナスの小規模農家にとって、農薬コストを抑えながら安定した収量を確保できる実用品種として広まった

  • 低樹高・広い葉で密植栽培に適し小農家の労力を軽減
  • サビ病耐性により薬剤散布の手間とコストを抑えられる
  • カトゥアイに匹敵する生産性とバランスの良いカップクオリティ

スル・ジ・ミナスとは

スル・ジ・ミナス(Sul de Minas/南ミナス)は、ブラジル南東部・ミナスジェライス州南部に広がる146市にまたがる産地区域です。19世紀半ば、イタリアやシリア・レバノンからの移民が入植したことをきっかけにコーヒー栽培が定着し、以来ブラジルを代表する生産地へと発展しました。年平均気温はおよそ22℃と温暖で、標高800〜1,300m(平均約950m)の丘陵地に、10〜100ヘクタール規模の小規模農家が密集しています。

産地の規模はブラジル最大級で、国内コーヒー生産量の約3割がこの地域から生み出されます。主要品種はカトゥアイ・ムンド・ノーヴォ・イカツ・オバタで、いずれもブラジル農業研究機関(IAC)が育成した実用品種です。ヴァルジーニャ(Varginha)やトレス・ポンタス(Três Pontas)、グアシュペ(Guaxupé)、イリシネア(Ilicínea)といった市が主要な集積地として知られています。

小農家の集積が生むナチュラル精製の厚み

スル・ジ・ミナスの気候は、コーヒーの結実期に雨が集中し、収穫期にあたる乾季(5〜9月)はほとんど降雨がありません。この乾いた冬が、収穫したチェリーをそのまま天日乾燥させるナチュラル精製に適した環境をつくります。小規模農家が丁寧に手摘みしたチェリーは、乾燥棚やコンクリートパティオに広げられ、果肉と種子が触れ合ったまま糖分をゆっくり凝縮。フルボディで果実香豊かなカップに、柑橘系の爽やかな酸が重なる仕上がりになります。


代表的な農園・協同組合

代表的な農園

  • コオシュペ(Cooxupé)Cooperativa Regional de Cafeicultores em Guaxupé
    📍 ブラジル・ミナスジェライス州 グアシュペ市(Guaxupé)

    1932年に農業信用組合として発足し、1957年に現体制へ改組。組合員1万3,000名超(うち82.6%が家族農家・小規模生産者)を抱える世界最大級のコーヒー協同組合で、スル・ジ・ミナスを中心にセラードやサンパウロ州リオ・パルド流域の200以上の市町村で活動する。年間400万袋超のアラビカ種を国際市場へ輸出する

  • ファゼンダ・サンタ・マリアFazenda Santa Maria
    📍 ブラジル・ミナスジェライス州 イリシネア市(Ilicínea)⛰️ 1,340m

    400ヘクタール規模のスペシャルティ農園。SCAカッピングスコア84〜87点台のロットを安定的に生産し、標高の高さを活かした緻密なチェリーで知られる

  • ファゼンダ・ウン(Fazenda Um)Fazenda Um
    📍 ブラジル・ミナスジェライス州南部⛰️ 1,100〜1,300m

    2009年、放棄されていた農地を再生する形で設立されたスペシャルティ専業農園。ムンド・ノーヴォのナチュラル精製ロットでSCA83点前後を記録する。創業家からは2023年にブラジル人初のワールド・バリスタ・チャンピオンを輩出し、国際的な注目を集めた


精製方法

精製方法

☀️

ナチュラル

Natural / Dry Process

1
収穫
2
そのまま乾燥
3
(長期間)
4
脱穀
ボディ
4/5
クリアさ
2/5
発酵感
5/5

フルーティーで甘みが強い。ベリー系の発酵感とワインのような複雑さ

スル・ジ・ミナスのナチュラルでは、完熟したチェリーを乾燥棚またはコンクリートパティオに薄く広げ、乾季の乾いた風にさらします。収穫は6〜8月に集中し、この時期はほぼ降雨がないため均一な乾燥が進みます。乾燥期間は概ね3〜4週間。果肉に含まれる糖分が種子へゆっくり移行し、フルボディと果実香、キャラメルの甘みを備えたカップに仕上がります。


フレーバーチャート

フレーバーチャート

酸味苦味甘みコク香り
酸味
苦味
甘み
コク
香り

おすすめの焙煎度

おすすめの焙煎度

ライト焙煎深煎り

ミディアム ロースト


ポジショニングマップ

ポジショニングマップ

苦味酸味コク軽いブラジル スル・ジ・ミナスブラジル サントスNo.2ブラジル セラード・ミネイロペルー チャンチャマヨコロンビア ウイラケニア AAエチオピア イルガチェフェ

淹れ方のポイント

  • お湯の温度:88〜92℃(ナチュラルの甘みを引き出しつつ柑橘系の酸を活かす中低温域)
  • 挽き目:中挽き〜中粗挽き(ペーパードリップ:中挽き、フレンチプレス:中粗挽き)
  • 抽出方法:ハリオV60・メリタなどのペーパードリップ推奨。フレンチプレスでもフルボディの厚みが際立つ
  • 豆の量:12〜14g / 200ml(12g → 柑橘系の酸とフルーティーな香りが前面へ、14g → キャラメルの甘みとボディの厚みが際立つ)

📏 基準のエビデンス

  • 豆の量:SCA(米スペシャルティコーヒー協会)Golden Cup基準 1:18(200mlで11g)をベースに、ナチュラル精製の凝縮した甘みを活かすため1:14〜1:16(12〜14g)を推奨
  • お湯の温度:SCA基準 90〜96℃(93℃±3)のうち中低温側88〜92℃を採用。ナチュラルの過剰発酵ノートを抑えつつ柑橘系の酸と甘みのバランスを取る
  • 出典:SCA Coffee Standards / Specialty Coffee Association

ブラジルの他の銘柄については、ブラジル サントスNo.2(伝統的な等級区分による標準銘柄)やブラジル セラード・ミネイロ(ブラジル初のDO認証産地)、ブラジル アルタ・モジアナ(パルプドナチュラル発祥の地)も合わせてご覧ください。


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