
パラグアイのコーヒー|農牧省の2009/10年度統計では生産の8割超がカニンデジュ県
ブラジル国境沿いのカニンデジュ県が主産地の、南米内陸のコーヒー
パラグアイのコーヒーを、農牧省の統計と産地の資料からまとめます。2009/10年度の生産量は全国370トンで、うち312トンがブラジル国境沿いのカニンデジュ県でした。カニンデジュ県産の豆を使うカフェ・グアラニア、北部の気候、この記事の味わいの目安も紹介します
産地情報
| 産地 | パラグアイ・カニンデジュ県(2009/10年度の生産量の8割超)ほか |
|---|---|
| 品種 | ムンド・ノボ(カフェ・グアラニアの使用例)。国内の品種構成は一次資料で未確認 |
| 標高 | 一次資料で未確認 |
| 味わい | 穏やかな酸味・チョコレート・キャラメル・ヘーゼルナッツ・中程度のコク当サイトの味わいの目安です。公開ロット情報と地域の一般的傾向に基づき、特定ロットの評価や試飲記録ではありません(編集方針)。 |
品種情報
品種:ムンド・ノボ(Coffea arabica)
パラグアイ国内で栽培されている品種の構成は、一次資料では確認できていない。品種として確認できたのは、カフェ・グアラニアの共同創業者がカニンデジュ県産のムンド・ノボ(Mundo Novo)を使うと説明している例のみ。World Coffee Researchによると、ムンド・ノボはティピカとブルボンの自然交配から生まれ、1943年にブラジルで見つかった品種で、高収量が特徴
- カフェ・グアラニアの共同創業者、カニンデジュ県の標高約600mで育つムンド・ノボを使うと説明
- 農牧省の統計(2009/10年度)で、全国370トンのうち312トンがカニンデジュ県産
- 同じく2020/21年度(国家統計局の年鑑)では、全国388トンのうち315トンがカニンデジュ県産
- 国内の品種構成・収穫期・主な精製方法一次資料で未確認
パラグアイのコーヒーとは
パラグアイ(Paraguay)はブラジル・アルゼンチン・ボリビアに囲まれた南米内陸国。後述の農牧省の統計(2009/10年度)では、コーヒーの主な産地はブラジル国境沿いの カニンデジュ県(Canindeyú) で、全国370トンのうち312トンを占めた。輸入業者(Green Coffee Collective)の資料はカニンデジュ県に加えて アマンバイ県(Amambay)・アルト・パラナ県(Alto Paraná) も主な産地に挙げるが、同じ統計ではアマンバイ県が2トン、アルト・パラナ県が1トンだった。
国土の気候は亜熱帯。主産地カニンデジュ県の気候の公的データは確認できていない。参考として北部アマンバイ県については、パラグアイ政府が公開しているセロ・コラ国立公園の管理計画によると、アマンバイ地域の年平均気温は北東部の 21℃ から南西部の 23℃、年降水量は西部の 1,450mm から南東部の 1,700mm で、県都ペドロ・フアン・カバジェロの年平均気温は 21.2℃(1971〜2000年)、平均年降水量は 1,625mm(1950〜2000年)と記録されている。主産地を含め、各県でコーヒーが栽培されている標高の範囲は、公的資料では確認できていない(カフェ・グアラニアの共同創業者は、カニンデジュ県の豆の産地を約600mと説明している)。
赤土(テラ・ロシャ)について
玄武岩に由来する赤い土壌は、FAO(国連食糧農業機関)の資料では テラ・ロシャ(terra roxa) と呼ばれる。ただし、カニンデジュ県など各産地の農園がこの土壌の上にあるか、隣国ブラジルのセラード(Cerrado)の土壌と同じ系統かは、一次資料で確認できていない。
生産量——公的統計で確認できる範囲
パラグアイ農牧省(MAG)の農業統計「Síntesis Estadística 2009/10」(Cuadro 29)では、2009/10年度 のコーヒーの作付面積は全国で 290ha、生産量は 370トン と記録されている。県別では、カニンデジュ県が生産量の8割超を占める。
| 県 | 作付面積(ha) | 生産量(トン) |
|---|---|---|
| カニンデジュ(Canindeyú) | 238 | 312 |
| コンセプシオン(Concepción) | 17 | 23 |
