
中国 雲南のコーヒー|生産量・歴史・精品率で見る中国最大の産地
Yunnan coffeeを数字・歴史・抽出から知る
中国政府が国内コーヒー生産の98%を占めると紹介する雲南省。2024年の生産量約15.0万トン、保山GI、精品率31.6%への品質転換を公式資料で解説
この記事の要点
- 中国政府の紹介では、雲南省は中国のコーヒー生産の98%を占めています
- 保山・新寨村では1952年に大規模生産が始まり、保山アラビカは2010年に中国のGI産品に指定されました
- 精品コーヒー比率(精品率)は2021年の8%未満から2024年の31.6%へ上昇し、量から品質への転換が進んでいます
産地情報
| 産地 | 中国・雲南省(普洱・保山・徳宏・臨滄など) |
|---|---|
| 品種 | カティモール(Catimor)主体/ティピカなど |
| 標高 | 産地により異なる(保山GIは1,000〜1,500m) |
| 味わい | ナッツ・カカオ・黒糖・マイルドな酸味・クリーンで優しいボディ当サイトの味わいの目安です。公開ロット情報と地域の一般的傾向に基づき、特定ロットの評価や試飲記録ではありません(編集方針)。 |
品種情報
品種:カティモール(Catimor)
カティモールは、カトゥーラとティモール・ハイブリッドの交配に由来する品種群。FAOは保山・新寨村で、標高1,000m未満にカティモール、1,000m超にティピカが主に植えられると説明している。産地名だけで風味を決めつけず、品種・標高・精製を合わせて選びたい
- カトゥーラ × ティモール・ハイブリッド由来
- 保山・新寨村で低標高側に多い
- ティピカと並ぶ現地確認品種
- ロットごとの品種・精製確認が重要
中国・雲南コーヒー(Yunnan coffee)とは
中国は「茶の国」として知られますが、コーヒー生産の中心も明確です。中国政府は、雲南が中国のコーヒー生産の98%を占めると紹介しています(年を特定した統計値としては確認できていません)。雲南省農業農村庁によると、2024年の雲南省はコーヒー栽培面積119.3万ムー(約7.95万ha)、生産量は約15.0万トンでした(同庁の資料では15.03万トン、雲南省科学技術庁の資料では15.02万トン)。2025年の省統計公報ではコーヒー総生産量が17.07万トンに増えています。ただし、生豆生産量など集計対象の異なる数字とは単純比較できません。
雲南省農業農村庁は、1892年にフランス人宣教師が朱苦拉(Zhukula)村へコーヒーを持ち込んだことを中国大陸での栽培の起点として紹介しています。FAOは雲南への導入を19世紀末とし、1952年に保山市・潞江鎮で大規模生産が始まったと記録しています。保山アラビカは2010年に中国の地理的表示(GI)産品に指定され、中国・EU地理的表示協定(2020年締結、2021年3月1日発効)の初回保護対象リストにも含まれています。
品質向上を支えた節目の一つが、2012年にスターバックスが普洱へ開設したアジア初のファーマーサポートセンターです。開設時には4品種の適応試験が雲南省内8地点・650ヘクタール超で進められていました。雲南省農業農村庁によると、精品コーヒー比率(精品率)は2021年の8%未満から2024年の31.6%へ、精深加工率は20%から80%以上へ上昇しました。ここでいう精品率は省の産業指標であり、個々の豆の国際的なカッピング得点を保証する表示ではありません。量から質への転換という点では、ヒマラヤ山麓で有機スペシャルティを掲げるブータン サムツェとも通じる動きです。

代表的な産地・農園
代表的な農園
- 普洱(プーアル)Pu'er
雲南を代表する産地の一つ。スターバックスが2012年にアジア初のファーマーサポートセンターを開設し、農家への技術支援と品種試験を進めた
- 保山(バオシャン)Baoshan🏆 保山アラビカ GI登録産地
雲南で最も古いコーヒー産地の一つで、潞江壩(ヌジャンバ)一帯は樹齢の長い古木が残る。新寨(Xinzhai)村はFAO「One Country One Priority Product」プログラムに登録された保山アラビカGI産地で、地理的表示として標高1,000〜1,500mの規格が定められている
