
ペルー プーノ
2010年SCAAピープルズ・チョイス賞のトゥンキ、コカ畑から生まれ変わった渓谷
ペルー南東部プーノ県サンディア郡、アンデスと熱帯雨林が接する渓谷。標高約800〜2,059mでティピカ中心のフルウォッシュド。協同組合セコバサのブランド「トゥンキ」は2010年SCAAのピープルズ・チョイス賞を受賞。かつてコカ栽培地だった谷がコーヒーで生まれ変わった産地
産地情報
| 産地 | ペルー・プーノ県サンディア郡(サンフアンデルオロ/サンペドロデプティナプンコ/ヤナワヤ/アルトイナンバリ一帯、タンボパタ川・イナンバリ川渓谷) |
|---|---|
| 品種 | ティピカ/カトゥーラ/ブルボン/カティモール |
| 標高 | 約800〜2,059m(セコバサ公式サイトによる加盟農家の畑の標高) |
| 味わい | フローラルな香り、チョコレート・糖蜜の甘み、柑橘とレッドベリーの余韻当サイトの味わいの目安です。公開ロット情報と地域の一般的傾向に基づき、特定ロットの評価や試飲記録ではありません(編集方針)。 |
品種情報
品種:ティピカ(Typica)/カトゥーラ(Caturra)/ブルボン(Bourbon)/カティモール(Catimor)
サンディア渓谷ではティピカを中心に、カトゥーラ・ブルボンも栽培される(品種ごとの構成比は一次資料で確認できていない)。さび病対策として近年カティモールも一部導入されている。トゥンキマヨ地区は渓谷内でも標高の高い区画に位置する
- ティピカが主力品種
- 加盟農家の畑標高約800〜2,059m
- かつてコカ栽培地だった渓谷でコーヒーへの転換が進んだ
- 協同組合セコバサが小規模農家を束ねる
ペルー・プーノコーヒーとは
USDA FASの世界市場の表(Coffee: World Markets and Trade、2026年7月版)は、ペルーの2026/27年度(4月〜翌3月)の生産量を約478万袋(60kg袋)と予測しています。州別の生産シェアは、USDA FASの2024年報(PE2024-0008)の2024/25年度予測で カハマルカ州22%・サンマルティン州20%・フニン州19%・アマゾナス州15% の順で、プーノ州はこの上位4州には含まれない中小規模の産地です。
プーノ州は南東部、ボリビア国境近くのチチカカ湖で知られる高原地帯ですが、コーヒー産地としてはアンデス東斜面が熱帯雨林(アマゾン低地)へ落ち込むサンディア郡(Sandia)の渓谷一帯に限られます。サンフアンデルオロ・サンペドロデプティナプンコ・ヤナワヤ・アルトイナンバリなどの郡区が中心で、タンボパタ川・イナンバリ川が刻む渓谷で栽培され、セコバサの公式サイトによれば加盟農家の畑は標高約800〜2,059mに広がります(プーノ州単独の栽培面積・生産量・農家数は一次資料で確認できていません)。
この渓谷はかつてコカ栽培が盛んな地域で、コカ以外に生計手段を持たない農家が多かった一帯で、コーヒー生産への転換が進められてきました。ペルーでは国連の代替開発事業がコカからコーヒーなどへの転換を支援してきましたが、サンディアでの事業の開始年と実施主体は一次資料で確認できていません(なお国連薬物犯罪事務所〔UNODC〕の発足は1997年で、それ以前の国連の薬物統制機関はUNDCPです)。2000年代以降は一部でコカ栽培が再び拡大する動きも報告されていますが、サンディア渓谷のコーヒー生産者組織はこの転換を軸に品質向上へ取り組み続けています。
精製は大半がフルウォッシュドです。収穫したチェリーを当日中に機械式パルパーで果肉除去し、最大20時間ほど発酵させたのち水洗、パティオ(天日干し場)で乾燥させます。カッピングでの評価は「フローラルな香りに、チョコレートと糖蜜を思わせる甘み、柑橘とレッドベリーの余韻」とされ、明るい酸とボリューム感のある甘さが両立するプロファイルが特徴です。
代表的な産地・生産者
代表的な農園
- セコバサ(サンディア渓谷コーヒー農業協同組合中央会)CECOVASA (Central de Cooperativas Agrarias Cafetaleras de los Valles de Sandia)🏆 2010年 SCAA ピープルズ・チョイス賞(トゥンキ)
公式サイトによれば1970年設立で、8つの基礎協同組合が掲載されている。ケチュア・アイマラの民族的背景を持つ生産者を束ねる。フェアトレード・有機・レインフォレスト・アライアンス認証を取得し、傘下ブランド「トゥンキ(Tunki)」は2010年にSCAA(米国スペシャルティコーヒー協会)のピープルズ・チョイス賞を受賞した
