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ブータン サムツェ

ヒマラヤ山麓のブータン南部、2011年に商業植栽が始まったアラビカ

ブータン南部サムツェ県で育つアラビカ。有機栽培を掲げるヒマラヤ山麓のコーヒーで、政府資料ではシプスーで2011年に商業植栽が始まったとされる。Bhutan Mountain Coffeeの創業者は600を超える農家世帯と取り組んでいると説明する


産地情報

産地ブータン・サムツェ県(Samtse Dzongkhag)・サルパン県(Sarpang Dzongkhag)
品種アラビカ(ティピカ系)
標高サムツェ県全域で600〜800m(県公式。農園ごとの標高は一次資料で未確認)
味わいフルーティー・フローラル・ハーバル・ハチミツの甘み・明るく柔らかい酸当サイトの味わいの目安です。公開ロット情報と地域の一般的傾向に基づき、特定ロットの評価や試飲記録ではありません(編集方針)。

品種情報

アラビカ種Coffea arabica最高品質

品種:ティピカ系 / アラビカ

ブータンでは、政府資料(国立生物多様性センター掲載)に、シプスー(Sipsoo)で2011年にコーヒーの商業植栽が始まったと記されている。現在のブータン産の主力はティピカ系のアラビカ

  • ティピカ(Typica)系:アラビカ原種に近い系統
  • ブータン南部の湿潤亜熱帯気候(Samtse・Sarpang)は年間降水量が豊富
  • 味わいの目安(本ブログの整理):フルーティーでハーバルな香り
  • 有機農法が原則:ブータンカーボンネガティブ国家として環境保護を国策に掲げており、農薬・化学肥料の使用を最小限に抑えた自然農法が標準

ブータン サムツェとは

ブータン王国(Kingdom of Bhutan)はヒマラヤ東部に位置する内陸国で、統計局(NSB)の統計年鑑2025年版では2025年の推計人口784,043人、森林被覆率69.71%です。「国民総幸福量(GNH)」を国家指標とし、カーボンネガティブという環境政策でも知られます。コーヒー産業はまだ発展途上ながら、2020年代に入って急速に国際的な注目を集めています。

コーヒー栽培の歴史

政府資料(国立生物多様性センター掲載)には、シプスー(Sipsoo)で2011年にコーヒーの商業植栽が始まったと記されています。

これとは別の民間の取り組みとして、Bhutan Mountain Coffeeの公式サイトによれば、Karma Chimeが主導する同社が2020年のパンデミック期にサムツェ県ニマリン(Nyimaling)の2エーカーの土地でパイロット栽培を開始しました。その後、サムツェ県ダムダム工業団地(Damdum Industrial Estate)に加工工場を設立し、焙煎・パッケージングはパロ(Paro)で行われています。同社の創業者はDrukair機内誌『Tashi Delek』(2025年9・10月号)のインタビューで、600を超える農家世帯と取り組んでいると説明しています(国勢調査などの統計値ではなく、事業者側の説明です)。

産地の地理と気候

主産地のサムツェ(Samtse)はブータン南西端、インドのシッキム州と接するドゥアール平原に近い丘陵地帯で、湿潤亜熱帯気候のもと年間降水量は豊富です。サムツェ県の公式サイトは県の標高を600〜800mとしていますが、これは県全域の値で、個々の農園の標高は一次資料で確認できていません。

サルパン(Sarpang)はサムツェ東方の隣接県で、同様の気候条件を持ちます。

FAOの投資計画

FAOの「Hand-in-Hand イニシアチブ」の資料は、ブータンのコーヒーについて約200の農家を対象とする将来の投資提案を示し、計画上の目標として3,940トンを挙げています。いずれも達成済みの実績ではありません。現時点の生産量はごくわずかで輸出も限定的です(出典:FAO Hand-in-Hand/Medium 2025-12/Sweet Maria’s)。同じヒマラヤ山麓のネパール グルミ、量から質への転換が進む中国 雲南とあわせて読むと、アジア新興産地の共通点が見えてきます。


代表的な生産者

代表的な農園

  • ブータン・マウンテン・コーヒーBhutan Mountain Coffee
    🏆 国内スペシャルティコーヒー先駆者
    📍 ブータン・サムツェ県(ニマリン・ダムダム工業団地周辺)

    Karma Chime創業。パンデミック期の2020年にサムツェ県で2エーカーからパイロット栽培を開始。創業者はDrukair機内誌のインタビューで600を超える農家世帯と取り組んでいると説明している(統計値ではない)。ダムダム工業団地に手加工処理施設を持ち、焙煎・パッケージングはパロで実施。環境負荷を最小限に抑えたコミュニティベースの持続可能モデルを標榜している(Bhutan Mountain Coffee公式)


精製方法

精製方法

💧

ウォッシュド

Washed / Wet Process

1
収穫→
2
果肉除去→
3
水洗い・発酵→
4
乾燥→
5
脱穀
ボディ
2/5
クリアさ
5/5
発酵感
2/5

豆本来の味が際立つクリーンカップ。明るい酸味とクリアな風味が特徴

ウォッシュドが主流。 サムツェ県ダムダム工業団地の手加工処理施設でチェリーを果肉除去し、発酵タンクでムシラージを分解後に水洗。天日乾燥はレイズドベッドまたはコンクリートパティオで行われる。有機農法の農場からの果肉はコンポストとして農場に還元される。一部農家ではナチュラル処理の試験も進んでいる(Bhutan Mountain Coffee, 2024)。


