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ブラジル シャパーダ・ジアマンチーナのコーヒー|2024年に原産地呼称を得たバイーア州の高地産地

原産地呼称を得た新興高地ナチュラル

ブラジル北東部バイーア州の高原シャパーダ・ジアマンチーナは、2024年にコーヒーの原産地呼称(DO)を得た産地。仕様書が定める標高は原則850m以上。ピアタンの農園と小農家グループ、カトゥアイなどの品種、ナチュラル精製、オレンジとパネラ糖を思わせる甘さをまとめる


産地情報

産地ブラジル・バイーア州 シャパーダ・ジアマンチーナ(ムクジェ、ピアタン、イビコアラ等24市町村)
品種カトゥアイ(赤・黄)、カトゥカイ2SL(Catucaí 2SL)、トパージオ(Topázio)
標高原産地呼称の仕様では原則850m以上(地域全体の標高範囲は一次資料で未確認)
味わいオレンジ・パネラ糖(未精製サトウキビ糖)・ハニーヌガー・ダークチョコレート・フローラルな香り当サイトの味わいの目安です。公開ロット情報と地域の一般的傾向に基づき、特定ロットの評価や試飲記録ではありません(編集方針)。

品種情報

アラビカ種Coffea arabica最高品質

品種:カトゥアイ(Catuaí)

1949年にカンピーナス農業研究所(IAC)がムンド・ノーヴォとカトゥーラを交配して育成した品種。赤果と黄果の系統があり、樹高が低く倒伏に強いため密植・機械収穫に向く。シャパーダ・ジアマンチーナでは赤黄両系統が主力品種として栽培されている

  • 低樹高で栽培・収穫効率が高い——ブラジル全土で最も普及した品種のひとつ
  • 倒伏・機械収穫耐性高い一方、さび病への耐性は品種改良前で弱い

品種情報

アラビカ種Coffea arabica最高品質

品種:カトゥカイ2SL(Catucaí 2SL)

シャパーダ・ジアマンチーナのピアタンでは小農家グループのロットに多く用いられる

  • ピアタンの小農家グループの共同ロットで用いられる

シャパーダ・ジアマンチーナとは

シャパーダ・ジアマンチーナは、ブラジル北東部バイーア州の内陸、州都サルバドールから西へ約400kmに広がる高原地帯です。ムクジェ(Mucugê)・ピアタン(Piatã)・イビコアラ(Ibicoara)・ラゴア・ダマルガ・イガトゥ等を含む24市町村を対象に、2024年10月15日、ブラジル国立工業所有権院(INPI)がコーヒーの原産地呼称(Denominação de Origem、DO)として登録しました。バイーア州政府によれば、バイーア州で初めての原産地呼称(DO)です。認定の根拠として、シャパーダ・ジアマンチーナ産の豆は他のバイーア州・ブラジル産と比べて有機酸・クロロゲン酸・脂質の含有量が高いという化学分析結果が示されています。

原産地呼称の仕様書が定める栽培地の標高は原則850m以上です。高原は乾季と雨季が明瞭な半乾燥気候で、収穫はほぼすべて手摘みです。ミナスジェライスやサンパウロの産地と違い機械化率が低く、家族経営の小規模農園が中心となっている点がこの産地の特徴です。バイーア州全体の2024年産の生産量は、ブラジル国家食糧供給公社(CONAB)の2024年5月の報告で約356万袋(60kg換算)と予測されていますが、そのうち大部分は南部の低地カカオ地帯や灌漑セラード地区が占め、シャパーダ・ジアマンチーナの手摘みナチュラルはごく小さな比率にとどまります。

2009年カップ・オブ・エクセレンスでの躍進

シャパーダ・ジアマンチーナが国際的に知られるきっかけとなったのが2009年のブラジル・カップ・オブ・エクセレンス(COE)です。Alliance for Coffee Excellence(ACE)の公式結果(パルプドナチュラル部門)では、この年の上位10ロットのうち1位・5位・7位・10位の4ロットがピアタン産でした。以後、ピアタンとムクジェの生産者が国際市場で継続的に評価されています。


代表的な農園・協同組合

代表的な農園

  • ファゼンダ・プログレッソFazenda Progresso
    📍 ブラジル・バイーア州 ムクジェ市⛰️ 1,150〜1,200m👤 ボレ家(ファビアーノ・ボレ氏)

    農園の公式サイトでは、ボレ家が1984年に土地を取得し、2005年にコーヒー栽培を始めた。カトゥアイ144とトパージオを中心にナチュラル・パルプドナチュラル製法で仕上げる。アライアンス・フォー・コーヒー・エクセレンス(ACE)の記録では、2017年のカップ・オブ・エクセレンスで87.17点・20位