- トゥンキマヨ地区(トゥンキ協同組合)Tunkimayo, Cooperativa Tunki (CECOVASA member)
セコバサ傘下の小規模農家組合で、渓谷内でもとりわけ標高の高い区画に位置する。名称はアンデスイワドリ(ケチュア語でトゥンキ。IUCNレッドリストでは低懸念)に由来し、環境保全と両立した栽培を掲げる。ティピカを中心にカトゥーラ・ブルボンを混植し、フルウォッシュドで精製する
精製方法
精製方法
ウォッシュド
Washed / Wet Process
豆本来の味が際立つクリーンカップ。明るい酸味とクリアな風味が特徴
フレーバーチャート
おすすめの焙煎度
おすすめの焙煎度
シナモン ロースト
ポジショニングマップ
ポジショニングマップ
淹れ方のポイント
- お湯の温度:85〜90℃
- 挽き目:中細挽き
- 抽出方法:ペーパードリップ(フローラルな香りと柑橘・レッドベリーの余韻を活かす)
- 豆の量:13〜15g / 200ml(13g → フローラルさと軽やかな酸が前面に、15g → チョコレートと糖蜜の甘みが増す)
📏 基準のエビデンス
- 豆の量:SCA(スペシャルティコーヒー協会)家庭用ブリューワー規格(SCA Standard 310)の目安 55g/kg(約1:18、200mlで11g)/日本式 1:14〜1:16(200mlで12〜14g)。本ブログは焙煎度別に世界寄りの中間値を採用
- お湯の温度:SCA基準 90〜96℃(93℃±3)/日本式は焙煎度に応じて低めを好む。本ブログは焙煎度別に世界+日本式の折衷を採用
- 出典:SCA Coffee Standards / Specialty Coffee Association
訂正(2026-09-29): セコバサ(トゥンキ)について「2009年ペルー・カップ・オブ・エクセレンスでも入賞」と記載していましたが、Alliance for Coffee Excellenceの発表ではペルー初のカップ・オブ・エクセレンスは2017年のため削除しました。「トゥンキ」を「2010年SCAA世界一」「世界最高評価」と記載していましたが、SCAAの2010年Coffees of the Yearの発表で確認できたのはピープルズ・チョイス賞で、審査による世界一ではないため改めました。「1980年代のUNODC代替開発事業」と記載していましたが、UNODCの発足は1997年(それ以前の国連の薬物統制機関はUNDCP)で、サンディアでの事業の開始年と実施主体も確認できなかったため、機関名と年を外しました。セコバサを「プーノ・クスコ両県にまたがる10の小協同組合・約5,000戸」と記載していましたが、同組合の公式サイトで確認できたのは1970年設立・8つの基礎協同組合の掲載・加盟農家の畑の標高800〜2,059mで、10組合・5,000戸・クスコ県の加盟は確認できなかったため改めました。アンデスイワドリを「絶滅危惧種」と記載していましたが、IUCNレッドリストでは低懸念(Least Concern)のため削除しました(トゥンキがケチュア語でこの鳥を指すことはペルー政府資料で確認)。ペルー全体の2026/27年度の生産量などは業界ニュースの値でしたが、USDA FASの2026年報(PE2026-0004)の予測値(生産約478万袋、輸出約455万袋、収穫面積約34万ha、農家約22.3万戸)として示し直し、確認できなかった前年比・「25州のうち16州」・「上位4州で76%」を削除しました。プーノ州の「栽培面積約1万ha・年間生産量約6,940トン」、ティピカの「約7割」は一次資料で確認できなかったため削除しました。標高を説明文では1,600〜2,000m、基本情報では1,300〜2,000mと食い違って記載していたため、セコバサ公式サイトの加盟農家の畑の標高(800〜2,059m)に統一しました。
訂正(2026-09-30): 抽出の目安で「SCA(米スペシャルティコーヒー協会)Golden Cup基準」と記載していましたが、SCA(スペシャルティコーヒー協会)は米国のSCAAと欧州のSCAEが2017年に統合した団体で、「Golden Cup」は旧SCAAの名称のため、「SCA(スペシャルティコーヒー協会)家庭用ブリューワー認証の基準」に改めました。比率(55g/L、約1:18、200mlで11g)は変更していません。同日、この基準を示していた2017年の認証要件の文書がSCAのサイトで公開されなくなっていたため、現行の家庭用ブリューワー規格(SCA Standard 310-2021、水1kgに豆55g)の表記にそろえました。
