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バヌアトゥ タナ島(Tanna)のコーヒー|活火山ヤスール山の火山灰が積もる高原で育つ南太平洋のアラビカ

活火山の灰が積もる南太平洋の島で育つアラビカ

バヌアトゥのタナ島は、活火山ヤスール山の火山灰が積もる高原でアラビカ種が育つ南太平洋の産地。1984年設立のタナ・コーヒー・ディベロップメント・カンパニー(TCDC)が農家の豆を買い取り、国際市場に出す。導入の歴史、品種、精製方法、味の特徴をまとめる


産地情報

産地バヌアトゥ共和国 タナ島(Tanna Island, Vanuatu)
品種ティピカ・ブルボン・カティモール
標高300〜800m(タナ島高原部)
味わいチョコレート・ナッツ・トロピカルフルーツ・スムーズな余韻・苦味少なめ当サイトの味わいの目安です。公開ロット情報と地域の一般的傾向に基づき、特定ロットの評価や試飲記録ではありません(編集方針)。

品種情報

アラビカ種Coffea arabica最高品質

品種:ティピカ(Typica)・ブルボン(Bourbon)・カティモール(Catimor)

タナ島でのアラビカの栽培は1852年に始まったとされる(Tanna Coffee の旧公式サイト)。誰がどの品種を持ち込んだかは一次資料で確認できていない。現在はティピカ・ブルボンが活火山ヤスール山の火山灰が積もる土地で栽培され、近年は半矮性のハイブリッドのカティモールも導入されている

  • 1852年にアラビカの栽培が始まったとされる(Tanna Coffee の旧公式サイト)
  • 活火山ヤスール山の火山灰が積もる土地で栽培
  • ティピカ・ブルボンが栽培され、近年カティモールも導入
  • Tanna Coffee 社のコーヒーオーガニック認証(同社の公式サイト)

バヌアトゥ タナ島とは

バヌアトゥ共和国は南太平洋に弧状に連なる約80の島々から構成され、オーストラリア北東約1,800kmに位置する。主要なコーヒー産地はタナ島(Tanna Island)のほか、エスピリトゥ・サント島(Espiritu Santo)とマレクラ島(Malekula)にも広がるが、生産量・知名度ともにタナ島が圧倒的に中心を担う。

タナ島南部には標高361mの活火山ヤスール山(Mt. Yasur)がそびえ、絶えず噴出する火山灰がタナ高原の土壌に堆積し続けている。この土地で、年間降水量約2,500mm・平均気温18℃の安定した熱帯性気候のもとアラビカ種が栽培されている。

1852年から始まる栽培史

タナ島でのアラビカの栽培は1852年に始まったとされる(Tanna Coffee の旧公式サイト)。誰がどこへ、どの品種を持ち込んだかは、一次資料で確認できていない。その後フランス植民地政府(ニュー・ヘブリディーズ時代)が19世紀末〜20世紀初頭にかけて商業生産を推進し、1980年代にはタナ・コーヒー・ディベロップメント・カンパニー(TCDC)が設立されて小規模農家の組織化が本格化した。

小規模農家と Tanna Coffee の認証

Tanna Coffee の公式サイトは、登録した500人超の小規模農家と、その家族を含む約5,000人(タナ島の人口の約15%)の生計を支えていると説明している(2017年の PLN Australia の発表では農家は約700人で、時点と数え方が異なる)。各農家の栽培規模は1〜4ヘクタールの小区画とされる(出典は確認できていない)。収穫期(5月〜9月)になると各地域のコミュニティが集まり、手摘みで一斉に収穫する「祭りのような」収穫文化がタナ島の特徴でもある。

Tanna Coffee の公式サイトは、同社のコーヒーがオーガニック認証を受けていると説明している(太平洋地域の有機認証の団体 POETCom の2019年の報告では、認証に取り組む農家グループに属する農家は952人とされる。フェアトレードなどほかの認証の現在の状況は、一次資料で確認できていない)。2018年には Fine Food Show South でブロンズメダルを受賞している。

