更新日:

ペルー サンマルティン

国内生産の約2割を担う州、アルト・マヨが生む温和なチョコとナッツ

ペルー北東部サンマルティン州、アルト・マヨ高地を中心とする、国内生産の約2割を担う産地で、カトゥーラ・ティピカ・カティモール主体のウォッシュド。協同組合アルト・マヨ(COOPBAM)に500名超の組合員が加わり、チョコレート・ナッツ・キャラメルの温和な甘みを生む


産地情報

産地ペルー・サンマルティン州(モヨバンバ郡/ロハ郡、アルト・マヨ一帯)
品種カトゥーラ/ティピカ/カティモール/ブルボン/パチェ/マラゴジッペ
標高低地〜高地(地域全体の標高範囲は一次資料で未確認)
味わいチョコレート・ナッツ・キャラメル・柑橘のほのかな酸味と温和な甘み当サイトの味わいの目安です。公開ロット情報と地域の一般的傾向に基づき、特定ロットの評価や試飲記録ではありません(編集方針)。

品種情報

アラビカ種Coffea arabica最高品質

品種:カトゥーラ(Caturra)/ティピカ(Typica)/カティモール(Catimor)

サンマルティン州の協同組合アルト・マヨはブルボン・カティモール・カタイ・カトゥーラ・マラゴジッペ・パチェ・ティピカと幅広い品種を混植する。低標高帯(900〜1,200m前後)ではカティモールなどさび病耐性品種が多く、アルト・マヨ周辺の高地区画ではティピカ・カトゥーラ主体でより繊細な風味のロットが育つ。同州はアマゾナス州と並びペルー北東部の新興産地として過去10年ほどで栽培面積を急拡大させてきた

  • カトゥーラ・ティピカ・カティモールが主力品種
  • ペルー国内で最もオーガニック認証比率が高い州のひとつ
  • 小規模農家1〜3ha規模が中心、協同組合による集荷が主流

ペルー・サンマルティンコーヒーとは

ペルー(Peru) は2025/26年度(4月〜翌3月)の生産量が約420万袋(60kg袋)、前年比8%増と予測されています(USDA FASの2025年報告)。その後、USDA FAS の Coffee: World Markets and Trade(2026年7月版)では、2025/26年度の推計が4,764千袋(約476万袋)、2026/27年度の予測が4,780千袋とされています。生産はアンデス東斜面の セルバ・アルタ(高地ジャングル) に集中し、北部のカハマルカ州(生産シェア22%)、北東部の サンマルティン州(20%)(シェアはUSDA FASの2024年報告による2024/25年度予測)、中央部のフニン州(19%)、そして隣接する アマゾナス州(15%) が主要産地を形成します。アマゾナス州の北にはアンデスとアマゾンが接するテロワールを共有するエクアドル・サモラ・チンチペ県が続き、国境を挟んで似た栽培条件のコーヒーが作られています。

サンマルティン州(San Martín) はペルー北東部、アマゾナス州と州境を接する一帯に位置し、州都は モヨバンバ(Moyobamba)。同州はコーヒー栽培の歴史が比較的浅く、この10年ほどで栽培面積を急拡大させた「若い産地」として知られています。ペルー通商観光省(MINCETUR)の2024年報告では、同州の生産量は約8.2万トン・国内シェア23%で第1位とされ、USDA FASの2024年報告による2024/25年度予測(20%・第2位)とは集計が異なります。栽培面積は約8.7万ha、年間生産量は約8.2万トンとされ、州内でもとりわけ オーガニック認証コーヒー の生産比率が高いことで知られています。

州内には標高差が大きく2つの顔があります。低地の タラポト(Tarapoto) 周辺や ベジャビスタ(Bellavista) 一帯は標高900〜1,200m程度でコモディティグレードの生産が中心である一方、モヨバンバ近郊の アルト・マヨ(Alto Mayo) 一帯は高地で、より繊細なスペシャルティグレードのロットを生みます。アルト・マヨはアマゾナス州との境界にまたがる森林保護区(アルト・マヨ保護林)に接しており、コーヒー生産と森林保全の両立が長年のテーマになってきました。

