
パプアニューギニア イースタンハイランズ州
コーヒー研究の拠点アイユラを抱える小農家中心のオーガニック産地
パプアニューギニアの主要産地イースタンハイランズ州は、ゴロカとカイナントゥを核に標高1,548〜1,898mでコーヒーを栽培。CICの研究拠点アイユラと、プロサ・オカパ地区の小農家組合HOACがオーガニック・フェアトレードの品質を支える
この記事の要点
- 産地はパプアニューギニア東部高地州(ゴロカ〜カイナントゥ)、標高1,548〜1,898m
- PNGコーヒーの起源は1920年代後半にワウで導入されたジャマイカ系の種(CIC)
- ティピカ・ブルボン・アルーシャの3品種を小農家が「コーヒーガーデン」で栽培
- プロサ・オカパ地区のフェアトレード組合HOACは、2016年の評価資料で生産者約2,600人
- 州都ゴロカにはコーヒー産業公社(CIC)本部、アイユラにはCICの研究部門がある
産地情報
| 産地 | パプアニューギニア・東部高地州(ゴロカ〜カイナントゥ) |
|---|---|
| 品種 | ティピカ種・ブルボン種・アルーシャ種 |
| 標高 | 1,548〜1,898m |
| 味わい | レモン様の柑橘・チョコレート・スパイス・ティーライクな軽やかなボディ当サイトの味わいの目安です。公開ロット情報と地域の一般的傾向に基づき、特定ロットの評価や試飲記録ではありません(編集方針)。 |
品種情報
品種:ティピカ種・ブルボン種・アルーシャ種
コーヒー産業公社(CIC)のハンドブックによれば、PNGのブルーマウンテン系コーヒーはジャマイカに由来し、1920年代後半にワウで導入・展開された(詳細はシグリ参照)。東部高地州のプロサ・オカパ地区では、その系統のティピカ種に加え、ブルボン種、そしてオーストラリア国際農業研究センター(ACIAR)の資料でブルボン系の選抜系統とされるアルーシャ種の3品種が小農家によって栽培される。多くは自宅の庭先や斜面に数十〜数百本を植える「コーヒーガーデン」形態で、企業農園(エステート)のあるジワカ州ワギ渓谷とは栽培構造が異なる
- 小農家中心の主要産地
- ティピカ・ブルボン・アルーシャの3品種が中心
- 小農家の「コーヒーガーデン」形態が主流
- ゴロカ・カイナントゥの標高1,548〜1,898mで栽培
コーヒー研究の拠点が置かれた産地
パプアニューギニア東部高地州は、ジワカ州のシグリ・ワギ渓谷と並んで知られるPNGのコーヒー産地です(国内での順位や生産シェアは一次資料で確認できていません)。 州都ゴロカから東へカイナントゥへ抜ける一帯が主産地で、標高は1,548〜1,898mとCICが公式に示しています。
この州が他産地と一線を画すのは、コーヒー産業を支える公的インフラが集中している点です。 ゴロカにはPNG全土のコーヒー行政を統括するコーヒー産業公社(CIC)本部が置かれ、アイユラにはCICの研究部門(Research & Grower Services)が置かれています。 毎年9月にはゴロカ・ショーという伝統文化の祭典が開かれ、コーヒーとともに地域の顔として知られています。
代表的な生産地・組織
代表的な農園
- HOAC(プロサ・オカパ地区)Highlands Organic Agricultural Co-operative
フェアトレード認証団体。ニュージーランド外務貿易省の2016年の評価資料では生産者約2,600人(現在の人数は未確認)。ティピカ・ブルボン・アルーシャ種を有機栽培。フェアトレードプレミアムは道路整備や小学校4校の新設など地域インフラに還元されている
- ゴロカ(州都・集荷拠点)Goroka
コーヒー産業公社(CIC)本部を擁する州都。周辺小農家が持ち寄るコーヒーの集荷地で、毎年9月開催のゴロカ・ショーでも知られる
- アイユラ研究所Aiyura Research Station
CICの研究部門が置かれる拠点。品種の適応試験やさび病等の耐病性研究を担い、PNG全土で栽培される品種選定に影響を与えている
精製方法
精製方法
ウォッシュド
Washed / Wet Process
豆本来の味が際立つクリーンカップ。明るい酸味とクリアな風味が特徴
小農家が手摘みした果実は各家庭やHOACのような組合が持つ小型パルパーで果肉を除去し、発酵・水洗を経てパーチメント(内果皮付き)のまま乾燥させ、ゴロカの集荷業者に持ち込む流通形態が一般的です。なお「Y-grade」はコーヒー豆の等級の名称で、パーチメントの通称ではありません。
フレーバーチャート
おすすめの焙煎度
おすすめの焙煎度
シナモン ロースト
柑橘系の酸味とスパイスの香りを活かすなら中浅煎りがおすすめです。
ポジショニングマップ
ポジショニングマップ
淹れ方のポイント
- お湯の温度:86〜90℃
- 挽き目:中挽き
- 抽出方法:ペーパードリップ推奨(レモン様の酸味とスパイシーな香りを引き立てる)
- 豆の量:11〜13g / 200ml(11g → 柑橘系の酸味と香りが軽やかに際立つ、13g → チョコレート感とティーライクなコクが増す)
📏 基準のエビデンス
- 豆の量:SCA(スペシャルティコーヒー協会)家庭用ブリューワー規格(SCA Standard 310)の目安 55g/kg(約1:18、200mlで11g)/日本式 1:14〜1:16(200mlで12〜14g)。本ブログは焙煎度別に世界寄りの中間値を採用
- お湯の温度:SCA基準 90〜96℃(93℃±3)/日本式は焙煎度に応じて低めを好む(特に浅煎りは低温寄り)。本ブログは焙煎度別に世界+日本式の折衷を採用
- 出典:SCA Coffee Standards / Specialty Coffee Association