サイクロン・パムからの再建

タナ島のコーヒー産業は2015年の大型サイクロン・パムで約75万本のコーヒーの木(事業関係者のTDi・PLN Australiaの資料による)がほぼ全滅し、数百の農家が収入源を失った。1984年設立のタナ・コーヒー・ディベロップメント・カンパニー(TCDC)は地域社会とともに再植を進め、被災後初の収穫にこぎ着けた。2017年には65万6,000ドルのインパクト投資を受けて200ヘクタールを開墾し、1ヘクタールずつ200戸の農家に配分して年産をさらに約100トン積み増している。現在のTCDCの年間生産は最大85トン規模で、活火山ヤスール山の火山灰が積もる土地で、平均気温18℃・年降水量2,500mmの安定した気候のもとオーガニック・アラビカが栽培されている(出典:ReliefWeb/PLN Australia 2017/Tanna Coffee Development Company)。同じメラネシアのパプアニューギニア シグリ、ニューカレドニア、南のオーストラリア スカイベリーと並ぶ南太平洋の小規模産地だ。


代表的な生産者・農園

代表的な農園

  • タナ・コーヒー・ディベロップメント・カンパニーTanna Coffee Development Company (TCDC)
    📍 バヌアトゥ・タナ島(島全域ネットワーク)⛰️ 300〜800m

    1984年設立のタナ島コーヒー産業の中核組織。タナ島の全小規模農家が生産したドライパーチメント(乾燥豆)を全量買取保証する仕組みを構築し、登録した500人超の小規模農家と、家族を含む約5,000人の生計を支える(同社の公式サイト)。国際市場への窓口も担う

  • INIKコープINIK Co-operative
    📍 バヌアトゥ・タナ島⛰️ 300〜600m

    小規模農家から集荷したコーヒーチェリーをセミウォッシュド精製する協同組合型の加工ステーション。チェリーを収穫当日に処理し、自然発酵→洗浄→スクリーニングの工程を経て含水率11.5%まで天日乾燥する。農家がグリーンビーン(生豆)の売却価格に直接関与できる仕組みが特徴

  • ナンバワン・コーヒーNambawan Coffee
    📍 バヌアトゥ・タナ島⛰️ 350〜700m

    ビスラマ語で「ナンバーワン」を意味するブランド名のスペシャルティロースター。タナ島産生豆を現地加工・焙煎して直接輸出する付加価値モデルを採用し、オーストラリア・ニュージーランド向けに高品質なシングルオリジンとして提供する


精製方法

精製方法

💧

ウォッシュド

Washed / Wet Process

1
収穫→
2
果肉除去→
3
水洗い・発酵→
4
乾燥→
5
脱穀
ボディ
2/5
クリアさ
5/5
発酵感
2/5

豆本来の味が際立つクリーンカップ。明るい酸味とクリアな風味が特徴

タナ島ではINIKコープが管理するセミウォッシュド(半水洗式)が標準工程となっている。収穫当日にチェリーを集め、パルパー(果肉除去機)で果皮・果肉を取り除いた後、自然発酵で粘液質(ミューシレージ)を分解する。発酵後は水洗いしてスクリーニング(サイズ選別)を行い、アフリカンベッドで含水率11.5%になるまで天日乾燥させる。発酵・乾燥の丁寧な管理が、チョコレートとナッツの豊かな甘みとクリーンなカップを支えているとされる(島全体の栽培が有機かどうかは、一次資料で確認できていない)。


フレーバーチャート

フレーバーチャート

酸味苦味甘みコク香り
酸味
苦味
甘み
コク
香り

公開ロット情報と地域の一般的傾向に基づく編集上の目安です。特定ロットの評価や試飲記録ではありません(編集方針)。


おすすめの焙煎度

おすすめの焙煎度

ライト焙煎深煎り

ミディアム ロースト


ポジショニングマップ

ポジショニングマップ

苦味酸味コク軽いバヌアトゥ タナ島パプアニューギニアハワイ コナインドネシア マンデリンコロンビア フイラエチオピア イルガチェフェブラジル サントス

淹れ方のポイント

  • お湯の温度:88〜92℃(中煎り・豊かなアロマを引き出すには高め設定)
  • 挽き目:中挽き
  • 抽出方法:ペーパードリップ/フレンチプレス(フルボディの質感を活かすにはフレンチプレスが特に合う)
  • 豆の量:12〜14g / 200ml(12g → ナッツとチョコの繊細な甘みが前に出る、14g → ボディと余韻がより厚く)

