
グアテマラ アカテナンゴ
活火山フエゴのそばで育つ、ナチュラル精製の果実味
グアテマラANACAFEが定める8つの産地プロフィールの一つアカテナンゴ渓谷は標高1,300〜2,000m 活火山フエゴの隣で農園を営み噴火の灰がミネラル豊富な土壌を作る De La Genteパートナーの小規模生産者組合はナチュラル精製でマンゴーやきび砂糖のような甘みを引き出す
この記事の要点
- 産地はグアテマラ・チマルテナンゴ県〜サカテペケス県境のアカテナンゴ渓谷、ANACAFE認定8地域の一つ
- 活火山フエゴ山のすぐ西側に位置し、噴火灰がミネラル豊富な砂質土壌を作る、標高1,300〜2,000m(4,300〜6,500ft)
- 代表格はDe La Gente提携の小規模生産者組合カフィクルトーレス・デ・サンミゲルエスコバル、16名の生産者が加盟
- 主要品種はボルボン種・カトゥアイ種、乾季の晴天を活かしたナチュラル(乾式)精製がDe La Genteロットの特徴
- グアテマラは2022/23年度に世界第4位のアラビカ輸出国(USDA FASの2024年の年次報告)、2025/26年の輸出量は前年比7.4%増の320万袋の予測(Daily Coffee News報道)
産地情報
| 産地 | グアテマラ・チマルテナンゴ県〜サカテペケス県境、アカテナンゴ渓谷(活火山フエゴ・アカテナンゴの西麓) |
|---|---|
| 品種 | ボルボン種・カトゥアイ種が中心、一部農園はサルチモール種・ヘイセン1種・テキシック種・ゲイシャ種も試験栽培 |
| 標高 | 1,300〜2,000m(4,300〜6,500ft、一部区画は2,000m超) |
| 味わい | マンゴー・きび砂糖・アーモンドの甘み、はっきりした酸味と穏やかなボディ当サイトの味わいの目安です。公開ロット情報と地域の一般的傾向に基づき、特定ロットの評価や試飲記録ではありません(編集方針)。 |
品種情報
品種:ボルボン種・カトゥアイ種(De La Gente提携農家の主力品種)、一部農園でサルチモール種・ヘイセン1種・テキシック種・ゲイシャ種
アカテナンゴ渓谷の主力はボルボン種とカトゥアイ種 渓谷内では農園ごとの多様化も進んでおり、サンペドロ・イェポカパ地区のフィンカ・サンタエリサ・パチュップはサルチモール種・ヘイセン1種・テキシック種を、7haの小農園エル・ミラドールはゲイシャ種をウォッシュド精製で栽培している
- ボルボン種ティピカとは別の経路で広まったアラビカの古典品種(World Coffee Research)で、渓谷の主力品種として甘みとまろやかな酸を支える
- カトゥアイ種ムンドノーボとカトゥーラの交配種で樹高が低く収量が安定している
- フィンカ・サンタエリサ・パチュップ506haのうち360haをコーヒー畑とし、老朽樹の改植でサルチモール種・ヘイセン1種・テキシック種の生産量を伸ばしている
グアテマラ アカテナンゴとは
アカテナンゴ渓谷は、グアテマラ・チマルテナンゴ県からサカテペケス県にまたがる高地で、ANACAFE(グアテマラ全国コーヒー協会)が1990年代に設定した8つの産地プロフィールの一つです。アンティグア渓谷を取り囲む3つの火山——アグア・フエゴ・アカテナンゴ——のうち、活火山フエゴに近い西側斜面が主な栽培地にあたります(Guatemalan Coffees — Acatenango Valley)。
標高は1,300〜2,000m(4,300〜6,500ft)、一部の高地区画は2,000mを超えます。標高とコーヒーの味の関係にあるとおり、高標高はゆっくりとした結実を通じて風味の複雑さに寄与するとされます。フエゴ山は継続的に噴火を繰り返しており、その火山灰が粗めで水はけの良い砂質土壌にミネラルを供給しています。太平洋からの穏やかな貿易風と、乾季にはっきり晴れる気候が、農園によるナチュラル(天日乾燥)精製を後押ししてきました(Guatemalan Coffees産地情報)。
長らくアカテナンゴ産の豆は近隣アンティグアの集荷場に運ばれ「アンティグア」名義で取引されてきたと解説されていますが(一次資料では未確認)、ANACAFEの2025年の表彰ではアカテナンゴ渓谷のLa Campanaのロットが86.50点を記録するなど、渓谷独自の評価も見られます(Perfect Daily Grind — Barista Guide to Guatemala’s 8 Coffee Regions)。国全体で見ると、USDA FAS(米農務省海外農業局)の2024年の年次報告(GT2024-0004)は、グアテマラを2022/23年度の世界第4位のアラビカ輸出国としています。同じくUSDA FASのデータを基にしたDaily Coffee Newsの報道によれば、グアテマラの2025/26年の輸出量は前年の298万袋から7.4%増の320万袋、輸出価格は60kg袋あたり300ドルを超える水準にあります(Daily Coffee News, 2026年5月)。
代表的な農園・協同組合
代表的な農園