訂正(2026-09-29): PNGコーヒーの起源を「1926年にオーストラリア人入植者がジャマイカ・ブルーマウンテンの種を持ち込んだ」と記載していましたが、コーヒー産業公社(CIC)のハンドブックではジャマイカ由来の種が1920年代後半にワウで導入・展開されたとされ、1926年という年と導入者は確認できなかったため改めました。シグリの所在を「西部高地州(ワギ渓谷)」と記載していましたが、シグリは現在、2012年に西部高地州から分離したジワカ州にあるため改めました。「西部高地州に次ぐ第2位の産地」「PNG国内生産量の約3分の1」「PNG二大産地」は、同じ定義・年次の一次統計で確認できなかったため削除しました。HOACについて副題で「小農家3000軒」、本文で「2,600軒」と記載していましたが、ニュージーランド外務貿易省の2016年の評価資料で確認できたのは生産者約2,600人で、現在の人数は確認できなかったため、年を明記した記述に改めました。「PNG最古参(級)のフェアトレード団体」、HOACの農園標高「1,300〜1,750m」は一次資料で確認できなかったため削除しました。アイユラを「PNG唯一の品種改良・耐病性研究を担う国立研究所」「カイナントゥの町から約10km」と記載していましたが、確認できたのはCICの研究部門がアイユラにあることで、「唯一」と距離は確認できなかったため削除しました。「パーチメントコーヒー(通称Y-grade)」と記載していましたが、Y-gradeはコーヒー豆の等級で、パーチメントの通称ではないため改め、「PNG輸出量の大半がこの経路を通る」は一次資料で確認できなかったため削除しました。
訂正(2026-09-30): 抽出の目安で「SCA(米スペシャルティコーヒー協会)Golden Cup基準」と記載していましたが、SCA(スペシャルティコーヒー協会)は米国のSCAAと欧州のSCAEが2017年に統合した団体で、「Golden Cup」は旧SCAAの名称のため、「SCA(スペシャルティコーヒー協会)家庭用ブリューワー認証の基準」に改めました。比率(55g/L、約1:18、200mlで11g)は変更していません。同日、この基準を示していた2017年の認証要件の文書がSCAのサイトで公開されなくなっていたため、現行の家庭用ブリューワー規格(SCA Standard 310-2021、水1kgに豆55g)の表記にそろえました。
訂正(2026-10-14): アルーシャ種を「タンザニア原産でティピカとブルボンの自然交配種とされる」と記載していましたが、オーストラリア国際農業研究センター(ACIAR)の資料ではブルボン系の選抜系統とされ、原産地と交配の由来は一次資料で確認できなかったため改めました(品種ページ「アルーシャ」の2026-09-29の訂正に合わせました)。
追記(2026-10-15): シグリについて「大農園」と書いていた3か所(よくある質問・品種の説明・関連記事の案内)を、「企業農園(エステート)」に言い換えました。シグリの記事の訂正(2026-10-15)で、シグリ農園の面積が運営会社の公式サイトで125haと確認でき、「大農園」では規模が大きく読めるためです。
参考文献・情報ソース
- Coffee Industry Corporation(CIC)— Eastern Highlands Province
- Coffee Industry Corporation(CIC)— 公式サイト
- Coffee Industry Corporation(CIC)— PNG Coffee Handbook(ジャマイカ系の導入:1920年代後半・ワウ)
- Coffee Industry Corporation(CIC)— Research & Grower Services(アイユラ)
- New Zealand MFAT — Evaluation of Support for Fairtrade Business Development in Pacific Island Countries(2016、HOACの生産者数)
- Business Advantage PNG — Eastern Highlands Province Business Guide
- Montville Coffee — Papua New Guinea Purosa(HOAC)
- Perfect Daily Grind — A Guide to Papua New Guinea’s Coffee Sector
- IFPRI — Opportunities and Challenges for Coffee Production in PNG’s Highlands
- ACIAR — Know your tree(アルーシャはブルボン系の選抜系統)
同じパプアニューギニアでは企業農園(エステート)中心のパプアニューギニア シグリ、南太平洋の隣国では同じメラネシア地域のソロモン諸島 ガダルカナルも参考にしてください。
よくある質問
- イースタンハイランズ州はPNGコーヒーの中でどんな位置づけですか?
- 小農家が中心の主要産地です(国内での順位や生産シェアは一次資料で未確認)。州都ゴロカは小農家のコーヒーの集荷拠点であり、コーヒー産業公社(CIC)の本部も置かれています
- HOACとはどんな組織ですか?
- Highlands Organic Agricultural Co-operativeの略で、プロサ・オカパ・イヴァンゴイ地区の小農家によるフェアトレード認証団体です。ニュージーランド外務貿易省の2016年の評価資料では生産者は約2,600人でした(現在の人数は未確認)。ティピカ・ブルボン・アルーシャ種を有機栽培し、プレミアムを道路整備や小学校建設に還元しています
- シグリとはどう違いますか?
- パプアニューギニア シグリはジワカ州(2012年に西部高地州から分離)ワギ渓谷の企業農園(エステート)によるティピカ種が主体です。対してイースタンハイランズ州は小農家が中心で、ゴロカ・カイナントゥ一帯の標高1,548〜1,898mという公式データがある産地。フルーティで軽やかなティーライクのカップが特徴です
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