ペルー クスコ(ラ・コンベンシオン)

農民運動から生まれた協同組合が守る、マチュピチュ山麓のオーガニック

ペルー南部クスコ県ラ・コンベンシオン郡、標高1,300〜2,200mのアンデス東斜面で栽培されるアラビカ。1969年農地改革を経て1967年設立のCOCLA協同組合が3,500戸超を束ね、オーガニック・フェアトレード認証で欧米市場へ供給する。チョコレート・チェリー・柑橘が調和するフルボディ


産地情報

産地ペルー・クスコ県ラ・コンベンシオン郡(ビルカバンバ/オコバンバ/ワヨパタ/サンタアナ/エチャラテ)
品種ティピカ・カトゥーラ・ブルボン・カティモール
標高1,300〜2,200m
味わいチョコレート・チェリー・オレンジ・トースティなナッツの余韻

品種情報

アラビカ種Coffea arabica最高品質

品種:ティピカ(Typica)/カトゥーラ(Caturra)

ラ・コンベンシオン郡のコーヒーはティピカ・カトゥーラ・ブルボン・カティモールが中心で、いずれも19世紀後半以降にアンデス東斜面(セルバ・アルタ)へ持ち込まれた系統。ティピカはアラビカ最古の品種で高標高ほど生長が遅く風味が凝縮し、カトゥーラはブルボンの自然突然変異で樹高が低く小規模畑での密植に向く。標高1,300〜2,200mの幅は郡内のビルカバンバ・オコバンバ・ワヨパタ・サンタアナ・エチャラテという5地区の微気候差を反映しており、同じ協同組合内でもロットごとに酸味・ボディの出方が変わる

  • ティピカ・カトゥーラが主力、カティモールも一定比率
  • 標高1,300〜2,200mのアンデス東斜面(ウルバンバ川流域)
  • ウォッシュドが約9割、残りをハニー・ナチュラルが占める
  • 協同組合中心の小規模農家生産で100%オーガニック認証の畑を含む

ペルー・クスコ(ラ・コンベンシオン)コーヒーとは

ペルー(Peru) は世界の生産量で上位10カ国前後に入る産地国で、栽培はアンデス東斜面の セルバ・アルタ(Selva Alta) に南北に連なる。北部カハマルカ、中部フニン(チャンチャマヨ)に続き、南部の クスコ県(Cusco) はマチュピチュ遺跡を擁する観光地としても知られるが、その山麓ではペルーを代表するコーヒー産地のひとつが広がっている。中心地は県北西部の ラ・コンベンシオン郡(La Convención)、郡都はウルバンバ川支流沿いの キジャバンバ(Quillabamba)。標高 1,300〜2,200m の谷筋にビルカバンバ・オコバンバ・ワヨパタ・サンタアナ・エチャラテの5地区が広がり、収穫期は4〜9月に及ぶ。

農民運動と農地改革が生んだ協同組合(1958〜1969年)

ラ・コンベンシオン郡は20世紀前半までハシエンダ(大農園)制のもとで小作農が土地を持たない状態が続いていたが、1958〜1963年に農民指導者ウーゴ・ブランコ・ガルドンの下で組合結成と土地占拠が広がり、ペルー史上有数の農民運動として全国の注目を集めた。1963年には軍事政権が農地改革法を施行してこの地域から改革が始まり、1969年にはフアン・ベラスコ・アルバラード政権が全国規模の農地改革を法制化してハシエンダを解体、土地は小規模農家の手に渡った。この過程のさなかの1967年、コーヒー栽培農家が COCLA(Central de Cooperativas Agrarias Cafetaleras、ラ・コンベンシオン農業コーヒー協同組合連合) を設立し、点在する複数の一次協同組合を束ねる二段階組織として発展した。

協同組合モデルとオーガニック・フェアトレードへの転換

COCLAは現在、21の一次協同組合と3,500戸超の小規模農家を束ね、栽培面積は約2,972ヘクタール、そのすべてがオーガニック認証を取得している。精製はウォッシュドが約9割、ハニー・ナチュラルが残り1割程度を占める。土地改革で得た小区画を家族単位で耕作するという生産構造がそのままフェアトレード・オーガニック認証との親和性を生み、欧米スペシャルティ市場での評価につながっている。

