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ラオス ボラベン高原のコーヒー|南部の火山性台地に広がるラオスの中心産地と品種

玄武岩の台地に広がる、協同組合が支える高原アラビカ

ラオス南部のボラベン高原は、同国のコーヒーの中心産地。標高800〜1,350m(ラオスコーヒー協会)の玄武岩の台地で、ティピカ・ブルボン・カティモールが育つ。約1,855世帯が参加するCPC協同組合(FAO資料)とウォッシュドの精製をまとめる


産地情報

産地ラオス南部 チャンパサック県/セコン県 ボラベン高原(Bolaven Plateau)
品種ティピカ/ブルボン/カティモール/カトゥーラ
標高800〜1,350m(ラオスコーヒー協会。FAO の資料では600〜1,300m)
味わい柑橘・花・ミルクチョコレート・甘い果実感・クリーンな後味当サイトの味わいの目安です。公開ロット情報と地域の一般的傾向に基づき、特定ロットの評価や試飲記録ではありません(編集方針)。

品種情報

アラビカ種Coffea arabica最高品質

品種:ティピカ(Typica)

アラビカ種の最も原種に近い品種のひとつ。1900年代初頭にラオスへ導入され、火山性土壌と高地気候のもとで定着した。背が高く収量は少ないが、繊細な酸と上品な甘さが出やすい。病害虫に弱いため近年はカティモールへの植え替えも進んでいる

  • アラビカ原種に近い古典品種
  • フランス植民地期の1900年代初頭にラオスへ導入
  • 繊細な柑橘酸と花の香り
  • さび病に弱く管理コストが高い

ラオス ボラベン高原とは

ボラベン高原(Bolaven Plateau)は、ラオス南部のチャンパサック県・セコン県・サラワン県・アタプー県にまたがる広大な台地で、標高は800〜1,350m(ラオスコーヒー協会。FAO の資料では600〜1,300m)、東西約60km・南北約50kmに広がる。台地は複数の時期(約1,570万年前から50万年前未満まで)に噴出した玄武岩でできており、玄武岩が風化した水はけのよい赤土が広がる。南部4県で国内のコーヒー生産の約95%を占める(FAO の資料。ラオスコーヒー協会は95.9%とするが、対象年は未確認)。

フランス植民地期に始まる栽培史

ラオスにコーヒーが持ち込まれたのは1900年代初頭とされる(FAO掲載のラオス農業省・研究機関のコーヒー栽培マニュアル)。当初はティピカとブルボンが中心だったが、ベトナム戦争期(1960〜70年代)に圃場の多くが放棄され、戦後はさび病耐性の高いカティモールやロブスタへの植え替えが進んだ。現在ラオスの作付け構成はロブスタ約75%・アラビカ約25%だが、アラビカ比率は年々上昇している(Sweet Maria’s、laoscoffee.org)。

「高地ロブスタ」と精製の二極化

ボラベン高原の独特な点は、通常は標高の低い土地で栽培されるロブスタが標高800m前後でも栽培されること。冷涼な気候のおかげで、ロブスタも雑味の少ないチョコレートとボディを持つ「高地ロブスタ」として国際的な評価を得ている。一方アラビカはより高い標高帯でティピカ・ブルボン・カティモール・カトゥーラが栽培され、ウォッシュド精製が中心。Sinouk Coffeeなど一部生産者はハニーやナチュラルも手掛ける。

輸出規模と協同組合モデル

ラオスのコーヒー生産の大半はボラベン高原産で、南部4県で国内生産の約95%を占める(FAO の資料)。中核を担うボラベン高原コーヒー生産者協同組合(CPC、旧AGPC)は2007年にラオス政府とフランス開発庁(AFD)の支援で設立された100%農家所有組織で、55村・約1,855世帯が参加し、フランスなどへ直接輸出している(2012年の輸出は603トン。FAO掲載資料)。フェアトレードと有機の二重認証を持ち、隣接するベトナム ダラットやタイ ドイチャンと並ぶ東南アジア高地アラビカの一角として、日本の自家焙煎店にもマイクロロットが入り始めている(出典:FAO掲載資料/CPC-Laos/Wikipedia “Coffee production in Laos”)。


