
ペルー チャンチャマヨのコーヒー|アンデス東斜面の産地・品種と味
アンデス東斜面ユンガスで育つ、小規模農家のクリーンウォッシュド
ペルー中央部フニン州チャンチャマヨ郡、アンデス東斜面の標高1,300〜1,900m。ティピカ主体のウォッシュドにフェアトレード・オーガニック認証。柑橘・ミルクチョコ・蜂蜜が調和する中央高地の代表産地
産地情報
| 産地 | ペルー・フニン州チャンチャマヨ郡(ラ・メルセー/サン・ラモン/ピチャナキ周辺) |
|---|---|
| 品種 | ティピカ/カトゥーラ/ブルボン/カトゥアイ/カティモール/パチェ |
| 標高 | 約1,300〜1,900m(アンデス東斜面セルバ・アルタ) |
| 味わい | ダークチョコレート・赤りんご・くるみ・柑橘・クリーミーな中庸ボディ当サイトの味わいの目安です。公開ロット情報と地域の一般的傾向に基づき、特定ロットの評価や試飲記録ではありません(編集方針)。 |
品種情報
品種:ティピカ(Typica)/カトゥーラ(Caturra)
ペルーのコーヒーはアラビカが大半で、USDA FASのペルー全国推計ではティピカが7割超、カトゥーラが約2割を占める(チャンチャマヨ固有の品種構成比は一次資料で確認できていない)。ティピカはアラビカ種の代表的な品種系統(アラビカ種そのものの起源はエチオピア南西部、ティピカ系統はイエメンからインド、ジャワを経て広まった:World Coffee Research)で、19世紀後半にヨーロッパ移民とともにアンデス東斜面に持ち込まれた古樹系統が今も残る。カトゥーラはブルボンの自然突然変異で樹高が低く密植可能。チャンチャマヨには1635年にフランシスコ会の修道士が訪れた記録があり、のちにイタリア・ドイツ系移民がコーヒー栽培を広げた。先住民はアシャニンカ族とヤネシャ族で、現在も多くの小規模農家がこの系譜を引き継ぐ
- ティピカ・カトゥーラが主力
- 標高1,300〜1,900mのアンデス東斜面(セルバ・アルタ)
- 小規模農家中心でオーガニック・フェアトレード比率が高い
- CAC La Florida(1966年)など協同組合運動の先進地
ペルー・チャンチャマヨコーヒーとは
ペルー(Peru) は世界有数のコーヒー生産国で、世界全体のコーヒー生産でおおむね上位10カ国に入ります。生産は南北に長いアンデス東斜面の セルバ・アルタ(Selva Alta、高地ジャングル) に集中し、USDA FASの2024年報(2024/25年度予測)では、州別の生産シェアは北部のカハマルカ、北東部のサンマルティン、中央部のフニン、北部のアマソナスの順に大きくなっています。
チャンチャマヨ郡(Chanchamayo) はフニン州北部に位置する中央高地の代表産地で、首都リマから東へ約300km、アンデス山脈を越えてアマゾン河源流域に降りた一帯にあります。郡都は ラ・メルセー(La Merced)、隣接する サン・ラモン(San Ramón)、さらに東の ピチャナキ(Pichanaqui) と合わせて「チャンチャマヨ・コーヒーゾーン」を形成し、ペルー全体のコーヒー生産の重要な一角を担います。
栽培高度は 1,300〜1,900m、平均気温20〜25℃、年間降水量2,000mm前後の温暖湿潤な気候で、ティピカ・カトゥーラを中心としたアラビカが育ちます。収穫期は 3月〜9月(ピークは6〜9月)で、ほとんどの農園が ウォッシュド精製 を採用し、各農家のミニ精製設備で発酵・水洗・天日乾燥が行われます。
歴史的にはこの地はアシャニンカ族・ヤネシャ族の伝統的な居住地で、1635年にはフランシスコ会の修道士がこの地を訪れた記録がありますが、これが恒久的な集落の創設を示すものではありません。その後、イタリア・ドイツ系移民がコーヒー農園を開きました(中央鉄道はワンカヨまでで、チャンチャマヨまでは延びていません)。20世紀後半以降は土地改革で小規模農家へ細分化が進み、 1966年設立のCAC La Florida(La Florida協同組合) や 1977年設立のCooperativa Pangoa(隣接サティポ) など協同組合運動の中心地となり、フェアトレード・オーガニック認証を取得して欧米スペシャルティ市場へ供給する流れが定着しました。
ペルーは有機コーヒーの主要輸出国の一つで(USDA FAS)、チャンチャマヨも小規模農家の生計向上と森林保全を両立する産地として国際的に評価されています。同じアンデス東斜面が南へ続く先にはボリビア カラナビがあり、こちらも小規模農家中心の栽培構造を持ちます。
最新の生産動向:フニン州は全国生産シェア19%(2024/25年度予測)
USDA FAS(米国農務省)の Coffee Annual 2025(報告書番号PE2025-0018)によると、ペルーの2025/26年度(4月開始)コーヒー生産は前年比8%増の420万袋(60kg袋)となる見通しです。その後、USDA FAS の Coffee: World Markets and Trade(2026年7月版)では、2025/26年度の推計が4,764千袋(約476万袋)、2026/27年度の予測が4,780千袋とされています。州別の生産シェアは、Coffee Annual 2024(報告書番号PE2024-0008)の2024/25年度予測でカハマルカ22%・サンマルティン20%・フニン(チャンチャマヨを含む)19%・アマソナス15%の順でした。