- カフィクルトーレス・デ・サンミゲルエスコバルCaficultores de San Miguel Escobar (De La Gente partner cooperative)
2005年に7名の生産者で発足、2021年末に現名称へ改称し現在16名が加盟 2014年から社会的企業De La Genteと提携しナチュラル精製ロットで86.5点のカッピングスコアを記録(De La Gente公式)
- フィンカ・サンタエリサ・パチュップFinca Santa Elisa Pachup
総面積506haのうち360haがコーヒー畑 老朽樹の改植と経営刷新で生産量を年間約3.4万キンタル(生豆換算前のチェリー重量)まで伸ばし、サルチモール種・ヘイセン1種・テキシック種を主力とする
- エル・ミラドール農園El Mirador Farm
カルラ・コト氏が営む7haの小農園 渓谷では珍しくゲイシャ種をウォッシュド精製で栽培する専業マイクロロット生産者
精製方法
精製方法
ナチュラル
Natural / Dry Process
フルーティーで甘みが強い。ベリー系の発酵感とワインのような複雑さ
De La Gente提携ロットはナチュラル(乾式)精製が主力。 サンミゲルエスコバルの生産者組合はチェリーを果肉除去せずそのまま天日乾燥するナチュラル精製で86.5点のカッピングスコアを獲得し、マンゴーやきび砂糖、キャンディのような甘みを引き出している(De La Gente — Coffee Growers of San Miguel Escobar)。一方で渓谷内には7ha規模のエル・ミラドール農園のようにゲイシャ種をウォッシュドで仕上げる農園もあり、同じアカテナンゴでも生産者ごとに精製方法を選び分けている。
フレーバーチャート
おすすめの焙煎度
おすすめの焙煎度
ミディアム ロースト
ポジショニングマップ
ポジショニングマップ
淹れ方のポイント
- お湯の温度:88〜92℃
- 挽き目:中挽き
- 抽出方法:ペーパードリップ
- 豆の量:13g / 200ml(ナチュラル精製特有の甘みと発酵感を活かす中煎り標準量)
📏 基準のエビデンス
- 豆の量:SCA(スペシャルティコーヒー協会)家庭用ブリューワー規格(SCA Standard 310)の目安 55g/kg(約1:18、200mlで11g)/日本式 1:14〜1:16(200mlで12〜14g)。本ブログは焙煎度別に中間値を採用
- お湯の温度:SCA基準 90〜96℃(93℃±3)。中煎りはやや低めの温度で甘みとボディを保つ
- 出典:SCA Coffee Standards / Specialty Coffee Association
同じ国でも火山との距離が異なるグアテマラ アンティグアや、シエラ・デ・ロス・クチュマタネス山系のグアテマラ ウエウエテナンゴと飲み比べると、グアテマラ国内のテロワールの幅がよく分かります。
訂正(2026-09-27): ボルボン(ブルボン)種を「ティピカの自然変異種」と記載していましたが、World Coffee Researchによると、ブルボンはイエメンを経てティピカとは別の経路でブルボン島(現レユニオン島)へ渡った系統です(当サイトの品種ページブルボンも2026-09-21に同じ内容で訂正済み)。「ティピカとは別の経路で広まったアラビカの古典品種」に改めました。また追加の照合で、ANACAFEの「公式に定める8つの産地認定地域」はANACAFE自身の説明では1990年代に設定した「8つの産地プロフィール」のため改めました。この記事で紹介している生産者組合カフィクルトーレス・デ・サンミゲルエスコバル(86.5点のロット)は、提携先のDe La Gente自身がアンティグア産地の生産者として紹介しており、アカテナンゴ渓谷の産地の例ではないため、その旨を明記しました。アカテナンゴ渓谷のロットの評価としては、ANACAFEの2025年の表彰(La Campana、86.50点)を加えました。
訂正(2026-09-30): 抽出の目安で「SCA(米スペシャルティコーヒー協会)Golden Cup基準」と記載していましたが、SCA(スペシャルティコーヒー協会)は米国のSCAAと欧州のSCAEが2017年に統合した団体で、「Golden Cup」は旧SCAAの名称のため、「SCA(スペシャルティコーヒー協会)家庭用ブリューワー認証の基準」に改めました。比率(55g/L、約1:18、200mlで11g)は変更していません。同日、この基準を示していた2017年の認証要件の文書がSCAのサイトで公開されなくなっていたため、現行の家庭用ブリューワー規格(SCA Standard 310-2021、水1kgに豆55g)の表記にそろえました。
訂正(2026-10-11): グアテマラ ウエウエテナンゴを「非火山性土壌」と紹介していましたが、一次資料で確認できませんでした(同記事では2026-09-29に同じ内容を削除済み)。「シエラ・デ・ロス・クチュマタネス山系の」に改めました。