フレーバーチャート

フレーバーチャート

酸味苦味甘みコク香り
酸味
苦味
甘み
コク
香り

公開ロット情報と地域の一般的傾向に基づく編集上の目安です。特定ロットの評価や試飲記録ではありません(編集方針)。


おすすめの焙煎度

おすすめの焙煎度

ライト焙煎深煎り

ミディアム ロースト


ポジショニングマップ

ポジショニングマップ

苦味酸味コク軽いブータン サムツェネパール グルミエチオピア イルガチェフェインドネシア マンデリンG1インド チクマガルルコロンビア ウィラ

淹れ方のポイント

  • お湯の温度:87〜91℃
  • 挽き目:中挽き〜中細挽き
  • 抽出方法:ペーパードリップ・エアロプレス
  • 豆の量:12g / 200ml(フローラル感を最大化するなら低め温度・やや短め抽出)

87〜91℃のやや低温でゆっくりドリップすると、ハチミツのような甘みとフルーツ系の香りが際立つ。エアロプレスでは短時間抽出(1分30秒程度)でクリーンなカップが得られる。

訂正(2026-09-29): 産地の標高を「1,300〜1,800m」、Bhutan Mountain Coffeeを「1,300〜1,700m」、政府プログラムを「1,200〜1,900m」と記載していましたが、いずれも一次資料で確認できなかったため削除しました。サムツェ県の公式サイトで確認できたのは県全域の標高600〜800mで、特定の農園の標高ではないため、その旨を明記して標高欄と本文に記載しました。この標高を前提にしていた「急斜面が昼夜の温度差を生む」「昼夜の気温差が10〜15℃」「標高1,300〜1,800mの寒暖差がもたらすフローラルなカップ」「南部山岳斜面の涼しい気候」も削除しました。「600世帯超の農家」はBhutan Mountain Coffee創業者の説明(Drukair機内誌『Tashi Delek』2025年9・10月号のインタビュー)として確認できましたが、国勢調査などの統計値ではないため、出所を明記しました。導入を「1960〜1980年代」とし、「ダショ」がコロンビアから種子を持ち帰ったのが起源とした記述、「本格化は2010年代後半」は一次資料で確認できなかったため削除し、政府資料(国立生物多様性センター掲載)にある「シプスーで2011年に商業植栽が始まった」に改めました。これを前提にしていた品種の「コロンビア導入種」の表示と、コロンビアの系譜を引くという説明も削除しました。Bhutan Mountain Coffeeの2020年のパイロット栽培は、政府資料の2011年の商業植栽とは別の民間の取り組みとして書き分けました。「2024年にジェムガン県で初の商業農園が開設」は一次資料で確認できなかったため削除しました。2024〜2030年の「累計1,500エーカー(アラビカ80%・ロブスタ20%)」の計画、「5つの公営苗畑」、UNDP支援の「17世帯」の種苗生産協同組合は一次資料で確認できなかったため削除し、UNDP連携協同組合と政府の農業振興プログラムの紹介欄も外しました。FAOの「Hand-in-Hand イニシアチブ」で「将来的に年産4,000トン超への拡大目標」と記載していましたが、FAOの資料にあるのは約200の農家を対象とする将来の投資提案と、計画上の目標3,940トンで、実績ではありません。この範囲に改めました。「人口約75万人」「森林覆蓋率72%」と記載していましたが、統計局(NSB)の統計年鑑2025年版では人口784,043人、森林被覆率69.71%でした。数値と出典の年版を改めました。省名を「農業省(MoAF)」「ブータン農業食料省」と記載していましたが、MoAFは旧・農業・森林省(Ministry of Agriculture and Forests)で、現行は農業・畜産省(MoAL)です。省名が出ていた箇所は、上記の未確認の記述とともに削除しました。

訂正(2026-10-03): 統計年鑑2025年版の人口784,043人を確定値のように記載していましたが、同年鑑では2025年の推計人口(Projected Population)であるため「推計人口」と改めました。あわせて、同年鑑の出典リンクが開けなくなっていたため、統計局が現在配布している同じ年鑑のURLに差し替えました。

訂正(2026-10-16): 副題で「幸福の国ヒマラヤ山麓——カーボンネガティブの大地が育むフローラルなアラビカ」と記載していましたが、「カーボンネガティブの大地が育む」という因果と「フローラル」という風味は一次資料で確認できない評価の表現のため、「ヒマラヤ山麓のブータン南部、2011年に商業植栽が始まったアラビカ」に改めました。説明文の「稀少な」「フルーティー・フローラル・ハーバルな香りが際立つ」も、一次資料で確認できない評価・風味の表現のため削除し、政府資料(国立生物多様性センター掲載)にある2011年の商業植栽の開始を記載しました。あわせて、品種欄で「シルキーなボディと繊細なシトラス・フローラル感が特徴。ブータンではクリーンで甘みのあるカップに仕上がる」「この方針がクリーンなカップキャラクターに直結している」、本文で「カーボンネガティブ国家の有機栽培という物語性とフローラルなカップが、スペシャルティ市場で「ヒマラヤの新星」として注目を集めています」、精製方法の節で「クリーンで透明感のあるフルーティーなカップキャラクターはこのウォッシュドプロセスから生まれる」と記載していましたが、品種・気候・有機栽培・精製とカップの味わいの因果や、市場での評価を示す一次資料を記事で挙げていなかったため、品種欄は「ティピカ(Typica)系:アラビカ原種に近い系統」と「味わいの目安(本ブログの整理):フルーティーでハーバルな香り」に改め(気候の項目とは独立した項目にしました)、他は削除しました。

訂正(2026-10-17): 淹れ方のポイントで「ブータン産アラビカのフローラル・ハーバル感は高温(95℃以上)で揮発しやすい」と記載していましたが、香りの成分と湯温の関係を示す一次資料を記事で挙げていなかったため、この一文を削除しました。湯温の目安(87〜91℃)は本ブログのすすめとして残しています。


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