- 徳宏(ドゥホン)Dehong
ミャンマーと接する雲南西部の産地。品種・標高・精製の表示を確認して選びたい
- 朱苦拉村(雲南コーヒー発祥地)Zhukula Village🏆 中国コーヒー発祥地(1892年)
雲南省農業農村庁が1892年のコーヒー導入地として紹介する村。中国大陸における栽培史をたどる手掛かり
精製方法
雲南の主要精製はウォッシュド(水洗)です。ナチュラルやハニーとの違いなど精製方法全体の整理は精製方法ガイドも参考にしてください。
精製方法
ウォッシュド
Washed / Wet Process
豆本来の味が際立つクリーンカップ。明るい酸味とクリアな風味が特徴
フレーバーチャート
おすすめの焙煎度
焙煎度が変わるとナッツやカカオの印象も大きく変わります。段階ごとの違いは焙煎度ガイドで詳しく解説しています。
おすすめの焙煎度
ミディアム ロースト
ポジショニングマップ
ポジショニングマップ
淹れ方のポイント
焙煎度やロットで味は変わります。まずは次の範囲から始め、酸が鋭ければ湯温を下げ、甘さが弱ければ豆量を増やして調整します。
- お湯の温度:88〜92℃
- 挽き目:中挽き
- 抽出方法:ペーパードリップ/エアロプレス(クリーンなボディとマイルドな甘みを引き立てる)
- 豆の量:11〜13g / 200ml(11g → ナッツとカカオの優しい甘み、13g → 黒糖の余韻とコクが厚みを増す)
📏 基準のエビデンス
- 豆の量:SCA(スペシャルティコーヒー協会)家庭用ブリューワー規格(SCA Standard 310)の目安 55g/kg(約1:18、200mlで11g)/日本式 1:14〜1:16(200mlで12〜14g)。本ブログは焙煎度別に世界寄りの中間値を採用
- お湯の温度:SCA基準 90〜96℃(93℃±3)/日本式は焙煎度に応じて低めを好む(特に深煎り82〜85℃)。本ブログは焙煎度別に世界+日本式の折衷を採用
- 出典:SCA Coffee Standards / Specialty Coffee Association
雲南コーヒーを選ぶときの3点
- 地域名:普洱・保山など、雲南より一段細かい産地表示
- 品種と精製:カティモール/ティピカ、ウォッシュド/ナチュラルなどのロット情報
- 焙煎日:産地の評判ではなく、鮮度と好みの焙煎度で判断
保山GIの歴史から入るなら保山、現代の品質転換を追うなら普洱や雲南各地の単一農園ロットが入口になります。同じ保山では2013年からゲイシャ種の栽培も始まっており、量から質への転換の先端事例として中国 保山ゲイシャにまとめています。次はアジア・オセアニアのコーヒー産地一覧から、同じアジアの台湾 阿里山のコーヒーや、ロブスタ主体のベトナム ブオンマトゥオットのコーヒーと風味を比べてみてください。
目的別に次に読む
- 世界の中で中国がどのくらいの量か知りたい → コーヒー生産量ランキング(国別の生産量と品種・精製方法)
- カティモールがどんな品種か知りたい → コーヒー豆の品種一覧
- アラビカとロブスタの違いを知りたい → アラビカ種とロブスタ種の違い
- 雲南のゲイシャを知りたい → 中国 保山ゲイシャ
- 近いアジアの産地と比べたい → 台湾 阿里山・台湾 古坑・ラオス ボラベン高原・ミャンマー シャン州 ユワンガン
訂正(2026-09-27): 保山アラビカを「2020年には中国・EU間のGI保護対象となりました」と記載していましたが、中国国家知識産権局(CNIPA)と中国商務部の資料では、中国・EU地理的表示協定は2020年に締結、2021年3月1日に発効しており、保山アラビカはその初回保護対象リストに含まれていました。締結と発効を分けた記述に改めました。また「2024年に中国のコーヒー栽培面積・生産量の98%以上を占めた」と記載していましたが、中国政府(中国政府網)の紹介で確認できたのは「雲南が中国のコーヒー生産の98%を占める」という説明で、2024年単年の統計値や栽培面積の比率としては確認できませんでした。