カトゥーラ(Caturra)
カトゥーラ
カトゥーラは、ブルボンの自然突然変異から生まれた矮性の品種です。World Coffee Research(WCR)によると、1915〜1918年にブラジル・ミナスジェライス州で見つかり、単一遺伝子の変異によって樹高が低くなります。1937年にはカンピーナス農業研究所(IAC)が選抜を始め、名前はグアラニー語で「小さい」を意味します。WCRの品種カタログでは、1haあたり5,000〜6,000本の密植に向く一方、コーヒーさび病への感受性が高い品種とされています。
WCRは適した標高を緯度で分けており、赤道付近(北緯・南緯5度以内)では1,600m超を高標高の目安とし、その条件でのカトゥーラの品質のポテンシャルを「良」と評価しています。コロンビアの国立コーヒー研究所(Cenicafé)は、カトゥーラとティモール・ハイブリッドを交配したカスティージョを2005年に公開しました。2014年のカップ・オブ・エクセレンスの結果(ACE)では、コロンビア・アンティオキア県産の入賞3ロットの品種がいずれもカトゥーラと記載されています(個別のロットの結果で、地域の品種構成を示すものではありません)。豆を選ぶときは、さび病に弱い品種であることを踏まえ、産地の記事で品種構成とあわせて読むと背景がつかめます。
訂正(2026-10-14): 「標高1300m以上・中米産のウォッシュトを選ぶと、カトゥーラらしい柑橘系の透明感ある酸味に出会いやすくなります」と記載していましたが、World Coffee Researchの品種カタログが示す高標高の目安は緯度によって異なり(赤道付近で1,600m超)、標高と風味の関係は一次資料で確認できないため改めました(コロンビア ナリーニョの記事で、カトゥーラの高地での風味の記述を削除した訂正に合わせました)。あわせて、一次資料で確認できない「枝も密に茂る」「収量もブルボンより多い」「酸味は明るくシャープになりやすい」の記述を外しました。
コロンビア アンティオキア
コロンビア第2の産地、新・コーヒー軸の一角
コロンビア・アンティオキア県の生産量はウイラに次ぐ全国2位で、2024年の栽培面積は11万4,312ha 2014年COEでは標高2,004mのウラオ産が91.31点で1位 2019年に介入を受けた協同組合クーペランの再建まで、一次資料と報道で整理
ホンジュラス エルパライソのコーヒー|自治体別で生産量全国1位の町ダンリと産地の特徴
ニカラグア国境、コントラの拠点が置かれた県のコーヒー
ホンジュラス東部エルパライソ県、標高1,000〜1,600m。ダンリを中心に自治体別で全国1位の生産量へ成長し、さび病耐性のパライネマ種がパッションフルーツと花の香りを生む。ニカラグア国境の内戦地帯という歴史を抱えた産地です
メキシコ ベラクルスのコーヒー|国内第2の産地の歴史・標高・品種と味
湾岸の町コアテペック、1808年にコーヒーが届いた産地
メキシコ湾岸のベラクルス州は2021年のSIAP統計で国内第2の産地。1808年にハバナから最初のコーヒーの木が届いた(州政府)。INIFAPの栽培適地は標高600〜1,400m、主な品種はティピカ・ブルボン・カトゥーラ
タイ ドイトゥン
アヘン畑を森に変えた王室財団のアラビカ
タイ北部チェンライ県、故シーナカリン王太后が1988年に始めたドイトゥン開発プロジェクトがアヘン畑と荒廃林をアラビカの森へ変えた産地。標高800〜1,200mでカティモール系などを育ててウォッシュド精製、柑橘とナッツ、ミルクチョコレートの穏やかなカップでEU・日本のGIにも登録
エクアドル サモラ・チンチペ