ペルー全体の生産動向

ペルー全体の生産量は2025/26年(4〜3月)が前年比15.6%増の約476.4万袋(60kg換算)に回復し、輸出量も前年の390.8万袋から16.5%増の約454.6万袋を記録した。輸出先は米国が32%を占め首位、ドイツ16%、ベルギー11%と続く。一方で2013年に始まったサビ病(コーヒーさび病)が全体の約4割の畑に影響し、2020年以降は標高1,500m以下でコーヒーノミキクイムシの被害も続くなど、構造的な課題も抱える。クスコの畑は多くが1,300m以上に位置し、低標高ほど深刻な虫害の影響を受けにくい点も強みのひとつになっている。


代表的な産地・生産者

代表的な農園

  • COCLA(協同組合連合)Central de Cooperativas Agrarias Cafetaleras
    🏆 全栽培面積オーガニック認証・フェアトレード認証
    📍 ペルー・クスコ県ラ・コンベンシオン郡(キジャバンバ本部)⛰️ 1,300〜2,200m

    1967年設立、21の一次協同組合と3,500戸超の小規模農家を束ねる連合組織。栽培面積約2,972ヘクタールの全量がオーガニック認証。フェアトレード認証も取得し、収益の一部で道路・教育・医療インフラへの投資を行う。ティピカ・カトゥーラ中心のウォッシュドを主力に欧米スペシャルティ市場へ輸出

  • ビルカバンバ/オコバンバ地区Vilcabamba / Ocobamba Districts
    📍 ペルー・クスコ県ラ・コンベンシオン郡北西部⛰️ 約1,500〜2,200m

    郡内でも標高が高めの地区で、ビルカバンバ山系の東斜面に畑が点在する。標高の高さゆえに果実の成熟がゆるやかで、酸味と香りの明瞭さが際立つロットが多い

  • ワヨパタ/サンタアナ/エチャラテ地区Huayopata / Santa Ana / Echarate Districts
    📍 ペルー・クスコ県ラ・コンベンシオン郡中心部〜南東部⛰️ 約1,300〜1,800m

    キジャバンバ市街に近い中心産地で、郡内で最も畑の集積が進む。比較的標高が低くボディの厚みが出やすく、チョコレート・チェリー系のフレーバーが際立つ


精製方法

ウォッシュドが主流(約9割)。 チェリーを当日中に果肉除去し発酵槽で12〜24時間ほど水洗発酵させたのち、天日棚やパティオで乾燥させる。残り1割程度はハニー・ナチュラルで仕上げ、より甘みとボディを強調したロットとして流通する。

精製方法

💧

ウォッシュド

Washed / Wet Process

1
収穫
2
果肉除去
3
水洗い・発酵
4
乾燥
5
脱穀
ボディ
2/5
クリアさ
5/5
発酵感
2/5

豆本来の味が際立つクリーンカップ。明るい酸味とクリアな風味が特徴


フレーバーチャート

フレーバーチャート

酸味苦味甘みコク香り
酸味
苦味
甘み
コク
香り

おすすめの焙煎度

おすすめの焙煎度

ライト焙煎深煎り

ミディアム ロースト


ポジショニングマップ

ポジショニングマップ

苦味酸味コク軽いペルー クスコ(ラ・コンベンシオン)ペルー チャンチャマヨエチオピア イルガチェフェインドネシア マンデリンG1ベトナム ロブスタタンザニア キリマンジャロブラジル サントスNo.2

淹れ方のポイント

  • お湯の温度:88〜92℃
  • 挽き目:中挽き
  • 抽出方法:ペーパードリップ/フレンチプレス(チョコレートとチェリーの厚みを引き出す)
  • 豆の量:12〜14g / 200ml(12g → オレンジの柑橘感が前面に、14g → チョコレートとナッツのボディが増す)

基準のエビデンス

  • 豆の量:SCA(米スペシャルティコーヒー協会)Golden Cup基準 1:18(200mlで11g)/日本式 1:14〜1:16(200mlで12〜14g)。本ブログは焙煎度別に世界寄りの中間値を採用
  • お湯の温度:SCA基準 90〜96℃(93℃±3)/日本式は焙煎度に応じて低めを好む(特に深煎り82〜85℃)。本ブログは焙煎度別に世界+日本式の折衷を採用
  • 出典:SCA Coffee Standards / Specialty Coffee Association

ペルーの他産地では、中央高地フニン州のペルー チャンチャマヨも協同組合運動の先進地として知られる。同じ農地改革・協同組合という背景を持ちながら、標高と精製の微差が風味に表れる点を比べてみるのもおもしろい。


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