Indonesia
インドネシアのコーヒー完全ガイド
スマトラのガヨ・マンダイリンやスラウェシのトラジャなど。ガヨは2017年にEUのGIに登録
訂正(2026-10-16): 説明文を「マンデリン・トラジャ・バリ。アーシーでトロリとしたボディ」としていましたが、記事(インドネシア マンデリンG-1)の訂正(2026-10-14)で、ウェットハルの風味の断定を外し、FAOなどの報告に集められた記述例として示す形に改めており、「アーシーでトロリとしたボディ」という風味の記述には出典がないため、EUR-Lexの規則(EU)2017/870とインドネシア知的財産総局の資料で確認できる内容に改めました。
産地の概要
- スマトラ島(アチェのガヨ高地、北スマトラのマンダイリン)
- スラウェシ島(トラジャ)
- ジャワ島(東ジャワのイジェン高原)
- バリ島(キンタマーニ)
- フローレス島(バジャワ)
- パプア山岳州(ワメナ周辺のバリエム渓谷)
フレーバーの特徴
ウェットハルのコーヒーは、アーシーでシロップのようなボディと紹介されることがあります(FAOなどの報告に集められた記述例で、官能試験の結論ではありません)。産地ごとの説明では、ガヨの地理的表示の申請書がナッツ・チョコレート・キャラメル・フルーツを挙げ、東ジャワのボンドウォソ県はイジェン周辺のアラビカを「チョコレートのような甘さ」と説明しています
品種・精製方法
主な品種
- ティムティム(Tim Tim。ガヨの地理的表示の申請書が原料として認める品種の一つ)
- S795
- ティピカ(フローレス・バジャワの地理的表示の仕様に掲載)
- ロブスタ
精製方法
- ウェットハル(湿式脱穀)
- ウォッシュド(バリ・キンタマーニの地理的表示の要件など)
銘柄・産地別の記事 (4件)
インドネシア アチェ ガヨ
EU地理的表示の仕様書から読む、アチェ高地の一杯
インドネシア・アチェ州ガヨ高地のアラビカ。アチェ・テンガ、ブナー・ムリア、ガヨ・ルスの3県が地理的表示(GI)の対象で、国内登録は申請書で2010年、EU登録は2017年。仕様書の標高・品種・精製・組合の数字から産地の輪郭を読み解きます
インドネシア マンデリンG-1のコーヒー|名前の由来、スマトラ式精製と味の特徴
スマトラの大地が宿す、重厚なボディと深いコク
マンデリンの名は北スマトラのマンダイリン族に由来する。市場ではリントンやアチェのガヨの豆もこの名で取引される例があるが、地理的表示の申請で示された範囲はマンダイリン・ナタール県内に限られる。ウェットハル(スマトラ式)の工程と、アーシー・スパイスなどと紹介される味わいをまとめる
インドネシア コピ・ルアックとは|ジャコウネコを経る動物発酵コーヒーの研究と、動物福祉の問題
ジャコウネコの消化を経る動物発酵コーヒー
ジャコウネコが食べたコーヒーチェリーの豆から作られる動物発酵コーヒー。豆の化学的な変化についての研究と、背景にある倫理的問題を考えます
インドネシア ワイルド・ルアック
「野生」の表示と、確かめられること
野生のジャコウネコの糞から採るとされるワイルドルアック。研究で分かっている化学的な違いと動物福祉の問題、「野生」を確かめる認証が見当たらないことを、出典とともに整理します
よくある質問
- スマトラ式(ウェットハル)とは何ですか?
- 果肉を除いて発酵させたパーチメントを、乾ききらないうちに脱穀し、生豆の状態で乾かす方法です(FAO/CFC/ICOの報告)。北スマトラのマンデリンと結びつけて説明されることが多い方法ですが、スラウェシ島の事業者でも使われています(ACIAR)。風味はアーシー、シロップのようなボディと紹介されることがありますが、工程との因果は一次資料で確認できていません。(2026-10-14訂正:「独自の精製方法」「高湿度のスマトラ気候に適応した手法」「通常のウォッシュドに比べアーシーで重厚なボディの風味が生まれます」と記載していましたが、スラウェシ島でも使われており、気候への適応と工程・風味の因果は一次資料で確認できなかったため改めました。スマトラ マンデリンの記事の2026-10-05の訂正に合わせています)
- マンデリンG-1のGとは?