アンデスとアマゾンが接する南の辺境、Chitoコミュニティが磨く清澄なウォッシュド
エクアドル最南東部サモラ・チンチペ県は、アンデス高地とアマゾン熱帯雨林が接する標高900〜1,900mの辺境産地です Royal Coffeeが扱うChitoコミュニティのロットは48時間の水中発酵によるウォッシュドで、ライム・キャラメル・チョコレートの明るいカップです
パナマ ボルカン
バル火山を挟んでボケテの反対側、チョコレートとナッツの落ち着いた甘み
同じチリキ州でもゲイシャで名を馳せたボケテとはバル火山を挟んで反対側。カトゥーラ・カトゥアイなどが育つ火山灰土壌の産地で、チョコレートとナッツの落ち着いた甘みが持ち味です
ペルー クスコ(ラ・コンベンシオン)
農民運動から生まれた協同組合が守る、マチュピチュ山麓のオーガニック
ペルー南部クスコ県ラ・コンベンシオン郡、標高1,300〜2,200mのアンデス東斜面で栽培されるアラビカ。協同組合連合COCLAが約3,500家族を束ね、オーガニック・フェアトレード認証で欧米市場へ供給する。チョコレート・チェリー・柑橘が調和するフルボディ
コスタリカ トゥリアルバ
活火山の麓の産地とCATIEのコーヒー遺伝資源コレクション
活火山トゥリアルバの麓、ICAFE掲載値で標高600〜1,300mに広がるコスタリカの産地。国際農業研究機関CATIEが1949年からコーヒー遺伝資源のコレクションを守る「生きた種子庫」の地でもあり、穏やかな酸味とやさしい甘みが特徴のカップに仕上がる
コロンビア トリマ
FARC誕生の起点とされる地が育てた、紛争後の無農薬コーヒー
コロンビア中西部トリマ県、原産地呼称の標高は1,000〜2,000m。FARC誕生の起点とされるマルケタリア(プラナダス)を抱え50年紛争の中心地だったが2016年和平後にASOPEPなど17の生産者協会が発展、カスティージョ・カトゥーラを栽培し柑橘・ダークチョコの複雑なカップを生む国内第3位の産地
タイ ドイチャン
アヘン畑から高地アラビカへ、アカ族が築いた協同組合
タイ北部チェンライ県ドイチャン、アヘン代替作物政策のもとアカ族・リス族が育てたアラビカが標高900〜1,600mで農家協同組合による直接輸出モデルへ成長、ダークチョコレートとキャラメル、オレンジ系シトラスが層をなすスペシャルティ産地
ペルー プーノ
2010年SCAAピープルズ・チョイス賞のトゥンキ、コカ畑から生まれ変わった渓谷
ペルー南東部プーノ県サンディア郡、アンデスと熱帯雨林が接する渓谷。標高約800〜2,059mでティピカ中心のフルウォッシュド。協同組合セコバサのブランド「トゥンキ」は2010年SCAAのピープルズ・チョイス賞を受賞。かつてコカ栽培地だった谷がコーヒーで生まれ変わった産地
ペルー サンマルティン
国内生産の約2割を担う州、アルト・マヨが生む温和なチョコとナッツ
ペルー北東部サンマルティン州、アルト・マヨ高地を中心とする、国内生産の約2割を担う産地で、カトゥーラ・ティピカ・カティモール主体のウォッシュド。協同組合アルト・マヨ(COOPBAM)に500名超の組合員が加わり、チョコレート・ナッツ・キャラメルの温和な甘みを生む
ボリビア サンタクルスのコーヒー|サマイパタとブエナビスタの新しい産地
サマイパタの谷のラグニジェロと低地の有機栽培、ボリビアの新興産地
ラパス県ユンガスが知られるボリビアで、サンタクルス県サマイパタが新興産地として台頭。生産者カフェ・パカイが自園の谷で見つけたと説明するラグニジェロや、低地ブエナビスタの有機小規模農家が、ナチュラル・ハニー精製で個性的な甘みを引き出しています