  • ピアタン小農家グループSmall Producers of Piatã
    📍 ブラジル・バイーア州 ピアタン市

    クリスチアーネ・キンテラ氏らの家族農家(各5〜10ヘクタール規模)が持ち寄るパルプドナチュラルのロット。ACEの公式史でカップ・オブ・エクセレンスの初期チームの一人と記録されているシルヴィオ・レイチ氏が品質選定に関わることで知られ、オレンジ・ハニーヌガー・トーストアーモンドの重なる甘さが特徴

  • COOPERBIO(バイーア高原有機・ビオディナミ生産者協同組合)COOPERBIO — Cooperativa de Produtores Orgânicos e Biodinâmicos da Chapada Diamantina
    📍 ブラジル・バイーア州 イビコアラ市

    1999年、それまで仲買人経由のみだった小規模生産者たちが結成した有機コーヒー生産者協同組合。イビコアラ・ビオディナミ協会(ABI)と連携し14農園が加盟、2016年以降に生産量を3倍に伸ばした


精製方法

精製方法

☀️

ナチュラル

Natural / Dry Process

1
収穫→
2
そのまま乾燥→
3
(長期間)→
4
脱穀
ボディ
4/5
クリアさ
2/5
発酵感
5/5

フルーティーで甘みが強い。ベリー系の発酵感とワインのような複雑さ

シャパーダ・ジアマンチーナの多くの生産者は完熟チェリーをそのままパティオや乾燥棚に広げるナチュラル、または果肉のみ機械除去してミューシレージを残すパルプドナチュラルで仕上げます。乾燥期間はナチュラルで2〜3週間程度が目安です。


フレーバーチャート

本ブログが目安とする味わいは、パネラ糖(精製度の低いサトウキビ糖)を思わせる甘さと石果(ストーンフルーツ)系の酸です。

フレーバーチャート

酸味苦味甘みコク香り
酸味
苦味
甘み
コク
香り

公開ロット情報と地域の一般的傾向に基づく編集上の目安です。特定ロットの評価や試飲記録ではありません(編集方針)。


おすすめの焙煎度

おすすめの焙煎度

ライト焙煎深煎り

ミディアム ロースト


ポジショニングマップ

ポジショニングマップ

苦味酸味コク軽いブラジル シャパーダ・ジアマンチーナブラジル サントスNo.2ブラジル アルタ・モジアナブラジル セラード・ミネイロコロンビア ウイラエチオピア イルガチェフェ

淹れ方のポイント

  • お湯の温度:88〜92℃(中煎りでフローラルな香りと甘みを引き立てる中低温域)
  • 挽き目:中挽き(ペーパードリップ標準)
  • 抽出方法:ハリオV60等のペーパードリップ推奨。オレンジやパネラ糖の甘みが素直に立ち上がる
  • 豆の量:12〜13g / 200ml(ナチュラル特有の甘みとボディを活かす中間値)

📏 基準のエビデンス

  • 豆の量:SCA(スペシャルティコーヒー協会)家庭用ブリューワー規格(SCA Standard 310)の目安 55g/kg(約1:18、200mlで11g)をベースに、ナチュラルの甘みとボディを活かすため1:15〜1:17(12〜13g)を推奨
  • お湯の温度:SCA基準 90〜96℃(93℃±3)のうち中低温側88〜92℃を採用し、フローラルな香りを損なわず甘みを引き出す
  • 出典:SCA Coffee Standards / Specialty Coffee Association

ブラジルの他の銘柄については、ブラジル サントスNo.2(伝統的な等級区分による標準銘柄)、ブラジル セラード・ミネイロ(原産地呼称〈DO〉の産地)、ブラジル アルタ・モジアナも合わせてご覧ください。