代表的な生産者・農園

代表的な農園

  • ボラベン高原コーヒー生産者協同組合(CPC)Bolaven Plateau Coffee Producers Cooperative (CPC)
    🏆 2012年 Laos Best Coffee Exporter 受賞/フェアトレード・有機認証
    📍 ラオス・チャンパサック県 パクソン/ラオガム/タテン地区⛰️ 高原全体で800〜1,350m(ラオスコーヒー協会)

    2007年にラオス政府とフランス開発庁(AFD)の支援で設立された100%農家所有の協同組合(旧称AGPC)。3地区55村に広がる約1,855世帯(平均3ha/世帯)が参加し、2012年のグリーンコーヒー輸出は603トン(FAO掲載資料)。フェアトレード・有機認証を取得し、欧州・北米・日本のスペシャルティバイヤーへ供給する

  • シヌーク・コーヒー(Sinouk Coffee)Sinouk Coffee
    📍 ラオス・チャンパサック県 ボラベン高原(パクセから約1時間半)⛰️ 1,000〜1,200m

    1994年設立、ラオスを代表する民間コーヒーブランド。シェードツリー栽培の有機アラビカを自社農園で生産し、ウォッシュド・ハニー・ナチュラルを使い分けるほか、近隣農家からも集荷。10月〜11月の収穫期にはアグリツーリズム拠点としても機能する

  • パクソン・ハイランド(Paksong Highland Coffee)Paksong Highland Coffee
    📍 ラオス・チャンパサック県 パクソン地区⛰️ 1,200〜1,350m

    22品種以上のアラビカを試験栽培するスペシャルティ志向の民間農園・精製所。サステナブル農法と品種多様化に注力し、海外バイヤー向けマイクロロットを年々拡大している


精製方法

精製方法

💧

ウォッシュド

Washed / Wet Process

1
収穫→
2
果肉除去→
3
水洗い・発酵→
4
乾燥→
5
脱穀
ボディ
2/5
クリアさ
5/5
発酵感
2/5

豆本来の味が際立つクリーンカップ。明るい酸味とクリアな風味が特徴

CPCを中心としたボラベンのアラビカはフルウォッシュド(水洗式)G1規格が主流。収穫したチェリーを発酵槽で36〜48時間水洗発酵させ、パーチメントを天日乾燥した後にハンドピックで欠点豆を除去する。乾季(11月〜3月)の安定した晴天と冷涼な夜が、クリーンで透明感のあるカップと柑橘系の明るい酸を引き出す。Sinouk Coffeeなど一部生産者はハニープロセス・ナチュラルにも取り組み、フレーバーレンジを広げている。


フレーバーチャート

フレーバーチャート

酸味苦味甘みコク香り
酸味
苦味
甘み
コク
香り

公開ロット情報と地域の一般的傾向に基づく編集上の目安です。特定ロットの評価や試飲記録ではありません(編集方針)。


おすすめの焙煎度

おすすめの焙煎度

ライト焙煎深煎り

ミディアム ロースト


ポジショニングマップ

ポジショニングマップ

苦味酸味コク軽いラオス ボラベン高原エチオピア イルガチェフェインドネシア マンデリンG1ベトナム ロブスタタンザニア キリマンジャロブラジル サントスNo.2

淹れ方のポイント

  • お湯の温度:88〜92℃
  • 挽き目:中挽き
  • 抽出方法:ペーパードリップ/フレンチプレス(柑橘とミルクチョコの両立)
  • 豆の量:12〜14g / 200ml(12g → 柑橘と花が軽やかに広がる、14g → チョコレートと甘い余韻が厚みを増す)