ニカラグア ヌエバセゴビア
ホンジュラス国境のディピルト-ハラパ山系、原産地呼称カフェ・ディピルトの産地
ニカラグア北部、ホンジュラス国境のディピルト・ハラパ山系に広がるヌエバセゴビア県のコーヒー産地です。カップ・オブ・エクセレンスに出品されたフィンカ・ブエノスアイレスや、原産地呼称のカフェ・ディピルトなど、明るい酸とシトラス感が際立つ高地コーヒーが揃います
ホンジュラス コパンのコーヒー|グアテマラ国境の産地と協同組合、キャラメルと柑橘の味
グアテマラ国境に接する西部の産地、キャラメルと柑橘の風味
ホンジュラス西部、グアテマラ国境に接するコパン県のコーヒー。IHCAFEが示す6産地の一つで、品評会資料にはカトゥーラ・カトゥアイの出品例がある。1999年設立のコカフカル協同組合、精製方法、キャラメル・グレープフルーツ・ミルクチョコレートの味わいをまとめる
グアテマラ ウエウエテナンゴのコーヒー|標高1,500〜2,000m・ワインのような風味
メキシコ国境、シエラ・デ・ロス・クチュマタネス山系の産地
ウエウエテナンゴは、グアテマラとメキシコの国境地帯、シエラ・デ・ロス・クチュマタネス山系に位置する産地です。ANACAFEは栽培標高を1,500〜2,000mとし、そのコーヒーを「強い酸味、フルボディ、心地よいワインのような風味」と評しています。代表的な農園、おすすめの焙煎度と淹れ方も紹介します
ペルー カハマルカ
国内生産シェア約22%(USDAの2024/25年予測で首位)、アンデス北部の小規模農家が紡ぐ柑橘とフローラル
ペルー北部カハマルカ州、標高1,400〜2,050mのアンデス北部高地。USDA FASの2024/25年度予測では国内生産の約22%を占める首位の産地で、カトゥーラ・ティピカ・ブルボン主体のウォッシュド。協同組合APROCASSIが小規模農家を束ね、柑橘・フローラル・アプリコットの清澄な甘みを生む
ソロモン諸島 ガダルカナル
南太平洋ガダルカナル島の高地で、小農家が育てるコーヒー
992の島々からなるソロモン諸島。ガダルカナル島の小農家が育てるキングソロモン・コーヒーやソロモンゴールドと、島中央部で栽培されるティピカ種を紹介します
ジンバブエ 東部高地
土地改革で生産が崩れた東部高地、チピンゲとホンデバレーで進むアラビカの復興
1990年前後には年1.4万トン規模の生産があったジンバブエのコーヒーは、2000年からの土地改革で生産が崩れ、東部高地チピンゲ〜ホンデバレーで復興が進む。CatimorとSL系を主体とするウォッシュドで、Nespressoなどの製品紹介ではベリー様の明るい酸味とワイン・チョコのノートが重なると紹介されています
ネパール グルミ
ヒマラヤ山脈の南麓、1938年に栽培が始まったとされるグルミのアラビカ
1938年にコーヒー栽培が始まったとされ、ネパールコーヒーの発祥地ともされるグルミ。ブルボン・ティピカ主体とされるネパールのアラビカの産地で、協同組合によるウォッシュド精製と有機栽培の取り組みを紹介します
ペルー チャンチャマヨのコーヒー|アンデス東斜面の産地・品種と味
アンデス東斜面ユンガスで育つ、小規模農家のクリーンウォッシュド
ペルー中央部フニン州チャンチャマヨ郡、アンデス東斜面の標高1,300〜1,900m。ティピカ主体のウォッシュドにフェアトレード・オーガニック認証。柑橘・ミルクチョコ・蜂蜜が調和する中央高地の代表産地
コンゴ民主共和国 キブ|コーヒーの味・キブ湖畔の協同組合
キブ湖のほとりで、協同組合が磨くウォッシュドのコーヒー