代表的な産地・生産者
代表的な農園
- CAC La Florida(協同組合)Cooperativa Agraria Cafetalera La Florida🏆 ペルー協同組合運動の先駆けの一つ(1966年設立)
公式サイトによれば1966年に50名を母体に設立されたチャンチャマヨを代表する協同組合(現在の組合員数は公式サイトのページ間で821名/450名と記載が異なる)。フェアトレード収益で道路・上水道・診療所・学校・橋を整備し、持続可能農業の研修センターを運営する。ティピカ・カトゥーラ・ブルボンを中心としたウォッシュドで欧米スペシャルティ市場へ輸出
- Cooperativa Pangoa(サティポ郡)Cooperativa Agraria Cafetalera Pangoa🏆 オーガニック・フェアトレード認証
公式サイトによれば1977年に50名で設立され、現在は707家族が参加する。オーガニック・フェアトレード認証を持つ(取得年は一次資料で確認できていない)。アシャニンカ族の生産者比率が高く、女性メンバーによる「Pangoa Mujer」プログラムでも知られる
- ピチャナキ/ペレネ地区Pichanaqui / Perené District
チャンチャマヨ郡東部からサティポ郡北部にまたがる新興産地で、ペレネ川流域の比較的なだらかな地形に小規模農家の畑が点在。アシャニンカ族・ヤネシャ族の生産者を多く含み、農業市場ハブとしてのバホ・ピチャナキを擁する
精製方法
精製方法
ウォッシュド
Washed / Wet Process
豆本来の味が際立つクリーンカップ。明るい酸味とクリアな風味が特徴
フレーバーチャート
おすすめの焙煎度
おすすめの焙煎度
ミディアム ロースト
ポジショニングマップ
ポジショニングマップ
淹れ方のポイント
- お湯の温度:88〜92℃
- 挽き目:中挽き
- 抽出方法:ペーパードリップ/フレンチプレス(ダークチョコレートとくるみの厚みを引き出す)
- 豆の量:12〜14g / 200ml(12g → 赤りんごと柑橘の軽やかな酸味が前面に、14g → ダークチョコレートとくるみの厚みが増す)
📏 基準のエビデンス
- 豆の量:SCA(スペシャルティコーヒー協会)家庭用ブリューワー規格(SCA Standard 310)の目安 55g/kg(約1:18、200mlで11g)/日本式 1:14〜1:16(200mlで12〜14g)。本ブログは焙煎度別に世界寄りの中間値を採用
- お湯の温度:SCA基準 90〜96℃(93℃±3)/日本式は焙煎度に応じて低めを好む(特に深煎り82〜85℃)。本ブログは焙煎度別に世界+日本式の折衷を採用
- 出典:SCA Coffee Standards / Specialty Coffee Association
ペルーの他産地では、北部カハマルカ県の高地で栽培されるペルー カハマルカも個性的です。
目的別に次に読む
- ペルーのほかの産地と比べたい → ペルー カハマルカ・ペルー クスコ(ラ・コンベンシオン)
- 同じアンデス東斜面の産地と比べたい → ボリビア カラナビ・エクアドル ロハ
- フェアトレードと直接取引の違いを知りたい → フェアトレードとダイレクトトレードの違い
- ティピカ・カトゥーラがどんな品種か知りたい → コーヒー豆の品種一覧
訂正(2026-09-29): 「北部のカハマルカ、中央部のフニン、南部のクスコ・プーノが三大産地」と記載していましたが、USDA FASの2024年報(PE2024-0008)による2024/25年度予測の州別生産シェアの上位はカハマルカ22%、サンマルティン20%、フニン19%、アマソナス15%で、クスコ・プーノを含む「三大産地」とは合わなかったため、この資料・年度の上位4州に改めました。あわせて、2025年報(PE2025-0018)の数字として示していた州別シェアは、照合で確認できた2024年報の2024/25年度予測の値として示し直しました。「収穫面積は33.5万ヘクタール、平均収量は721kg/ha」「全国16州でコーヒーが栽培され、約22.3万世帯が主収入源」「2024/25年度の総輸出量は約388万袋で、米国が27%」「フニン州単体では2024年の輸出量が15,148トン(全国シェア22.2%)」と記載していましたが、いずれも一次資料で互いに整合することを確認できず(15,148トンが全国の22.2%なら全国は約6.8万トンで、388万袋=約23万トンと合いません)、未確認のため削除しました。2025/26年度の生産予測(前年比8%増の420万袋)はUSDA FASの2025年報で確認できたため残しました。ティピカを「アラビカ最古の品種」と記載していましたが、World Coffee Researchの品種カタログでは、アラビカ種そのものの起源はエチオピア南西部、ティピカ系統はイエメンからインド、ジャワを経て広まったとされており、「最古」は一次資料で確認できなかったため、種の起源と系統の伝播を分けて書き直しました。