- G-1はインドネシアの生豆の等級表示です。ガヨの地理的表示の仕様書は、生豆300gあたりの欠点値を11未満と定めています。国内規格(SNI)の本文は確認できていません。(2026-10-14訂正:「G1は欠点豆の含有量が最も少ない最高品質」「スクリーンサイズ・色・香りも総合評価されます」と記載していましたが、一次資料で確認できなかったため、ガヨの地理的表示の仕様書で確認できる範囲に改めました)
- コピ・ルアックは倫理的に問題がありますか?
- バリ島の観光農園を調べた研究(Carder et al. 2016)は、ケージで飼育されたジャコウネコの飼育環境に福祉上の問題を報告しています。「野生」をうたう製品もありますが、それを確かめる独立した認証は確認できていません。購入するときは、仕入れの経路を販売者に確かめてください。消化管を通った豆では、タンパク質の減少などの化学的な違いが報告されていますが(Marcone 2004)、風味への影響は確認できていません。(2026-10-14訂正:「狭いケージで大量飼育」「野生の個体が自然の森で摂食した豆のみを収集する『ワイルドルアック』が倫理的に望ましいとされています」と記載していましたが、飼育の規模と、ワイルドルアックを望ましいとする根拠は一次資料で確認できなかったため改めました。コピ・ルアックの記事の訂正に合わせています)
訂正(2026-10-14): 標高を「700〜1,700m」と記載していましたが、当サイトの記事で確認できる地理的表示や研究の値はいずれも900m以上のため、ガヨ・マンダイリンの地理的表示の値に改めました。気候の「熱帯雨林性。スマトラ島は高温多湿。バリ・スラウェシは乾燥期が明確」は一次資料で確認できなかったため、ガヨの仕様書とACIARの資料で確認できる収穫期に改めました。主な産地の「エナレカン」は確認できなかったため外し、ジャワ島(イジェン高原)を加えました。主な品種の「ティピカ系(スマトラ)」「ハイブリッドティモール」は、スマトラの記事とマンデリン系の品種ページの訂正で外した系統の記述のため、ティムティム(ガヨの地理的表示の原料品種)と、フローレス・バジャワの地理的表示の仕様文書に載るティピカに改めました。精製方法の「ウォッシュド(スラウェシ)」「ナチュラル」は確認できなかったため外し、コピ・ルアックは精製方法ではないため一覧から外しました。風味の「ウェットハル精製が生む独特のアーシーな風味と重厚なボディが代名詞」「ダークチョコレート・スパイス・ハーブ」「コピ・ルアックはジャコウネコの消化酵素による特殊なまろやかさ」は、スマトラ・スラウェシ トラジャ・コピ・ルアックの記事の訂正と食い違うため改めました。
参考文献・情報ソース
- USDA FAS — Coffee: World Markets and Trade(2026年7月版)
- Application for the registration of the PGI Kopi Arabika Gayo(英国政府公開の写し)
- EUR-Lex — Commission Implementing Regulation (EU) 2017/870(Kopi Arabika Gayo のPGI登録)
- インドネシア知的財産総局(DGIP)— Kopi Arabika Sumatera Mandailing の申請公示
- EU官報 — Flores Bajawa 地理的表示の仕様
- FAO/CFC/ICO — Annex E.6(ウェットハルの工程)
- ACIAR — Final Report SMAR/2007/200
- PTPN XII — Republik Kopi Bondowoso
- Carder G. et al. (2016) Animal welfare implications of civet coffee tourism in Bali. Animal Welfare 25(2): 199–205
- Marcone (2004) — Composition and properties of Indonesian palm civet coffee (Kopi Luwak) and Ethiopian civet coffee