精製は大半の農家が フルウォッシュド を採用し、収穫当日の果肉除去・発酵・水洗・天日乾燥という工程を踏みます。近年はアルト・マヨの協同組合を中心にマイクロミル設備が整備され、水中発酵・部分浸水発酵・嫌気性発酵、さらにハニープロセスなど精製バリエーションへの挑戦も一部で始まっています。カッピングでの評価は「チョコレート・ナッツ・キャラメルのノートに、低めの酸味と滑らかなマウスフィール」がサンマルティンらしさとされ、カハマルカの明るい柑橘・フローラル系とは対照的な、温和で飲みやすいプロファイルがブレンド用途にも重宝されています。


代表的な産地・生産者

代表的な農園

  • アルト・マヨ農業協同組合Cooperativa Agraria Cafetalera Alto Mayo (COOPBAM)
    🏆 72名の代表による設立、2014年12月12日
    📍 ペルー・サンマルティン州モヨバンバ郡(アマゾナス州境界含む)

    2014年12月12日、加盟委員会から選出された72名の代表がアグアスベルデに集まり設立。コンサベーション・インターナショナル、アルト・マヨ保護林管理事務所、ECOANの支援を受けて発足し、現在は500名超の組合員がアルト・マヨ保護林と接する高地帯でブルボン・カティモール・カトゥーラ・マラゴジッペ・パチェ・ティピカを混植する。マイクロミルで水中発酵・部分浸水発酵・嫌気性発酵・ハニー精製など多様な処理に取り組み、2015年に有機認証、2016年にフェアトレード認証、2023年にレインフォレスト・アライアンス認証を取得した

  • フィンカ・ラ・エスペランサ(ソリトール村)Finca La Esperanza, Soritor
    📍 ペルー・サンマルティン州モヨバンバ郡ソリトール村⛰️ 約900〜2,000m(ソリトール周辺高地帯)

    家族経営の小規模農園で、カトゥーラ・ティピカ・カティモールをフルウォッシュドで精製。オーガニック・フェアトレード・レインフォレスト・アライアンス認証を取得し、チョコレート・チェリー・柑橘・松の実を思わせる甘く低酸味のロットを生産する


精製方法

精製方法

💧

ウォッシュド

Washed / Wet Process

1
収穫→
2
果肉除去→
3
水洗い・発酵→
4
乾燥→
5
脱穀
ボディ
2/5
クリアさ
5/5
発酵感
2/5

豆本来の味が際立つクリーンカップ。明るい酸味とクリアな風味が特徴


フレーバーチャート

フレーバーチャート

酸味苦味甘みコク香り
酸味
苦味
甘み
コク
香り

公開ロット情報と地域の一般的傾向に基づく編集上の目安です。特定ロットの評価や試飲記録ではありません(編集方針)。


おすすめの焙煎度

おすすめの焙煎度

ライト焙煎深煎り

ミディアム ロースト


ポジショニングマップ

ポジショニングマップ

苦味酸味コク軽いペルー サンマルティンペルー カハマルカペルー チャンチャマヨブラジル サントスNo.2インドネシア マンデリンG1エチオピア モカ・イルガチェフェ

淹れ方のポイント

  • お湯の温度:88〜92℃
  • 挽き目:中挽き
  • 抽出方法:ペーパードリップ(チョコレート・ナッツの温和な甘みをまろやかに引き出す)
  • 豆の量:13〜15g / 200ml(13g → 柑橘のほのかな酸味と軽さが前面に、15g → チョコレートとキャラメルの厚みが増す)