訂正(2026-10-15): 「Daily Coffee Newsの報道によれば、グアテマラは2022/23年時点で世界第4位のアラビカ輸出国」と記載していましたが、出典は業界ニュースで、その見出しは「生産国」としており記事の「輸出国」と食い違っていました。USDA FAS の2025/26年度の生産量(アラビカとロブスタの合計、当サイトの生産量ランキングの表)では、ほぼアラビカだけを生産するホンジュラス・ペルーなどがグアテマラを上回り、一次資料で順位を確認できなかったため、要点と本文から削除し、出典からもこの報道を外しました(グアテマラの記事でも同日に同じ内容を削除)。2025/26年の輸出量・輸出価格の記述は変えていません。
訂正(2026-10-15): 同日の訂正で「2022/23年時点で世界第4位のアラビカ輸出国」を、一次資料で順位を確認できないとして外しましたが、その後の照合で、USDA FAS の2024年の年次報告(GT2024-0004)が、グアテマラを2022/23年度の世界第4位のアラビカ輸出国としていることを確認しました。外したのは誤りだったため、USDA FAS の報告を出典にして要点と本文に戻しました。業界ニュースの見出しにある「生産国」としての順位は、引き続き確認できていません(グアテマラの記事で外したのはこちらの順位のため、そちらは戻していません)。
訂正(2026-10-16): 副題で「活火山フエゴの灰が育む、ナチュラル精製の果実味」、よくある質問で「噴火灰の恩恵と乾季の晴天が精製方法の選択に反映されています」「噴火灰による土壌肥沃化という恩恵とリスクが表裏一体の産地です」と記載していましたが、火山(火山灰・火山性土壌)と風味や栽培上の恩恵との因果を示す一次資料は確認できなかったため、副題を「活火山フエゴのそばで育つ、ナチュラル精製の果実味」、前者を「乾季の晴天が精製方法の選択に反映されています」に改め、後者は削除しました。フエゴ山の火山灰が砂質土壌にミネラルを供給するという土壌の記述(Guatemalan Coffeesの産地情報)は変えていません。
参考文献・情報ソース
- USDA FAS — Guatemala Coffee Annual(GAIN GT2024-0004、2024年5月10日:2022/23年度に世界第4位のアラビカ輸出国)
- Guatemalan Coffees — Acatenango Valley(渓谷の地理・標高・気候)
- Perfect Daily Grind — Barista Guide: 8 Different Coffee Regions of Guatemala(ANACAFE8地域の位置づけ)
- De La Gente — Coffee Growers of San Miguel Escobar(協同組合の生産者数・標高・提携経緯)
- De La Gente — Facts About the Premium Coffee of the Antigua Coffee Growing Region(ナチュラル精製・カッピングスコア)
- Mercanta Coffee Hunter — El Mirador(エル・ミラドール農園のゲイシャ・標高・所有者)
- Daily Coffee News — Guatemala Coffee Report: Production Up as Arabica Plantings Mature(2025/26年輸出量予測・輸出価格、USDA FASデータ)
- SCA Coffee Standards(SCAの規格一覧)
- World Coffee Research — Bourbon
- ANACAFE — Estrategia de microregionalización: A Rainbow of Choices(8つの産地プロフィール)
- ANACAFE — Premiación Acatenango 2025
- CONRED — 2018年6月3日のフエゴ火山噴火に関する速報
よくある質問
- アカテナンゴとアンティグアは何が違いますか?
- ANACAFEは両者を別の認定地域として扱いますが、地理的にはアンティグア渓谷を囲む3火山(アグア・フエゴ・アカテナンゴ)のうちフエゴ寄りの西側斜面がアカテナンゴ渓谷にあたります より活発な火山活動の影響を受けやすい一方、乾季の晴天が精製方法の選択に反映されています
- 活火山のすぐそばで農業をするのは危険ではないですか?
- フエゴ山は2018年に大規模な火砕流を伴う噴火を起こし周辺集落に被害が出ました 農園は継続的な噴火リスクと共存しており、噴火警戒時は避難態勢が取られます
- De La Genteとはどんな組織ですか?
- 2005年にアメリカ人ボランティアの技術指導をきっかけに発足した非営利の社会的企業で、アンティグア近郊の小規模生産者と提携し品質改善・直接取引・農園ツアーなどを行っています 現在140名以上の生産者・8つの協同組合と協働しています
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