コンゴ民主共和国(DRC)東部、ルワンダ国境のキブ湖周辺の高地で育つブルボン主体のスペシャルティコーヒー。SOPACDIやMuunganoなどの協同組合がフェアトレード認証・直接取引で輸出に取り組む産地で、丁寧なフリーウォッシュがライム・イチジク・ダークチョコの多層的なカップを生みます
ボリビア カラナビ
アンデスの斜面ユンガスが育てる小規模農家のクリーンスペシャルティ
ボリビア・ラパス県ユンガス、アンデス東斜面の産地カラナビ。ティピカ・カトゥーラ・カトゥアイ主体の小規模農家が栽培し、ボリビア国家統計局(INE)の2013年統計では栽培面積約13,381ha。Agricafeの「Sol de la Mañana」プログラムが牽引するスペシャルティ産地
ドミニカ共和国 バラオナ|コーヒーの味・産地・ティピカ種の特徴
カリブ海の大地が育てた、なめらかな甘みの逸品
ドミニカ共和国のコーヒーはどんな味か。イスパニョーラ島東側、南部の産地バラオナは原産地呼称の資料でティピカ種とカトゥーラ種が主な品種とされ、なめらかなボディとチョコレート、ナッツの甘みが特徴です。産地の背景と淹れ方も解説します
ニカラグア ヒノテガ|コーヒーの味・産地・木陰栽培の特徴
木陰栽培が主流とされる、ヒノテガ・マタガルパの高地
ニカラグア コーヒーはどんな味か。代表産地ヒノテガ・マタガルパの高地ではシェードグロウン(木陰栽培)が主流とされます。ウォッシュド精製の豆について、本ブログが目安とする味わい(ブラウンシュガー・ミルクチョコ・柑橘・穏やかな酸味)と、産地・生産規模・協同組合を解説します
グアテマラ アンティグア|コーヒーの味・火山盆地と8産地の違い
三火山に囲まれたアンティグアから高地ウエウエテナンゴまで、8つの産地で性格が分かれる中米コーヒー
グアテマラ アンティグアはどんな味か。アグア・フエゴ・アカテナンゴの三火山に囲まれた盆地で生産される、スモーキーとも表現されるコクを中心に、アンティグア・ウエウエテナンゴなど8つのスペシャルティ産地の気候差と最高等級SHBの基準まで整理します
コロンビア ウイラ&ナリーニョ|コーヒーの味の特徴と産地
アンデス高地で育つ、果実味と甘みの傑作
コロンビアコーヒーの味は、明るい酸味とキャラメルの甘み。世界第3位の生産国のなかで、南部アンデス山脈の高地にあるウイラ(フイラ)州とナリーニョ州は、近年のスペシャルティの中心地です
コスタリカ タラス|コーヒーの味・産地・ハニープロセスの特徴
ハニーやナチュラルなど複数の精製法を持つ中米の産地
コスタリカ タラスのコーヒーはどんな味か。ICAFE(コスタリカコーヒー協会)の資料ではハニーやナチュラルなど複数の精製法が紹介されています。レッド・ハニーを例に、透き通った甘みとクリーンな酸味のバランスを解説します
ホンジュラス マルカラ|コーヒーの味・産地・COE入賞豆の特徴
USDA FASの予測で中米最大の生産国とされた国の高地コーヒー
ホンジュラス コーヒーはどんな味か。USDA FASの報告(予測)で2011/12年度に中米最大の輸出国、2020/21年度に中米最大の生産国とされた国。コパンやマルカラなど地域ごとの個性と、2024年COE(カップ・オブ・エクセレンス)ホンジュラス大会の結果から見る注目産地です
台湾 阿里山|コーヒーの味・産地・高地栽培の特徴
嘉義県・阿里山山系の高地で育つ台湾のコーヒー
阿里山(アリサン)山系の高地で育つ台湾コーヒー。精製は農園・ロットで異なり、産地の大会「阿里山莊園咖啡精英交流賽」は2025・2026年にウォッシュド・ハニー・ナチュラルなど5区分で出品を受け付けた。Coffee ReviewのSL34ウォッシュド1ロットの評は野いちご・はちみつ・フリージア
参考文献・情報ソース