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ブラジル アルタ・モジアナ

鉄道が拓いた老舗産地、パルプドナチュラルの甘み

サンパウロ・ミナス両州境に広がる産地アルタ・モジアナ。標高約900〜1,000mの台地でイエロー・ブルボンやアカイアを育て、パルプドナチュラル製法でダークチョコレートとナッツ、ストーンフルーツが重なる上品な甘みを引き出す


産地情報

産地ブラジル・アルタ・モジアナ(サンパウロ州北東部〜ミナスジェライス州南西部)
品種イエロー・ブルボン(Yellow Bourbon)、アカイア(Acaiá)、ムンド・ノーヴォ(Mundo Novo)
標高約900〜1,000m(INPIの地理的表示仕様書にある台地の概略の標高)
味わいダークチョコレート・ローストウォールナッツ・ストーンフルーツ・ブラウンシュガー・まろやかなボディ当サイトの味わいの目安です。公開ロット情報と地域の一般的傾向に基づき、特定ロットの評価や試飲記録ではありません(編集方針)。

品種情報

アラビカ種Coffea arabica最高品質

品種:アカイア(Acaiá)

1977年、カンピーナス農業研究所(IAC)がムンド・ノーヴォの選抜系統から育成した品種。トゥピ・グアラニー語で「大きな種を持つ果実」を意味する名の通り、大粒の豆が特徴。機械収穫に適し、アルタ・モジアナやセラードの大規模農園で広く採用されている

  • 大粒でムンド・ノーヴォより粒揃いが良い豆——選別効率と見栄えの両方に貢献
  • チョコレート・キャラメル・ナッツの甘みが軸、冷めるとシトラスや花のニュアンスも
  • 機械収穫への対応力を備え、家族経営から大規模農園まで幅広く栽培

アルタ・モジアナとは

アルタ・モジアナは、ブラジル南東部・サンパウロ州北東部からミナスジェライス州南西部にまたがるコーヒー産地です。サンパウロ側はフランカ(Franca)、クリスタイス・パウリスタ(Cristais Paulistas)、パトロシニオ・パウリスタ(Patrocínio Paulista)など、ミナス側はサン・セバスチアン・ド・パライーゾ(São Sebastião do Paraíso)、イビラシ(Ibiraci)、サクラメント(Sacramento)などの市を含みます。

サンパウロ州カンピーナスを起点に敷設された鉄道網(モジアナ鉄道)の延伸に伴ってコーヒー栽培がこの高地へ広がったことが「モジアナ」という産地名の由来です。リベイラン・プレト市の公文書館の記録では、同鉄道のリベイラン・プレト駅は1883年11月23日に開業し、恒久的な駅舎は1884年に置かれました。ブラジル産業財産庁(INPI)の地理的表示の仕様書では、産地の台地の標高は概ね900〜1,000mです。こうした台地の立地に加え、年間を通じて明確な雨季・乾季のリズムを持つ熱帯性気候が、糖度の高いチェリーを育みます。

パルプドナチュラル製法

この記事では、アルタ・モジアナのパルプドナチュラル(セミウォッシュド)製法のコーヒーを取り上げます。果肉を機械で除去したうえでミューシレージ(粘液質)を残したまま乾燥させるこの製法は、ウォッシュドのクリーンさとナチュラルの甘みを両立させます。


代表的な農園・協同組合

代表的な農園

  • ファゼンダ・ボン・ジェズスFazenda Bom Jesus
    📍 ブラジル・サンパウロ州 クリスタイス・パウリスタ市

    家族経営農園。2006年にUTZ認証を取得し、2008年からレインフォレスト・アライアンス認証も継続。アルタ・モジアナ・スペシャルティコーヒー協会(AMSC)の創設メンバーのひとつ

  • COOXUPÉ サン・セバスチアン・ド・パライーゾ支所Cooxupé — São Sebastião do Paraíso Advanced Unit
    📍 ブラジル・ミナスジェライス州 サン・セバスチアン・ド・パライーゾ市

    コーヒー協同組合COOXUPÉが構える出張拠点のひとつ。アルタ・モジアナ ミナス側の組合員農家から集荷・精選・品質管理・輸出までを一貫してサポートし、地域全体のトレーサビリティ向上に寄与する


精製方法

精製方法

🍯

ハニー(イエロー)

Yellow Honey Process

1
収穫→
2
果肉除去(中程度)→
3
乾燥→
4
脱穀
ボディ
3/5
クリアさ
3/5
発酵感
3/5

バランスの良い甘みと酸味。蜂蜜やカラメルのニュアンス

パルプドナチュラルでは、収穫した完熟チェリーを機械(パルパー)で果肉除去したのち、粘液質(ミューシレージ)を一定量残したままパティオや乾燥棚に広げて天日乾燥させます。ウォッシュドのように水洗いで粘液質を完全に洗い流さないため、糖分が種子に浸透する時間を確保しつつ、ナチュラルほど長時間チェリーごと乾燥させないぶん発酵由来の雑味を抑えられます。乾燥期間は10〜15日程度とナチュラルより短く、仕上がりはクリーンさと甘み・ボディのバランスに優れたカップになります。