| コルディジェラ(Cordillera) | 13 | 16 |
| サンペドロ(San Pedro) | 10 | 10 |
| イタプア(Itapúa) | 3 | 3 |
| アマンバイ(Amambay) | 3 | 2 |
| カアグアス(Caaguazú) | 2 | 1 |
| カアサパ(Caazapá) | 2 | 1 |
| アルト・パラナ(Alto Paraná) | 3 | 1 |
表に値のない県は省いた。県別の値の合計(291ha・369トン)は全国計(290ha・370トン)と1ずつ異なり、資料に理由の注記はない。
より新しい値として、国家統計局(INE)の「Anuario 2021 – Economía」が、農牧省の統計(Síntesis Estadística. Producción Agropecuaria 2020/2021)を出典に県別の値を公開している。2020/21年度 のコーヒー(Cafeto)は、作付面積が全国で 309ha、生産量が 388トン で、カニンデジュ県が315トン(約81%)を占める。2つの統計を並べると、全国の規模(290ha・370トン→309ha・388トン)とカニンデジュ県の比率(約84%→約81%)に大きな差はない。
| 県 | 作付面積(ha) | 生産量(トン) |
|---|---|---|
| カニンデジュ(Canindeyú) | 246 | 315 |
| コンセプシオン(Concepción) | 23 | 28 |
| コルディジェラ(Cordillera) | 13 | 18 |
| サンペドロ(San Pedro) | 12 | 11 |
| イタプア(Itapúa) | 6 | 7 |
| アマンバイ(Amambay) | 3 | 3 |
| アルト・パラナ(Alto Paraná) | 3 | 3 |
| カアサパ(Caazapá) | 2 | 2 |
| カアグアス(Caaguazú) | 1 | 1 |
こちらも値のない県は省いた(県別の合計は全国計と一致する)。栽培が始まった時期や、2020/21年度より後の生産量・世界での順位は、一次資料で確認できていない。一方で、国内ではスペシャルティコーヒーを扱うロースターも現れている。
代表的な産地・生産者
代表的な農園
- カフェ・グアラニア(Café Guarania)Café Guarania
パラグアイのコーヒーブランド。共同創業者によると構想は2018年に始まり、支援団体MEDAの2019年の記事では同年に会社として正式に設立されたと紹介されている。共同創業者はForbes Paraguayの取材で、生豆を年間約2,500kg購入していると述べている。共同創業者はまた、生豆はカニンデジュ県の農家から仕入れており、品種はムンド・ノボ、産地の標高は約600mと説明している。精製方法は一次資料で確認できていない。ブランド名はパラグアイの音楽家ホセ・アスンシオン・フローレスが生み出した国民的音楽「グアラニア」に由来する
- ドゥ・コーヒー・ロースターズ(Deux Coffee Roasters)Deux Coffee Roasters
パラグアイ国内のスペシャルティコーヒーロースター。公式サイトでは2017年から焙煎を行っていると紹介している。国内の生産者との直接取引や、海外バイヤーとの連携は一次資料で確認できていない
精製方法
パラグアイで主に使われている精製方法は、一次資料では確認できていない。下の図は、この記事が目安として示すナチュラル(乾式)精製の一般的な工程。
精製方法
ナチュラル
Natural / Dry Process
フルーティーで甘みが強い。ベリー系の発酵感とワインのような複雑さ
フレーバーチャート
おすすめの焙煎度
おすすめの焙煎度
ミディアム ロースト
ポジショニングマップ
ポジショニングマップ
淹れ方のポイント
- お湯の温度:88〜92℃
- 挽き目:中挽き
- 抽出方法:ペーパードリップまたはフレンチプレス(甘みとコクを丁寧に引き出せる)
- 豆の量:12〜14g / 200ml(12g → チョコレートと甘みが際立つ、14g → ナッツのコクと厚みが増す)
基準のエビデンス