年と栽培面積の比率を外し、中国政府の紹介として記載する形に改めました。記事中の図の数字も「98%」に改めました。追加の照合で、精品コーヒー比率を「2021年の8%から」と記載していた点は、2021年を「8%未満」とする地方政府の資料があるため「8%未満から」に改め、図の注記も直しました。2024年の生産量「15.03万トン」は、雲南省農業農村庁の資料では15.03万トン、雲南省科学技術庁の資料では15.02万トンと小差があるため「約15.0万トン」とし、本文に両方の数字を併記しました。
訂正(2026-09-30): 抽出の目安で「SCA(米スペシャルティコーヒー協会)Golden Cup基準」と記載していましたが、SCA(スペシャルティコーヒー協会)は米国のSCAAと欧州のSCAEが2017年に統合した団体で、「Golden Cup」は旧SCAAの名称のため、「SCA(スペシャルティコーヒー協会)家庭用ブリューワー認証の基準」に改めました。比率(55g/L、約1:18、200mlで11g)は変更していません。同日、この基準を示していた2017年の認証要件の文書がSCAのサイトで公開されなくなっていたため、現行の家庭用ブリューワー規格(SCA Standard 310-2021、水1kgに豆55g)の表記にそろえました。
参考文献・情報ソース
- 雲南省農業農村庁 — 政協雲南省第十三期第二回会議第662号提案への回答(2024)
- 中国政府網 — Economic, trade ties expand through coffee at China-South Asia Expo(2024)
- 中国政府網 — 雲南が中国のコーヒー生産の98%を占めるとする紹介(2024)
- 中国国家知識産権局(CNIPA)— 中国・EU地理的表示協定(2020年締結・2021年3月1日発効)
- 中国商務部 — 中欧地理的表示協定 保護リスト
- 雲南省農業農村庁 — 雲南コーヒー産業に陽光(2024)
- 雲南省農業農村庁 — 2024年の栽培面積・生産量・精品率・精深加工率(2025)
- 雲南省2025年国民経済・社会発展統計公報 — コーヒー生産量17.07万トン(2026)
- Starbucks Stories — Starbucks Opens First Farmer Support Center in Yunnan (2012)
- FAO OCOP — Baoshan Arabica coffee (Xinzhai village, Yunnan)
- World Brewers Cup — 手動ドリップ世界選手権 公式ルール(参考レシピ基準)
- Sprudge — 2025 WBrC Champion George Peng Recipe(1:14.7 / 96℃)
- 大理市人民政府 — 2021年の精品率を8%未満とする記事
- 雲南省農業農村庁 — 精品率31.6%(2024年)(2025)
- 雲南省科学技術庁 — 2024年の生産量15.02万トン(2025)
よくある質問
- 中国のコーヒーはどこで生産されていますか?
- 中心は雲南省です。中国政府は、雲南が中国のコーヒー生産の98%を占めると紹介しています。雲南省農業農村庁によると、2024年の雲南省は栽培面積119.3万ムー(約7.95万ha)、生産量約15.0万トンでした。
- 雲南コーヒーの歴史はいつ始まりましたか?
- 雲南省農業農村庁は1892年の朱苦拉村への導入を紹介しています。FAOは19世紀末の導入後、保山・潞江鎮で1952年に大規模生産が始まったと説明しています。
- 雲南コーヒーはなぜ注目されていますか?
- 中国最大の生産地であることに加え、精品コーヒー比率(精品率)が2021年の8%未満から2024年の31.6%へ上昇しています。2012年にはスターバックスが普洱にアジア初の農家支援センターを開設しました。
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