フレーバーチャート

フレーバーチャート

酸味苦味甘みコク香り
酸味
苦味
甘み
コク
香り

公開ロット情報と地域の一般的傾向に基づく編集上の目安です。特定ロットの評価や試飲記録ではありません(編集方針)。


おすすめの焙煎度

おすすめの焙煎度

ライト焙煎深煎り

ミディアム ロースト


ポジショニングマップ

ポジショニングマップ

苦味酸味コク軽いブラジル アルタ・モジアナブラジル サントスNo.2ブラジル セラード・ミネイロコロンビア ウイラグアテマラ アンティグアケニア AAブラジル シャパーダ・ジアマンチーナ

淹れ方のポイント

  • お湯の温度:88〜92℃(パルプドナチュラルのクリーンな甘みを引き立てる中低温域)
  • 挽き目:中挽き(ペーパードリップ標準)
  • 抽出方法:ハリオV60・メリタなどのペーパードリップ推奨。ナッツやチョコレートのニュアンスが素直に立ち上がる
  • 豆の量:12〜13g / 200ml(甘みとボディのバランスを重視した中間値)

📏 基準のエビデンス

  • 豆の量:SCA(スペシャルティコーヒー協会)家庭用ブリューワー規格(SCA Standard 310)の目安 55g/kg(約1:18、200mlで11g)をベースに、パルプドナチュラルの甘みとボディを活かすため1:15〜1:17(12〜13g)を推奨
  • お湯の温度:SCA基準 90〜96℃(93℃±3)のうち中低温側88〜92℃を採用し、過度な渋みを避けつつ甘みを引き出す
  • 出典:SCA Coffee Standards / Specialty Coffee Association

ブラジルの他の銘柄については、ブラジル サントスNo.2(伝統的な等級区分による標準銘柄)やブラジル セラード・ミネイロ(原産地呼称〈DO〉の産地)、ブラジル シャパーダ・ジアマンチーナ(バイーア州初のDO認証産地)も合わせてご覧ください。

訂正(2026-09-29): ブラジル セラード・ミネイロへのリンクに「ブラジル初のDO認証産地」と添えていましたが、ブラジル産業財産庁(INPI)の記録で確認できたのは2013年に原産地呼称(DO)として登録されたことで、「ブラジル初」は一次資料で確認できなかったため「原産地呼称〈DO〉の産地」に改めました。追加の照合で、標高を「800〜1,270m」(産地情報・説明文)、「800〜1,200m、平均標高847m」(本文)、アカイアを「標高800〜1,200mの高地で栽培」、ボン・ジェズスを「1,000〜1,270m」と記載していましたが、ブラジル産業財産庁(INPI)の地理的表示の仕様書で確認できたのは台地の概略の標高が約900〜1,000mであることで、記事の各数値は一次資料で確認できなかったため、産地の標高をINPIの概略値に改め、アカイアとボン・ジェズスの標高は削除しました。これを前提にしていたアカイアの「高地適性」も削除しました。「約5,000軒の農家が約12万ヘクタールで年間約450万袋を生産」は一次資料で確認できなかったため削除しました。「産地の歴史は1880年代に遡る」と記載していましたが、リベイラン・プレト市の公文書館で確認できたのは、モジアナ鉄道のリベイラン・プレト駅が1883年11月23日に開業し、恒久的な駅舎が1884年に置かれたことでした。産地の歴史の始まりとしての年代は削除し、駅の開業と駅舎の年を分けて記載しました。アカイアの「さび病への中程度の耐性」は一次資料で確認できなかったため削除しました。副題と見出しの「パルプドナチュラル製法の主要産地」、本文の「パルプドナチュラル製法が広く採用される産地のひとつ」「スペシャルティコーヒーを特徴づける精製方法として定着」は一次資料で確認できなかったため削除し、この記事で取り上げる精製方法としての説明に改めました。ボン・ジェズスの「ほぼ150年続く」「アルタ・モジアナ地域で初めてUTZ認証」、COOXUPÉの「世界最大級のコーヒー協同組合」は一次資料で確認できなかったため削除しました。

訂正(2026-09-30): 抽出の目安で「SCA(米スペシャルティコーヒー協会)Golden Cup基準」と記載していましたが、SCA(スペシャルティコーヒー協会)は米国のSCAAと欧州のSCAEが2017年に統合した団体で、「Golden Cup」は旧SCAAの名称のため、「SCA(スペシャルティコーヒー協会)家庭用ブリューワー認証の基準」に改めました。比率(55g/L、約1:18、200mlで11g)は変更していません。同日、この基準を示していた2017年の認証要件の文書がSCAのサイトで公開されなくなっていたため、現行の家庭用ブリューワー規格(SCA Standard 310-2021、水1kgに豆55g)の表記にそろえました。

訂正(2026-10-15): 説明文でアルタ・モジアナを「ブラジル屈指の銘醸地」と記載していましたが、国内の産地を比べた一次資料を確認できなかったため、比較の表現を削除しました。

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