訂正(2026-10-14): ペルー全体の2026/27年度の予測(生産約478万袋、輸出約455万袋、収穫面積約34万ha、生産農家約22.3万戸)の出典を、USDA FASの2026年のコーヒー年報(PE2026-0004)と記載していましたが、PE2026-0004は新技術のガイドラインに関する別の報告で、コーヒー年報ではありませんでした(Codexの照合)。生産約478万袋はUSDA FASの世界市場の表(2026年7月版)の予測と一致するため、出典をこの表に改めました。輸出量・収穫面積・生産農家数は正しい報告で確認できなかったため削除しました。
訂正(2026-10-16): 本文の精製の段落で「標高の高さゆえの明るい酸とボリューム感のある甘さが両立するプロファイル」と記載していましたが、標高(気候)と風味の因果を示す一次資料は記事で示していなかったため、「標高の高さゆえの」を削除し、「明るい酸とボリューム感のある甘さが両立するプロファイル」に改めました。加盟農家の畑の標高(約800〜2,059m、セコバサ公式サイト)は変更していません。
参考文献・情報ソース
- Daily Coffee News — Peru Coffee Report: Production Steady Despite Structural Challenges (2026)
- Sucafina — Tunki Fully Washed
- Corresponsables — Café Tunki: el café peruano más premiado del mundo
- Khipu Coffee — Peruvian Specialty Coffee Regions Guide: The 10 Coffee Regions of Peru
- Pachamama Radio — Cecovasa participa en ferias y busca recuperar producción de café en Puno
- Peru Reports — Peruvian coffee wins best coffee in the world prize in U.S. competition
- Cup of Excellence — Perú 2018
- UNODC — Coffee instead of coca: Peruvian farmers reap fruits of their labour
- Mongabay — The resistance of Peruvian coffee
- USDA FAS — Coffee: World Markets and Trade(2026年7月、ペルーの2026/27年度の生産予測)
- USDA FAS — Peru Coffee Annual 2024(PE2024-0008、2024/25年度の州別生産シェア)
- Alliance for Coffee Excellence — Cup of Excellence Holds First-Ever Peru Competition(2017年)
- SCAA — Specialty Coffee Association of America Awards 2010 Coffees of the Year(PR Newswire)
- UNODC — Peru: Thematic Evaluation of Alternative Development
- CECOVASA — 公式サイト(1970年設立・基礎協同組合・畑の標高)
- IUCN Red List — Andean Cock-of-the-rock(Rupicola peruvianus、Least Concern)
- ペルー環境省 — Listado de Fauna CITES Perú 2018
- World Brewers Cup — 手動ドリップ世界選手権 公式ルール(参考レシピ基準)
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