目的別に次に読む


訂正(2026-09-29): ブラジル セラード・ミネイロへのリンクに「ブラジル初のDO認証産地」と添えていましたが、ブラジル産業財産庁(INPI)の記録で確認できたのは2013年に原産地呼称(DO)として登録されたことで、「ブラジル初」は一次資料で確認できなかったため「原産地呼称〈DO〉の産地」に改めました。追加の照合で、INPIへの原産地呼称の登録を「2024年10月」「バイーア州で初めてコーヒーがDO指定産地となりました」と記載していましたが、INPIの登録証では登録日は2024年10月15日、対象は24市町村のDOで、バイーア州政府の発表で確認できたのは「バイーア州初の原産地呼称(DO)」であることでした。州で初めてのコーヒーの地理的表示と読める表現を改めました。2009年のブラジル・カップ・オブ・エクセレンスで「上位10ロットのうち5ロットをピアタン産の小農家グループが占め」と記載していましたが、ACEの公式結果ではピアタン産は1位・5位・7位・10位の4ロットでした。4ロットに改め、一次資料で確認できなかった「大規模農園が主役だったブラジルCOEに標高1,300m超の家族経営産地が割って入った」は削除しました。バイーア州の生産量を「約361万袋(コナブ2024年集計)」と記載していましたが、CONABの2024年5月の報告では約356万袋の予測でした(361万袋は州側の初期見込み)。CONABの予測値に改めました。標高を「1,150〜1,400m」、ピアタンを「1,300〜1,400m」と記載していましたが、原産地呼称の仕様書が示すのは原則850m以上という条件で、地域全体の上下限ではなく、ピアタンの標高帯は一次資料で確認できませんでした。仕様書の条件に改め、ピアタンの標高は削除しました(ファゼンダ・プログレッソの1,150〜1,200mはACEの記録で確認)。ファゼンダ・プログレッソを「1984年開拓・総面積530ヘクタール」「2015年のカップ・オブ・エクセレンスで初出場15位」「2017年収穫ロットは87.17点」と記載していましたが、農園の公式サイトでは1984年は土地の取得でコーヒー栽培の開始は2005年、ACEの記録では2017年のカップ・オブ・エクセレンスで87.17点・20位でした。これらに改め、530ヘクタールと2015年の15位は確認できなかったため削除しました。カトゥカイ2SLを「イカツとカトゥアイを交配してファゼンダ・カトゥカイ(ミナスジェライス州)が育成」、ピアタンの小農家グループを「7戸」と記載していましたが、交配親・育成主体と戸数は一次資料で確認できなかったため削除し、交配親を前提にした特徴(イカツ譲りの生産性とカトゥアイ譲りの低樹高)も削除しました。シルヴィオ・レイチ氏を「カップ・オブ・エクセレンス共同創設者」と記載していましたが、ACEの公式史では初期チームの一人として記録されていたため、その表現に改めました。追加の照合で、ブラジル アルタ・モジアナへのリンクに「パルプドナチュラル発祥地」と添えていましたが、アルタ・モジアナを起源とする一次資料は確認できなかったため、この添え書きを削除しました。

訂正(2026-09-30): 抽出の目安で「SCA(米スペシャルティコーヒー協会)Golden Cup基準」と記載していましたが、SCA(スペシャルティコーヒー協会)は米国のSCAAと欧州のSCAEが2017年に統合した団体で、「Golden Cup」は旧SCAAの名称のため、「SCA(スペシャルティコーヒー協会)家庭用ブリューワー認証の基準」に改めました。比率(55g/L、約1:18、200mlで11g)は変更していません。同日、この基準を示していた2017年の認証要件の文書がSCAのサイトで公開されなくなっていたため、現行の家庭用ブリューワー規格(SCA Standard 310-2021、水1kgに豆55g)の表記にそろえました。

訂正(2026-10-15): ミナスジェライス州を「ブラジル最大の生産州」と記載していましたが、州別の生産量の順位を年度とともに示す一次資料を記事で示していなかったため、比較の表現を削除しました。

訂正(2026-10-16): 精製方法で「標高の高さと合わせてクリーンな甘みにつながっています」と記載していましたが、標高と風味の因果を示す一次資料は記事で示していなかったため、「標高の高さと合わせて」を削除しました。あわせて、同じ文の後半「ほぼすべての収穫が手摘みのため熟度の揃ったチェリーを選別しやすく、乾燥中の発酵管理も行き届きやすい点が、クリーンな甘みにつながっています」も、手摘み・発酵管理と味わいの因果を示す一次資料を記事で挙げていなかったため削除しました。品種欄でも、カトゥアイの「赤果系はベリー寄りの甘酸っぱさ、黄果系はより穏やかで丸い甘みが出やすい」、カトゥカイ2SLの「パネラ糖・ハニーヌガーを思わせる甘みが出やすい」「パネラ糖(精製度の低いサトウキビ糖)を思わせる甘さと石果(ストーンフルーツ)系の酸を伴うカップに寄与する」と記載していましたが、品種と味わいの因果を示す一次資料を記事で挙げていなかったため、前二者は削除し、後者は品種カードの説明から外して、フレーバーチャートの節に「本ブログが目安とする味わいは、パネラ糖(精製度の低いサトウキビ糖)を思わせる甘さと石果(ストーンフルーツ)系の酸です」として移しました。

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