「1635年にフランシスコ会修道士が入植」「19世紀末の中央鉄道延伸でリマからのアクセスが大幅に改善」と記載していましたが、1635年の修道士の旅は恒久的な集落の創設を示すものではなく、中央鉄道はワンカヨまでで、チャンチャマヨまでは延びていないため改めました。チャンチャマヨの品種構成を「ティピカ約7割、カトゥーラ約2割」と記載していましたが、これはUSDA FASのペルー全国推計(ティピカ7割超、カトゥーラ約2割)に当たる値で、チャンチャマヨ固有の比率は確認できなかったため、全国推計として示し直しました。CAC La Floridaを「2,000名超の組合員」と記載していましたが、同組合の公式サイトで確認できたのは1966年に50名を母体に設立されたことまでで、現在の組合員数はページ間で821名/450名と異なり、2,000名超は裏付けられなかったため削除しました。Cooperativa Pangoaについて「1980年代に1,700名規模」「現在は約700名」「2002年オーガニック・2003年フェアトレード認証」と記載していましたが、同組合の公式サイトで確認できたのは1977年に50名で設立、現在707家族という点で、1,700名と認証の取得年は確認できなかったため改めました。ペルーの有機コーヒー輸出を「世界トップクラス」と記載していましたが、USDA FASの記載に合わせ「主要輸出国の一つ」に改めました。
訂正(2026-09-30): 抽出の目安で「SCA(米スペシャルティコーヒー協会)Golden Cup基準」と記載していましたが、SCA(スペシャルティコーヒー協会)は米国のSCAAと欧州のSCAEが2017年に統合した団体で、「Golden Cup」は旧SCAAの名称のため、「SCA(スペシャルティコーヒー協会)家庭用ブリューワー認証の基準」に改めました。比率(55g/L、約1:18、200mlで11g)は変更していません。同日、この基準を示していた2017年の認証要件の文書がSCAのサイトで公開されなくなっていたため、現行の家庭用ブリューワー規格(SCA Standard 310-2021、水1kgに豆55g)の表記にそろえました。
追記(2026-10-15): 2025/26年度の生産量について、USDA FAS の2025年報(PE2025-0018)の予測(約420万袋)に加え、新しい推計として Coffee: World Markets and Trade(2026年7月版)の値(2025/26年度 4,764千袋、2026/27年度予測 4,780千袋)を書き加えました。
訂正(2026-10-16): 副題で「アンデス東斜面ユンガスが育てる小規模農家のクリーンウォッシュド」、本文の末尾で「同じ国でも産地による標高と気候の違いが、酸味とボディのバランスに表れます」と記載していましたが、標高(気候)と風味の因果を示す一次資料は記事で示していなかったため、副題を「アンデス東斜面ユンガスで育つ、小規模農家のクリーンウォッシュド」に改め、本文の一文は削除しました。
参考文献・情報ソース
- USDA FAS — Coffee: World Markets and Trade(2026年7月版、p.7:ペルーの生産 2025/26年度 4,764千袋・2026/27年度 4,780千袋)
- Wikipedia — Coffee production in Peru
- Wikipedia — Chanchamayo Province
- Perfect Daily Grind — A Guide to Peru's Coffee-Producing Regional Profiles
- Genuine Origin — Peru Junin Chanchamayu G1 Washed
- Sweetwater Organic Coffee — Cooperativa Agraria Cafetalera Pangoa
- Belleair Coffee Company — Peruvian Coffee Chanchamayo District / La Florida Cooperative
- World Brewers Cup — 手動ドリップ世界選手権 公式ルール(参考レシピ基準)
- Sprudge — 2025 WBrC Champion George Peng Recipe(1:14.7 / 96℃)
- USDA FAS — Peru Coffee Annual 2025(PE2025-0018、2025/26年度の生産予測)
- USDA FAS — Peru Coffee Annual 2024(PE2024-0008、2024/25年度の州別生産シェア)
- CAC La Florida — Nuestra historia(公式、1966年設立)
- Cooperativa Agraria Cafetalera Pangoa — 公式サイト
- USDA FAS — GAIN レポート(ペルーの品種構成・有機コーヒー輸出)
- World Coffee Research — Typica(系統の伝播:イエメン→インド→ジャワ)
コーヒーをもっと知る
クリーンな酸味が特徴のウォッシュド。ナチュラル系のフルーティーさと、あなたはどちらがお好みですか?
産地の映像はYouTube Shorts、書き手の考えはnoteでも発信しています
コメント
コメントを書く