- 豆の量:SCA(スペシャルティコーヒー協会)家庭用ブリューワー規格(SCA Standard 310)の目安 55g/kg(約1:18、200mlで11g)/日本式 1:14〜1:16(200mlで12〜14g)。本ブログは焙煎度別に世界寄りの中間値を採用
- お湯の温度:SCA基準 90〜96℃(93℃±3)/日本式は焙煎度に応じて低めを好む(特に深煎り82〜85℃)。本ブログは焙煎度別に世界+日本式の折衷を採用
- 出典:SCA Coffee Standards / Specialty Coffee Association
訂正(2026-09-29): パラグアイ北部の土壌を「テラ・ロッサ(Terra Rossa)と呼ばれる赤色玄武岩質粘土質土壌が主体」「ブラジルの名産地セラード(Cerrado)と同系統の土壌」と記載していましたが、FAOの資料では玄武岩由来の赤土は「テラ・ロシャ(terra roxa)」と呼ばれており、「テラ・ロッサ」は不適切でした。名称を改めました。アマンバイ県の農園がこの土壌に分布することと、セラードの土壌と同系統であることは一次資料で確認できなかったため、「主体」「同系統」の記述と、この土壌がミネラル・保水性・甘みをもたらすという説明を削除しました(サブタイトル・説明文・品種欄も同様)。追加の照合で、栽培標高を「300〜700m」「アマンバイはパラグアイ国内で最も高い栽培標高(最大700m)」、気候を「年平均気温18〜24℃、年間降水量1,400〜1,800mm」、歴史を「1889年頃に83,966本」「農業銀行(Banco Agrícola)による苗木無償配布」「1967年に北部で大規模な農園開設」、生産量を「2002/03年度に約47,000袋」「2023年に約16,200袋(972トン相当)で世界42位」と記載していましたが、栽培標高・歴史・生産量はいずれも一次資料で確認できなかったため削除し、パラグアイ農牧省の統計にある2009/10年度の値(全国370トン、アマンバイ県2トン)に改めました。年平均気温は、政府公開のセロ・コラ国立公園管理計画の値(アマンバイ地域で21〜23℃、ペドロ・フアン・カバジェロで21.2℃、1971〜2000年)と合わないため改め、降水量も同じ資料の値(1,450〜1,700mm、ペドロ・フアン・カバジェロで1,625mm、1950〜2000年)に揃えました。カフェ・グアラニアを「2018年設立のパラグアイ初の100%国産コーヒーブランド」「生豆を年間約2,500kg仕入れ」「ハンドピックを国内で初めて導入」と記載していましたが、支援団体MEDAの記事では会社の正式設立は2019年(構想は2018年)で、年約2,500kgは共同創業者がForbes Paraguayの取材で述べた生豆の購入量でした。「初」の2か所は確認できなかったため削除しました。ドゥ・コーヒー・ロースターズについて「農家と直接契約」「グリーンコーヒー・コレクティブなどの海外バイヤーとも連携」と記載していましたが、取引・連携を示す一次資料を確認できなかったため削除し、公式サイトにある2017年からの焙煎に改めました。
訂正(2026-09-30): 抽出の目安で「SCA(米スペシャルティコーヒー協会)Golden Cup基準」と記載していましたが、SCA(スペシャルティコーヒー協会)は米国のSCAAと欧州のSCAEが2017年に統合した団体で、「Golden Cup」は旧SCAAの名称のため、「SCA(スペシャルティコーヒー協会)家庭用ブリューワー認証の基準」に改めました。比率(55g/L、約1:18、200mlで11g)は変更していません。同日、この基準を示していた2017年の認証要件の文書がSCAのサイトで公開されなくなっていたため、現行の家庭用ブリューワー規格(SCA Standard 310-2021、水1kgに豆55g)の表記にそろえました。