📏 基準のエビデンス

  • 豆の量:SCA(スペシャルティコーヒー協会)家庭用ブリューワー規格(SCA Standard 310)の目安 55g/kg(約1:18、200mlで11g)/日本式 1:14〜1:16(200mlで12〜14g)。本ブログは焙煎度別に世界寄りの中間値を採用
  • お湯の温度:SCA基準 90〜96℃(93℃±3)/日本式は焙煎度に応じて低めを好む(特に深煎り82〜85℃)。本ブログは焙煎度別に世界+日本式の折衷を採用
  • 出典:SCA Coffee Standards / Specialty Coffee Association

目的別に次に読む


訂正(2026-09-27): ラオスへのコーヒーの伝来を「1915〜1920年代、フランス植民地政府が入植者向けプランテーションを試したのが起源」と記載していましたが、FAO掲載のラオス農業省・研究機関のコーヒー栽培マニュアルでは1900年代初頭とされていたため改めました。「ラオスは2024年に5万トン超のコーヒーを輸出し、1億ドル超を稼いだ」は報道で確認できたものの、2024年の輸出実績を示す一次統計で確認できなかったため削除しました。協同組合CPCの「年間1,000トン超を輸出」は時点が確認できなかったため、FAO掲載資料で確認できた2012年の輸出603トンに改め、概要の「1,800世帯」も本文と同じ約1,855世帯に揃えました。

訂正(2026-09-30): 抽出の目安で「SCA(米スペシャルティコーヒー協会)Golden Cup基準」と記載していましたが、SCA(スペシャルティコーヒー協会)は米国のSCAAと欧州のSCAEが2017年に統合した団体で、「Golden Cup」は旧SCAAの名称のため、「SCA(スペシャルティコーヒー協会)家庭用ブリューワー認証の基準」に改めました。比率(55g/L、約1:18、200mlで11g)は変更していません。同日、この基準を示していた2017年の認証要件の文書がSCAのサイトで公開されなくなっていたため、現行の家庭用ブリューワー規格(SCA Standard 310-2021、水1kgに豆55g)の表記にそろえました。

訂正(2026-10-11): Codex による一次資料との照合(Issue #328)にもとづき、次の点を改めました。ボラベン高原の標高を「1,000〜1,350m」と記載していましたが、ラオスコーヒー協会の資料では800〜1,350m、FAO の資料では600〜1,300mだったため、改めました。台地の成り立ちを「100万年以上前の火山活動」と記載していましたが、地質研究(Sanematsu et al., 2011)では約1,570万年前から50万年前未満まで複数の時期の玄武岩が記録されているため、その内容に改めました。南部4県の国内生産に占める割合を「95.9%」「約96%」と記載していましたが、FAO の資料で確認できたのは約95%という概数で、95.9%(ラオスコーヒー協会)の対象年と算出方法は確認できなかったため、「約95%」に改め、95.9%は対象年が未確認であることを明記しました。あわせて「天然の理想圃場」という評価の表現を外しました。あわせて、本文の「アラビカは1,000〜1,350mで栽培」も、出典が確認できなかったため「より高い標高帯で」に改めました。

訂正(2026-10-16): 副題で「火山性土壌が育む柑橘と花の高原アラビカ」と記載していましたが、火山(火山灰・火山性土壌)と風味の因果を示す一次資料は確認できなかったため、本文で地質研究(Sanematsu et al., 2011)をもとに記している台地の成り立ちに合わせ、「玄武岩の台地に広がる柑橘と花の高原アラビカ」に改めました。あわせて、副題の「柑橘と花の」と説明文の「柑橘と花の香りの味わい」も、風味を一次資料で確認していない表現のため削除し、副題は記事で示しているFAO資料のCPC協同組合に合わせて「玄武岩の台地に広がる、協同組合が支える高原アラビカ」に改めました。

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