📏 基準のエビデンス

  • 豆の量:SCA(スペシャルティコーヒー協会)家庭用ブリューワー規格(SCA Standard 310)の目安 55g/kg(約1:18、200mlで11g)/日本式 1:14〜1:16(200mlで12〜14g)。本ブログは焙煎度別に世界寄りの中間値を採用
  • お湯の温度:SCA基準 90〜96℃(93℃±3)/日本式は焙煎度に応じて低めを好む。本ブログは焙煎度別に世界+日本式の折衷を採用
  • 出典:SCA Coffee Standards / Specialty Coffee Association

訂正(2026-09-27): サンマルティン州を「アマゾナス州と国境を接する」と記載していましたが、アマゾナス州はペルー国内の州のため「州境を接する」の誤りでした。改めました。また、サンマルティン州を「国内生産シェア20%を占める第2位の産地」「直近3年は国内最大の生産量」と、同じ記事の中で食い違う書き方をしていました。シェア20%・第2位はUSDA FASの2025年報告、23%・第1位はペルー通商観光省(MINCETUR)の2024年報告の数字で、出典と年を明記して併記しました。副題の「生産量国内2位」も改めました。アルト・マヨの標高「1,300〜2,000m」は一次資料で確認できず、協同組合COOPBAM自身の資料でも1,000〜2,000m・1,200〜2,500mと幅があるため、その範囲を示す書き方に改めました。概要の「1,500名超の小規模農家」は、コンサベーション・インターナショナルの紹介で確認できた「500名超」に改めました。

訂正(2026-09-28): 2026-09-27の訂正で一次資料では確認できなかったとしたアルト・マヨの標高「1,300〜2,000m」が、品種の説明に残っていたため外しました。

訂正(2026-09-29): 産地情報の標高を「約800〜2,000m(アルト・マヨ高地帯中心)」、品種の特徴を「標高800〜2,000mと域内の標高差が大きい」、アルト・マヨを「標高1,000mを超える高地(資料により1,000〜2,500m)」と記載していましたが、アルト・マヨのコーヒー農地の標高範囲を示す一次資料は確認できませんでした(州全体や保護林全体の標高は、コーヒーの栽培範囲とは限りません)。これらの数値を削除しました。ペルーの2025/26年度を「生産量・輸出量がともに600kg換算で約420万袋(60kg袋)、前年比8%増」と記載していましたが、USDA FASの2025年報(PE2025-0018)で確認できたのは生産量の予測(約420万袋(60kg袋)、前年比8%増)で、「600kg換算」は誤記、輸出量も同じ値とは確認できなかったため、生産量の予測に改めました。州別生産シェア(カハマルカ22%、サンマルティン20%、フニン19%、アマゾナス15%)と「20%・第2位」をUSDA FASの2025年報告の数字としていましたが(2026-09-27の訂正を含む)、照合で確認できたのは2024年報(PE2024-0008)による2024/25年度予測の値だったため、出典と年度を改めました。

訂正(2026-09-30): 抽出の目安で「SCA(米スペシャルティコーヒー協会)Golden Cup基準」と記載していましたが、SCA(スペシャルティコーヒー協会)は米国のSCAAと欧州のSCAEが2017年に統合した団体で、「Golden Cup」は旧SCAAの名称のため、「SCA(スペシャルティコーヒー協会)家庭用ブリューワー認証の基準」に改めました。比率(55g/L、約1:18、200mlで11g)は変更していません。同日、この基準を示していた2017年の認証要件の文書がSCAのサイトで公開されなくなっていたため、現行の家庭用ブリューワー規格(SCA Standard 310-2021、水1kgに豆55g)の表記にそろえました。

追記(2026-10-15): 2025/26年度の生産量について、USDA FAS の2025年報(PE2025-0018)の予測(約420万袋)に加え、新しい推計として Coffee: World Markets and Trade(2026年7月版)の値(2025/26年度 4,764千袋、2026/27年度予測 4,780千袋)を書き加えました。

コメント

コメントを書く

閲覧数 読み込み中

最新情報をフォロー

各SNSでも記事・動画を発信しています