訂正(2026-10-11): パラグアイを「コーヒー産地としての歴史は比較的浅い」とし、「主産地は北部のアマンバイ県・カニンデジュ県・アルト・パラナ県」と記載していましたが、いずれも一次資料で確認できませんでした。歴史の記述は削除し、主産地は輸入業者の資料による記載であることを明記したうえで、農牧省の統計ではアマンバイ県の生産量が全国370トンのうち2トンだったことを添えました。品種情報で「栽培されるコーヒーはすべてアラビカ種」「ブラジルから持ち込まれた品種が中心」「収穫期は4〜8月で、ナチュラル・ウォッシュド・ハニーと多様な精製法」とし、ムンド・ノボを「病害耐性と収量のバランスに優れ」、ブルボンを「小粒ながら糖度が高く」と記載していましたが、一次資料で確認できなかったため削除し、品種はカフェ・グアラニアの共同創業者が説明するムンド・ノボに限りました(カトゥアイ・カトゥーラ・ブルボンの記載も外しました)。「アマンバイ小規模農家グループ」(ブラジル系移民の子孫、遮光栽培など)は、該当するグループも記述の根拠も確認できなかったため削除しました。精製方法の節の「ナチュラル(天日乾燥)が主体」「近年はウォッシュドやハニー精製も試験的に導入」、産地の「北部高地」、カフェ・グアラニアの「ナチュラル精製で仕上げる」も一次資料で確認できなかったため削除し、比較表などに表示していた精製方法の分類(ナチュラル)も外しました。カフェ・グアラニアの所在地を「カニンデジュ県」としていましたが、共同創業者の説明で確認できるのは豆の産地がカニンデジュ県であることで、会社の所在地は確認できていないため「豆はカニンデジュ県産」に改めました。副題の「亜熱帯の丘陵が育む」も、地形の記述が一次資料で確認できなかったため「亜熱帯の気候が育む」に改めました。
追記(2026-10-11): 農牧省の統計(Síntesis Estadística 2009/10、Cuadro 29)の県別の値を確認し、主な産地はカニンデジュ県(全国370トンのうち312トン)であることと、県別の表を追記しました。あわせて記事の対象をパラグアイ全体とし、タイトルを「パラグアイ アマンバイ」から改めました(URLは変えていません)。
追記(2026-10-15): 国家統計局(INE)の「Anuario 2021 – Economía」にある、農牧省の統計(2020/21年度)を出典とする県別の作付面積・生産量(全国309ha・388トン、うちカニンデジュ県315トン)を追記しました。近年の生産量を一次資料で未確認としていた箇所は、2020/21年度より後の値に限って未確認と改めました。
訂正(2026-10-16): 副題で「南米内陸の秘境——亜熱帯の気候が育む穏やかなチョコレートと甘みの1杯」と記載していましたが、「秘境」は一次資料で確認できない評価の表現で、気候と味わいの因果を示す一次資料も記事で挙げていなかったため、農牧省の統計で確認できる主産地にそろえて「ブラジル国境沿いのカニンデジュ県が主産地の、南米内陸のコーヒー」に改めました。
参考文献・情報ソース
- Wikipedia — Coffee production in Paraguay
- Asunción Times — Sweet Success: How Café Guarania Is Revitalizing Paraguayan Coffee Culture
- Perfect Daily Grind — Paraguay's Growing Thirst for Specialty Coffee
- Green Coffee Collective — Paraguay Origin Profile
- Grokipedia — Coffee production in Paraguay
- World Coffee Research — Mundo Novo
- FAO — 土壌資料(玄武岩由来の赤土 terra roxa)
- パラグアイ農牧省(MAG/DCEA)— Síntesis Estadística 2009/10
- パラグアイ国家統計局(INE)— Anuario 2021 – Economía:永年作物の県別作付面積・生産量 2020/2021(出典:農牧省)
- パラグアイ政府 — セロ・コラ国立公園管理計画(気温・降水量 PDF頁14–15・印刷頁15–16)
- MEDA — Café Guarania, mipyme con impacto social(2019年)
- Forbes Paraguay — El resurgimiento del café paraguayo(共同創業者インタビュー)
- Deux Coffee Roasters 公式サイト
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