📏 基準のエビデンス

  • 豆の量:SCA(スペシャルティコーヒー協会)家庭用ブリューワー規格(SCA Standard 310)の目安 55g/kg(約1:18、200mlで11g)/日本式 1:14〜1:16(200mlで12〜14g)。本ブログは焙煎度別に世界寄りの中間値を採用
  • お湯の温度:SCA基準 90〜96℃(93℃±3)/日本式は焙煎度に応じて低めを好む(特に深煎り82〜85℃)。本ブログは焙煎度別に世界+日本式の折衷を採用
  • 出典:SCA Coffee Standards / Specialty Coffee Association

目的別に次に読む


訂正(2026-09-27): サイクロン・パムの被害を「約700戸の農家が収入源を失った」と記載していましたが、影響を受けた農家の数は資料によって約500(TDi)、約700(PLN Australia)と異なり、単位も「戸」ではありませんでした。出典ごとの違いがあるため「数百の農家」に改め、約75万本が事業関係者の資料の数字であることを明記しました。

訂正(2026-09-30): 抽出の目安で「SCA(米スペシャルティコーヒー協会)Golden Cup基準」と記載していましたが、SCA(スペシャルティコーヒー協会)は米国のSCAAと欧州のSCAEが2017年に統合した団体で、「Golden Cup」は旧SCAAの名称のため、「SCA(スペシャルティコーヒー協会)家庭用ブリューワー認証の基準」に改めました。比率(55g/L、約1:18、200mlで11g)は変更していません。同日、この基準を示していた2017年の認証要件の文書がSCAのサイトで公開されなくなっていたため、現行の家庭用ブリューワー規格(SCA Standard 310-2021、水1kgに豆55g)の表記にそろえました。

訂正(2026-10-11): Codex による一次資料との照合(Issue #328)にもとづき、次の点を改めました。「1852年に宣教師がタナ島南部のポート・レゾリューションにジャマイカ産ティピカとレユニオン島産ブルボンを植えた」と記載していましたが、確認できたのは Tanna Coffee の旧公式サイトがアラビカの栽培を1852年からと説明していることまでで、導入した人・場所・品種は確認できなかったため、その範囲に改めました(「太平洋地域でも最も早い部類」も比較の根拠がないため削除)。農家数を「1,000人超」と記載していましたが、Tanna Coffee の現行の公式サイトでは登録した小規模農家が500人超、2017年の PLN Australia の発表では約700人で、「1,000人超」は確認できなかったため改めました。「年間生産量約800トン・うち約600トンが輸出・カッピングスコア83.5点」は一次資料で確認できなかったため削除しました。「農薬・化学肥料不使用の100%オーガニック栽培が慣行」「オーガニック・パシフィカ認証・フェアトレード認証・レインフォレスト・アライアンス認証を取得」と記載していましたが、確認できたのは Tanna Coffee 社のコーヒーのオーガニック認証(同社の公式サイト)までで、島全体の栽培慣行や、フェアトレードなどの認証の現在の状況は確認できなかったため、その範囲に改めました。品種欄の「キャナミール耐性に優れた」は意味の通らない表現だったため削除しました。あわせて、品種欄の「ティピカ・ブルボンの1世紀以上の土着化で独自のフレーバーを獲得」は導入時の品種が確認できないため「ティピカ・ブルボンが栽培され、近年はカティモールも導入」に、見出し「小規模農家と火山土壌の有機農法」は「小規模農家と Tanna Coffee の認証」に、精製の節の「農薬・化学薬品を一切使わない有機農法が…味の核心」も、島全体の栽培慣行が確認できないため改めました。

訂正(2026-10-16): 品種欄で「活火山ヤスール山の火山灰土壌が豊富なミネラルを供給」、本文で「この火山性腐植土は水はけがよく鉱物・有機物が豊富で、…安定した熱帯性気候と相まって、アラビカ種の栽培に理想的な環境を作り出している」「活火山ヤスール山の火山灰土壌と平均気温18℃・年降水量2,500mmの安定した気候が、苦味の少ないフルボディのオーガニック・アラビカを育てる」と記載していましたが、火山(火山灰・火山性土壌)と風味・品質の因果や土壌の性質を示す一次資料は確認できなかったため、品種欄を「活火山ヤスール山の火山灰が積もる土地で栽培」に、本文を「この土地で、…安定した熱帯性気候のもとアラビカ種が栽培されている」「活火山ヤスール山の火山灰が積もる土地で、平均気温18℃・年降水量2,500mmの安定した気候のもとオーガニック・アラビカが栽培されている」に改めました。


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